自社の強みをWebで伝えたいのに、「結局なにが他社と違うのか」がうまく表現できない。そんな悩みを抱える企業は少なくありません。魅力的な言葉やデザインを整える前に、「誰に」「どんな価値を」「どの基準で」示すのかを整理しておくことで、Web上で伝わるメッセージへと変わっていきます。
「自社の強み」をWebで伝える前に押さえたいポイント
そもそも「自社の強み」とは何か
自社の強みとは、顧客の課題を他社より確実に、または効率的に解決できる独自の価値のことです。技術力だけでなく、対応スピードや導入後のサポートなども含まれます。さらに、どの市場・どのターゲットに対してその強みが発揮されるのかまでセットで捉えることが重要です。
SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)などを用いて、自社が「どこで勝てるのか」「どこでは勝てないのか」を整理しておくと、Web上での打ち出しがぶれにくくなります。
Webで表現するときに起こりがちな3つの勘違い
Webで自社の強みを表現する際には、次のような誤解が起こりがちです。
- 情緒的に美しければ伝わる
- すべての強みを並べれば良い
- 専門用語で詳述すれば信頼される
いずれも誤りで、ユーザーは「自分に関係があるか」を最優先に判断します。特にBtoB領域では、「きれいかどうか」より「どんな課題をどれだけ改善できるか」という具体的なベネフィットが重視されます。
デザインはその伝達を助けるための手段であり、派手さや装飾ではなく、「読みやすさ」「分かりやすさ」「比較しやすさ」を支えるものとして考える必要があります。
「なんでもできます」が伝わらない理由
「なんでもできます」といった広く浅い訴求は差別化になりません。「誰に」「何を」「どの程度」で勝てるかを示すことが重要です。
あえて「やらないこと」「不得意な領域」も定義することで、自社が集中している領域が際立ち、ユーザーにとって「この分野ならこの会社」と記憶されやすくなります。また、広告・Webサイト・営業トークなど、すべての接点で同じメッセージを繰り返すことで、「この会社はこの領域に特化している」という印象が強くなり、結果として選ばれやすくなります。
自社の強みをWeb用に整理するステップ
ターゲットを絞り込む:誰に向けた強みなのか
既存顧客の共通点からペルソナを作る
年代、業種、課題、意思決定者の役職などを明確にします。あわせて、「どのタイミングで」「どの情報を見て」問い合わせに至ったかを営業・サポートからヒアリングし、検討プロセス(カスタマージャーニー)も言語化しておくと、Web上でどこに何を置くべきかが見えやすくなります。
「来てほしくないお客さま」をあえて決める
対象外を明確にすると、対象に刺さる表現が作りやすくなります。例えば「価格だけで選ぶ企業は対象外」「短期的なスポット案件は受けない」など、あえて線を引くことで、「中長期で伴走してくれる会社を探している」といった理想の顧客に響くメッセージやコンテンツ(導入事例・サポート体制の説明など)を絞り込みやすくなります。
強みを具体化する:言葉を“数字・事実”に落とす
「品質が高い」をWebで伝わる形に変換する例
「品質が高い」といった抽象的な表現は、「不良率0.2%」「平均納期3日短縮」など、数値や比較で示します。その他にも、「年間〇〇社への導入実績」「継続利用率〇%」「クレーム発生率前年比△%改善」など、第三者でも客観的に理解できる指標に置き換えます。
可能であれば、グラフや図解でビフォー/アフターを見せることで、読み手が瞬時にイメージできるようにします。
実績・事例・数字・お客様の声の棚卸し方法
直近3年分の導入事例をピックアップし、KPIや効果を抜き出して一覧化します。併せて、「どの業種・規模の企業に多く選ばれているか」「どのサービスがどの課題に効いているか」を分類し、代表的なパターンごとに事例テンプレートを用意しておくと、サイト構成(業種別事例、課題別事例など)にも落とし込みやすくなります。
棚卸しの段階では、数値だけでなく、お客様のコメントや社内での工夫・失敗も含めて洗い出しておくと、ストーリー性のあるコンテンツに発展させやすくなります。
弱みも整理する:「やらないこと」から見える本当の強み
あえて掲載しない領域を決めるメリット
対象を限定することで専門性が明確になり、信頼度が上がります。「この分野は対応しない」「この価格帯では提供しない」といった線引きは、一見すると機会損失に思えますが、Web上ではむしろ「選ばれる理由」になります。
弱みや不得意な領域を認める姿勢は、情報の透明性としても評価されやすく、「この会社は誠実だ」という印象にもつながります。
競合との比較で見えてくる立ち位置
機能・価格・サポートの観点で差分を洗い出し、独自の価値を特定します。競合サイトを分析し、「何を強みとして前面に出しているか」「どの情報が不足しているか(納期、実績、サポート内容など)」を把握したうえで、自社はどこにフォーカスするかを決めます。
例えば、機能や価格では横並びでも、「製造現場を理解したサポート」「導入前のコンサルティング」など、コミュニケーションやプロセス面に強みがある場合は、その差分を具体的なエピソードや事例で補強すると、類似サービスとの差別化につながります。
ユーザー目線で考える「Webに載せるべき強み」の選び方
ユーザーの悩みと自社の強みを線で結ぶ
よくある質問から強みの候補を洗い出す
FAQや営業現場での質問をもとに、「求められる解答=強み」を抽出します。単にQ&Aを並べるのではなく、「なぜその質問が多いのか」「その背景にある不安やリスクは何か」を掘り下げると、ユーザーが本当に求めている価値(安心感、スピード、柔軟性など)が見えてきます。その価値を満たせている箇所こそが、Webで強調すべき強み候補になります。
「選ばれた理由」をヒアリングして言語化する
既存顧客への取材で、実際に響いた言葉をそのまま掲載します。ヒアリングの際は、「比較検討した他社との違い」「最後の一押しになった要素」「導入後に感じたギャップ(良い意味・悪い意味)」などを具体的に聞くと、社内では当たり前になっている価値(レスポンスの早さ、担当者の人柄、現場理解の深さなど)が表面化します。
こうした生の言葉は、コピーライティングよりも説得力があり、ユーザーの共感を得やすい材料になります。
3〜5個に絞る:伝わる強みの適切な数
強みが多すぎると伝わらなくなる理由
強みを多く並べすぎると、選択の負荷が増え、ユーザーの記憶に残りにくくなります。特にスマートフォンでの閲覧が主流な現在、スクロール量が増えると、重要なメッセージが埋もれやすくなります。
あれもこれもと羅列するのではなく、「この会社といえばこれ」という軸を3〜5個に絞り、他の情報はその軸を補完する役割に留めると、サイト全体の印象も整理されます。
「核の強み+補助の強み」の構成例
例えば、次のような構成が考えられます。
- 核の強み:短納期対応
- 補助の強み:国内生産・納入後サポート・品質保証
核となる強みは、ターゲットの最大の悩み(例:リードタイム、コスト、安定供給)と直結させます。補助の強みは、「なぜその核の強みを実現できるのか」を裏付ける材料として配置すると、ストーリーとして理解されやすくなります。
例えば、「短納期対応」を核にするなら、「24時間稼働の工場体制」「標準化された製造プロセス」「在庫データのリアルタイム管理」といった補助情報を示すことで、説得力が増します。
自社の強みをWebで分かりやすく表現するためのページ設計
最初の5秒で「この会社は自分向けだ」と伝える
ファーストビューに入れるべき3要素
ファーストビューには、次の3要素を入れることが重要です。
- ターゲット
- 核となる強みの一文
- 具体的な行動(問い合わせボタンなどのCTA)
視線の流れを意識し、キャッチコピー → 補足説明 → CTA(ボタン)の順に自然と読み進められるレイアウトにします。背景画像や動画を使う場合も、ターゲットやサービス内容が一目で分かるものを選び、「雰囲気重視のイメージ写真だけ」で終わらせないことが重要です。
一文で自社の強みを言い切るキャッチコピーの考え方
キャッチコピーは、「誰に何をどれだけ提供するか」を簡潔に示します。例えば、「中小製造業向けに納期を半分にする部品加工」といった表現です。
この一文は社内でのコンセプト共有にも活用できるようにし、広告文や営業資料など、あらゆる接点で同じ表現を繰り返すとブランドの一貫性が高まります。
「〇〇業界特化」「□□を△△%改善」「◯◯年の実績」といった要素を組み合わせると、ターゲットにとっての自分ごと感が高まり、離脱率の低下にもつながります。
強みが自然に伝わる情報の並べ方
「課題 → 解決策 → 根拠 → 行動喚起」の基本パターン
自社の強みをWebで伝えるためには、言葉の装飾よりも「誰に・何を・どの基準で示すか」の整理が欠かせません。まずは既存顧客の共通点からターゲットを絞り込み、「来てほしくないお客さま」も含めて明確にすることで、届けたい相手に向けたメッセージへと精度が高まっていきます。
次に、「品質が高い」「サポートが手厚い」といった抽象表現を、数字・事実・事例・お客様の声に置き換えます。FAQや「選ばれた理由」のヒアリングから、ユーザーが本当に評価している点を洗い出し、3〜5個の「覚えてほしい強み」に絞り込んでいきましょう。
同時に、あえて「やらないこと」や不得意な領域を示し、競合との違いを整理することで、自社の立ち位置がよりくっきりします。そのうえで、ファーストビューでは「ターゲット」「核となる強みの一文」「具体的な行動」という3要素を揃えることで、最初の数秒で「この会社は自分向けだ」と感じてもらえる設計が可能になります。
