同業他社のWeb施策を見る前に整理しておきたいこと
なぜ「同業 他社 web 見方」が重要なのか
自社サイトを改善しようとしたとき、つい感覚的に「競合っぽく寄せる」動きになりがちです。同業他社のWebサイトは、業界の前提や勝ち筋を映す格好の教材ですが、やみくもに真似ても成果にはつながりません。
競合のWeb施策を体系的に見ることで、業界標準やユーザーの期待値、勝ちパターンが把握しやすくなります。目的は、漠然とした模倣ではなく、自社改善のヒントを抽出することです。
特に、レイアウトや色づかい、ページ構成、更新頻度、SEOの設計などを一通り見ておくと、「この業界では何が当たり前で、どこから先が差別化なのか」が分かりやすくなります。さらに、Similarwebなどのツールを使えば、見た目だけでなく「どのチャネルからどれくらい集客しているのか」といった定量データも踏まえて判断できます。
自社サイトの現状と目的を把握しておく
同業他社のWebサイトを見る前に、自社サイトの現状を整理しておくことが重要です。具体的には、以下のポイントを簡潔に書き出しておきます。
- 主な流入経路(検索・SNS・広告・紹介など)
- CV(問い合わせ・資料請求・購入など)の種類と発生ポイント
- 自社サイトの強み・弱み
- 今回の改善目的(認知拡大・リード獲得・売上アップなど)
目的が認知拡大なのか、リード獲得なのかによって、競合サイトを見る際の注目点が変わるためです。
あわせて、Search Console や GA4 で「どのキーワードから流入しているか」「直帰率や滞在時間はどうか」もざっくり確認しておくと、同業他社を見る際に「自社より強いポイント・弱いポイント」を具体的に比較しやすくなります。ここでの整理は、後でSWOTのような形で「競合 vs 自社」の位置づけを明確にするための前提情報にもなります。
同業他社サイトの全体像を俯瞰する
サイトのゴールと導線をチェックする
まずは、サイト全体のゴールと、それに向かう導線を俯瞰します。
- トップページからサービス紹介、料金、申込といった導線が自然かどうか
- 離脱しやすそうな箇所(情報が途切れる・選択肢が多すぎる部分)がないか
- トップから問い合わせ・資料請求・購入などの主要なCVポイントまで、何クリックで到達できるか
- グローバルナビやフッターからも主要ページへ辿れるか
こうした点を見ていくと、サイト全体の設計思想がつかめます。Core Web Vitals の観点から、ページ遷移の重さや表示のもたつきがないかも、体感でチェックしておくとよいでしょう。
どのページが「推し」になっているかを把握する
次に、「サイトのどこを特に見てほしいのか」を探ります。
- バナーやファーストビューで大きく扱われているページ
- トップページで繰り返し登場するリンク先
- 強い色のボタンやCTAで誘導しているページ
これらから、どのページを強く訴求しているかが分かります。ランディングページの数や種類にも注目しましょう。
あわせて、「キャンペーン特設ページ」「資料ダウンロードページ」「セミナーページ」など、CV起点になりそうなページがどれだけ用意されているかを見ることで、マーケティング施策の重点領域(新規獲得・アップセル・リテンションなど)も推測できます。
BtoB/BtoCなどビジネスモデル別の見方の違い
BtoBとBtoCでは、重視される要素や評価すべきポイントが変わります。
| ビジネスモデル | 重視される要素 | チェック観点 |
|---|---|---|
| BtoB | 情報量・信頼性・リード獲得 |
|
| BtoC | ビジュアル・感情訴求・購入しやすさ |
|
デザインとUI/UXで読み取れること
ファーストビューで何を一番伝えているか
ファーストビューは、そのサイトの価値提案(USP)とターゲットが凝縮される部分です。
- 価値提案(USP)が一言で伝わっているか
- CTA(問い合わせ・資料請求・購入など)がすぐ分かる位置にあるか
- ターゲット(誰に向けたサービスか)が画像やコピーから直感的に伝わるか
- 利用シーン・利用メリットがイメージしやすいか
Core Web Vitals の観点では、ファーストビューの表示スピードやレイアウトシフトの有無が、ユーザー体験とSEOの両面で重要な観察ポイントになります。
メニュー構成・導線設計から分かる重点領域
グローバルナビやメガメニューは、その企業がどこに投資しているかを映します。
- メニューに頻出するカテゴリーやキーワード
- 「料金」「資料請求」「無料トライアル」など、CVに直結する項目の扱い
- 「ブログ」「導入事例」「セミナー/イベント」などコンテンツ型メニューの位置
特に「ブログ」「導入事例」「セミナー/イベント」などのコンテンツ型メニューがどの位置に置かれているかを見ることで、コンテンツマーケティングやインサイドセールスとの連動度合いも推測できます。メガメニュー内の項目の細かさや分類の仕方も、事業ラインナップと戦略の広さ・深さを知る手がかりになります。
スマホ表示・表示速度・フォームの使いやすさ
スマホでの使いやすさは、CVに直結する重要ポイントです。
- スマホ表示でレイアウト崩れや文字の読みにくさがないか
- スクロール量が過剰でないか、重要情報が埋もれていないか
- ボタンサイズ・余白がタップしやすい設計か
- フォームの入力項目数が適切か(長すぎないか)
- オートコンプリートや入力補助の有無
- ステップフォームか一括入力か、その理由が想像できるか
PageSpeed Insights のようなツールを併用し、「体感の遅さ」と計測値(LCP/FID/CLS)が一致しているかを確認しておくと、改善の優先度が付けやすくなります。
コンテンツ構成から読み解く情報整理の仕方
トップページからお問い合わせまでの情報の流れ
トップページから、お問い合わせ完了までの「情報の流れ」が理路整然としているかを見ます。
- トップ → サービス紹介 → 料金 → 実績 → お問い合わせ という基本ラインがあるか
- 各セクションの見出しにどのようなキーワードを使っているか
- どの順番で情報を開示して、不安をどのタイミングで解消しているか
検索上位にいる競合ほど、このストーリーが検索意図に沿って最適化されているケースが多く見られます。
ブログ・お知らせ・コラムのテーマと更新頻度
ブログやコラムは、SEO・専門性・運用体制を映す鏡です。
- 更新頻度(毎週・毎月・年数回・ほぼ停止)
- 記事テーマに業界共通のキーワードがどれだけ含まれているか
- 記事ボリューム(文字数・見出し数・図解の有無)
- 想定読者レベル(初心者向け・中級者向け・専門家向け)
更新が長期間止まっている場合は、運用体制やWeb施策の優先度の低下も読み取れます。逆に、定期的な更新が見られるなら、コンテンツマーケティングに注力しているサインと考えられます。
見出し(Hタグ)の付け方とキーワード配置
記事ページやサービスページでは、見出し構成(Hタグ)の付け方をチェックします。
- H1〜H3の階層が論理的か(飛び級していないか)
- 主要キーワードが自然な形で含まれているか
- H2で検索意図の大枠(メリット・デメリット・比較など)が網羅されているか
- H3で具体的なノウハウや事例まで落とし込んでいるか
上位表示されているページでは、見出し構成だけでユーザーの知りたいことが一通りカバーされていることが多くあります。
「実績・事例・お客様の声」の見せ方
実績・事例・お客様の声は、信頼度とCV率を左右するパートです。
- 導入前の課題 → 導入後の変化 → 定量的な成果、というストーリーになっているか
- 数字・成果をどこまで具体的に記載しているか
- 顔写真・担当者名・社名ロゴの有無
- 業種別・規模別などでフィルタできるか
BtoBでは、このパートがリード獲得の決め手になることが多く、競合との差別化ポイントにもなります。
SEOの観点から見る同業他社Webサイト
集客キーワードを推測する
SEOの観点では、競合が「どのキーワードで集客しているか」を推測します。
- メタタイトル・メタディスクリプションに含まれるキーワード
- H1・H2などの見出しに含まれるキーワード
- 記事テーマやカテゴリ名・タグ名
- パンくずリストに出てくるカテゴリ構造
これらを見ていくと、サイト全体でどのキーワードクラスター(例:業種名+課題名)を狙っているかが見えてきます。Dockpit やキーワード調査ツールを併用すれば、そのキーワードが業界内でどの程度検索されているかも把握できます。
上位表示ページの共通点を抜き出す
上位表示されている競合ページを複数ピックアップし、共通点を整理します。
- ページ構成(導入・結論 → 理由 → 具体例 → FAQ → CTA など)
- 文字数や見出しの数、図解・画像の活用度合い
- FAQの有無と、その内容(不安や疑問にどこまで答えているか)
- 内部リンクの入れ方(どのページにどうつないでいるか)
これらを複数社で比較すると、Google に評価されやすい「型」が見えてきます。この型をそのままコピーするのではなく、自社の強みをどのように組み込むかを検討する材料にします。
内部リンクと関連記事の設計をチェックする
内部リンク設計は、ユーザー導線とSEOの両方に効きます。
- 関連記事ブロックの有無と表示位置(本文直下・サイドバー・ページ最下部など)
- アンカーテキストに狙っているキーワードが自然に含まれているか
- 「基礎解説記事 → 比較記事 → 事例記事 → 料金・問い合わせ」といった検討フェーズを意識した導線があるか
こうした設計ができているサイトは、ユーザーの検討フェーズを丁寧に設計していると考えられます。
メタタイトル・ディスクリプションの付け方
メタタイトルやディスクリプションは、検索結果でのクリック率を大きく左右します。
- ターゲット(誰向けか)が明示されているか
- ベネフィット(何が得られるか)が分かりやすいか
- 差別化要素(なぜそのサイトなのか)が盛り込まれているか
- 検索キーワードが自然に含まれているか
同じキーワードでも、「ターゲット」「ベネフィット」「差別化要素」のどれに比重を置いているかはサイトによって異なります。上位表示されており、かつクリック率が高そうなタイトル・ディスクリプションのパターンを複数ピックアップしておくと、自社の改善のヒントになります。
集客チャネルから戦略を読み解く
検索・SNS・広告・メールなどトラフィックの入り口を推測する
最後に、「どこからユーザーを集めているのか」= 集客チャネルの観点で競合サイトを見ます。
- ヘッダーやフッター、記事下などにあるSNSアイコンとその活用度
- 広告らしさのあるバナーやポップアップ(キャンペーン・無料トライアル・セミナーなど)
- メルマガ登録への誘導の有無と導線の強さ
- 外部メディアや比較サイトからの流入を想定した導線(専用LPなど)があるか
さらに、Similarweb などのツールを使えば、オーガニック検索・リスティング広告・ディスプレイ広告・リファラル・ダイレクトといったトラフィックの比率を推定できます。これにより、「業界全体としてどのチャネルに依存しているのか」「特定の競合がどのチャネルに強いのか」といった戦略レベルの仮説が立てやすくなります。
まとめ:同業他社Webサイトの見方を自社施策に活かす
本記事で整理してきたように、同業他社のWeb施策を見る際は、デザインや雰囲気だけを追いかけるのではなく、以下の観点を分解して観察することが肝心です。
- サイト全体のゴール設計と導線
- ファーストビューやナビゲーションから見える「推し領域」
- コンテンツ構成と情報の並べ方
- SEO・集客チャネルの設計
そのうえで、自社サイトの現状(流入経路・CVポイント・強み・弱み)と目的をあらかじめ整理しておけば、「その会社ならではの打ち手」と「自社に取り入れるべき要素」を切り分けやすくなります。
競合サイトは「正解集」ではなく、あくまで仮説づくりの材料です。本記事で挙げたチェックポイントをひとつのチェックリストとして活用し、自社の戦略・リソース・顧客像に照らし合わせながら、自社なりのWeb施策に落とし込んでみてください。
