カスタマージャーニーの基本を3分でイメージする
カスタマージャーニーとは何か(専門用語抜きで説明)
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを「知る」「興味を持つ」「比較する」「購入する」までの一連の流れを見える化したものです。旅行の行程表のように、顧客の行動や気持ち、どこで接点があるかを並べて整理するイメージです。
マーケティングでは、この「旅の地図(カスタマージャーニーマップ)」を作ることで、どのタイミングで何を伝えると行動してもらえるかを整理し、ムダな施策を減らしていきます。
なぜ今「カスタマージャーニーの基本」を知るべきか
情報が多様化した現在、顧客は複数の経路を行き来しながら判断します。カスタマージャーニーの基本を押さえておくと、無駄な施策を減らし、最小限の改善で効果を出しやすくなります。
特にオンラインとオフラインが混ざる今は、「広告→サイト→店舗→口コミ」のように経路が非線形になりがちです。だからこそ、最低限の“型”を持ち、顧客視点で「今どこで迷っているか」「どこで不満が出ているか」を共通言語として話せることが重要です。
カスタマージャーニーの超シンプルな全体像
顧客の「旅」を1本のストーリーとして考える
顧客が最初に抱える課題から、解決策として自社を選ぶまでを一本の物語として捉えます。誰が何を思い、どの接点で動くのかが見える化されます。
ここで大事なのは、「自社がどう売りたいか」ではなく、「お客さまがどのような順番で悩み、情報を集め、決めていくか」を主軸に置くことです。営業・マーケティング・現場で同じストーリーを共有できると、施策の方向性がブレにくくなります。
カスタマージャーニーマップには何が描かれているのか
カスタマージャーニーマップは、横軸に時間(フェーズ)、縦軸に行動・感情・接点(タッチポイント)・課題などを並べた図です。改善ポイントとKPIも紐づけて考えます。
例えば、「比較フェーズの感情が『価格が不安』になっているなら、タッチポイントとして『料金シミュレーションページ』を用意し、KPIを『そのページの閲覧数・離脱率』にする」といった形で、図と数字を結びつけます。
AIDA・ファネルとの関係(難しいマーケ用語との違い)
AIDAやファネルは、顧客がたどる「段階」を示す枠組みです。一方でカスタマージャーニーは、その枠組みの中で「実際に顧客がどう動くか」を具体化するための道具です。相互補完の関係と考えると分かりやすくなります。
AIDA=抽象的なステージ設計、カスタマージャーニー=そこに肉付けした具体的なストーリー、というイメージを持つと、「モデルは教科書、ジャーニーは現場用メモ」として使い分けしやすくなります。
5つに分けて考えるカスタマージャーニーの基本ステップ
認知フェーズ:お客さまが「初めて知る」瞬間
広告、SNS、口コミなどで存在を知る場面です。ここで情報が足りないと、その先の興味・検討フェーズに進まないことが多くなります。
「誰に」「どの媒体で」「どのような一言を届けるか」をはっきりさせておくと、その後の興味・検討へのつながり方が大きく変わります。
興味・関心フェーズ:「もう少し知りたい」に変わるタイミング
詳細ページやレビューを見て、「検討してみよう」という意思が生まれる段階です。ここでは、分かりやすい情報提供が重要になります。
単なるスペックの羅列よりも、「自分の悩みが解決しそうか」が伝わる事例・FAQ・比較表などを用意することで、前向きな興味につながりやすくなります。
検討フェーズ:他と比べられているときに起きていること
価格や機能、評判などで他社と比較される段階です。差別化ポイントや安心材料(保証、導入事例など)が効果を発揮します。
BtoBでは「他社との違い」「導入の失敗リスクをどう減らせるか」、BtoCでは「レビューの信頼感」「返品・保証条件」などが、検討の「最後の数社」に残れるかどうかを左右します。
購入フェーズ:最後のひと押しになる要素
この段階では、決済のしやすさ、クーポン、返品ポリシーなどが決定要因になりやすくなります。小さな摩擦(フリクション)を減らすことが効果的です。
カゴ落ちなどの離脱が多い場合は、「入力項目の削減」「決済手段の追加」「送料の分かりやすさ」など、購入を邪魔している要因を特定して取り除くことが近道です。
リピート・ファン化フェーズ:また選んでもらうためのポイント
アフターサービスやメール、会員特典などで関係性を続け、再購入や紹介につなげていく段階です。
このフェーズもジャーニーの一部として設計しておくと、「買ったら終わり」ではなく、「使い始めたタイミングでサポートメール」「一定期間後にアップセル・クロスセル提案」のように、中長期の売上につながる流れを作ることができます。
専門用語ナシでもできるカスタマージャーニーの作り方
ステップ1:たった1人の「代表的なお客さま」を決める(ペルソナ)
年齢や職業、悩みを具体的に、一人分だけ書き出します。雑談の相手を思い浮かべるイメージで構いません。
「どこで情報を集めるか(SNSか検索か、リアルな人づてか)」「何にお金と時間を使う人か」も書いておくと、後のタッチポイント設計がスムーズになります。
ステップ2:「最初に気づくところ」から順番に行動を書き出す
認知→興味→検討→購入→利用の順で、実際に取りそうな行動を箇条書きにします。
ここでは、最初から細かく書き込みすぎる必要はありません。「広告を見る→検索する→比較サイトを見る」くらいの粒度でスタートし、実際のデータや現場の声に合わせて後から追加していけば問題ありません。
ステップ3:そのとき何を考え、どう感じているかを書き添える
各行動の場面での不安や期待を、短い言葉で記入します。気持ちが分かると、対策が見えやすくなります。
「料金が高そうで不安」「使いこなせるか心配」「友人に勧められてワクワクしている」など、プラス・マイナス両方の感情を書き出すことで、どこで「感情の谷」が生まれているかが分かります。
ステップ4:「どこで接点があるか」を整理する(タッチポイント)
SNS、検索、店舗、サポートなど、顧客と接点が生まれる場所を書き出します。どこを強化すべきかを判断する材料になります。
オンライン(サイト、メルマガ、広告)とオフライン(店舗、電話、イベント)を一枚のマップに載せると、「社内のどの部署がどこを担当しているか」も見えてきます。
ステップ5:今すぐ直せそうなポイントに絞り込む
一番実行しやすい改善に絞ると、取り組みが進めやすくなります。
「工数が少なく」「影響が大きそう」な箇所を1〜3個に絞り、効果を見ながら次の改善につなげていくことで、カスタマージャーニーが「作って終わりの資料」になりにくくなります。
具体例でイメージするカスタマージャーニーの基本
例1:小さなオンラインショップの場合
- 認知:SNS投稿
- 興味:商品詳細ページを見る
- 検討:レビューを確認する
- 購入:簡単な決済フローで購入する
- リピート:クーポン配布で再購入につなげる
このとき、「レビューが少なくて不安」「送料が分かりにくくて離脱してしまう」といった感情も一緒に書いておくと、どこを改善すべきかが明確になります。
例2:街の店舗ビジネスの場合
- 認知:看板や口コミで店を知る
- 興味:店頭や店内の雰囲気に惹かれる
- 検討:価格やサービス内容を他店と比べる
- 購買:スタッフの提案を受けて購入する
- 再来店:会員割引や特典で再訪してもらう
店舗ビジネスでは、「入店前の印象(外観・口コミ)」と「退店後のフォロー(DM・LINE配信など)」の両方がジャーニーに含まれる点がポイントです。
例3:BtoB(法人向けサービス)のシンプルなパターン
- 認知:業界セミナーや展示会でサービスを知る
- 興味:Webサイトから資料請求をする
- 検討:デモを受け、他社サービスと比較する
- 購入:見積もりを取り、契約を締結する
- 定着:導入支援やサポートで定着を図る
BtoBでは、一社の中でも「現場担当者」「決裁者」「情報システム部門」など複数の関係者が登場します。まずは「メイン担当者」だけに絞ってシンプルなジャーニーを描き、必要に応じて関係者ごとのジャーニーを追加していくと整理しやすくなります。
よくある勘違いと、最初から覚えなくてよいこと
「完璧なマップを一気に作ろう」として挫折するパターン
一度で完璧なマップを作ろうとすると、更新が止まりがちです。まずは簡易版を作り、実際のデータに基づいて修正していくほうが続けやすく、成果にもつながります。
まず押さえておきたい「3つのポイント」だけ覚えればよい
カスタマージャーニーは、専門用語を覚えることよりも、「お客さまの旅を一枚の紙にして、社内で同じ景色を見られるようにする」ための道具です。
本記事で扱ったポイントを整理すると、次の3つに集約できます。
- 顧客の流れは「認知→興味→検討→購入→リピート」というシンプルな5段階に分けて考える
- たった1人の代表的なお客さまを思い浮かべ、「どこで知り」「何を不安に感じ」「どこで迷うか」をストーリーとして書き出す
- 作ったマップから「今すぐ手をつけられそうな改善」を1〜3個だけ選び、小さく試して更新していく
完璧な図を作ることより、「社内で同じ前提を共有し、ムダな施策を減らす」ことに価値があります。最初はラフなメモでも構いませんので、自分なりのカスタマージャーニーを一度描いてみるところから始めてみてください。
