ひとりマーケ担当の生産性を上げたい人へ:まず全体像をつかむ
なぜ「ひとりマーケ」はいつも時間が足りないのか
ひとりマーケティング担当は、業務範囲が広く、定型作業と創造的な作業が混在しているため、慢性的に時間が不足しがちです。緊急対応や会議に追われて戦略的な時間が削られ、属人化した業務が蓄積していきます。
さらに、営業・広報・Web・イベント・SNSなど、あらゆる領域の「屋台骨」となりやすく、1つひとつは小さな依頼でも、積み重なることで、本来優先すべき集客設計や分析に割く時間が奪われてしまいます。
また、指標やKPIが曖昧なまま「とりあえずやる」施策が増えると、効果検証ができず、同様のレポートや資料を何度も作る「ムダなループ」が発生し、生産性を大きく押し下げます。
生産性を上げる前に押さえたい「やらないと決める」発想
まず、担当している全タスクを書き出し、「やらないことリスト」を作成しましょう。優先度が低い単発の依頼は断る、定常業務は自動化や外注へ移す、といった判断基準を明確にしておきます。
ここで重要なのは、「インプット縮小型」の発想です。人員を増やしたり残業でカバーしたりする前に、投入するリソース(時間・工数)を減らしても成果を維持できるかを検証します。
具体的には、次のような業務を「やらない/任せる」候補にします。
- 売上やリード創出に直結しない作業
- 他部署でも対応可能な作業(データ入力、資料の転記など)
- AIやRPAに置き換えられる作業(集計、定型文作成など)
こうした業務を意識的に手放し、ひとりマーケ担当は「戦略立案」と「打ち手の優先順位付け」に時間を集中投下する前提へと切り替えていきます。
ひとりマーケの仕事を「見える化」してムダを洗い出す
今日30分でできる業務棚卸しのやり方
タイマーを30分に設定し、過去1週間の作業を時系列で書き出します(会議、メール対応、制作、分析など)。それぞれに所要時間を付け、頻度順に並べ替えます。
そのうえで、「誰にとって価値があるか」「自動化・外注が可能か」を簡単にメモします。
例:
- 毎日:メルマガ結果をExcelにコピペ → 自動化候補
- 週1回:売上レポートをPowerPoint化 → テンプレート化候補
- 随時:営業からの「このリストちょうだい」対応 → ルール化・断る候補
この棚卸し自体が、属人化解消の第一歩になります。後からRPAやAI導入のPOC(お試し導入)の対象を選ぶ際の材料にもなります。
「見える化」でまずチェックすべき3つのムダ
1. 繰り返し発生する手作業(データ集計、画像リサイズなど)
Excelやスプレッドシート、RPA・VBAで自動化しやすい典型的な領域です。BIツールや、雑務を効率化するツールを組み合わせれば、これまで手作業で1つずつ処理していた時間をほぼゼロに近づけることができます。
2. 中断や会議の多さ(目的が不明瞭な会議)
アジェンダやゴールが不明確な会議は極力削減し、「チャット+共有ドキュメント」で代替できないかを検討します。ひとり体制の場合、会議を1回減らすだけでも、週あたり数時間単位の時間を生み出せることがあります。
3. 情報の散逸(ファイル・手順が個人に閉じている)
顧客リスト、施策履歴、レポートのフォーマットが個人フォルダやローカルPCに散在していると、必要な情報を探す時間や引き継ぎのコストが膨らみ、担当者が変わるたびにゼロからやり直しになりがちです。
必ずGoogle WorkspaceやNotionなどの共有クラウドに情報を集約し、「どこを見れば何が分かるのか」を明示しておきます。
属人化を防ぐためのシンプルなメモ・マニュアル術
属人化を防ぐためには、「テンプレート化+ワンページ手順」が有効です。NotionやGoogleドキュメント上で、作業のテンプレートと、障害発生時の連絡先を1ページにまとめておきます。
特に、次の3点だけは必ず書き残しておきましょう。
- 目的(何のためのタスクか)
- 入力(どのデータ・ツールを使うか)
- 出力(どの形式で、誰に渡すか)
この3点が整理されていれば、他のメンバーや外注に業務を切り出す際の「即席マニュアル」として機能します。厚生労働省の生産性向上事例でも、詳細なマニュアルを最初から作るより、まずは簡易なフロー図とチェックリストから始める方が定着しやすいとされています。
すぐに試せる「時間が増える」仕事の進め方
1日の使い方を変える:ひとりマーケ専用タイムブロック術
1日のスケジュールを、「創造的な仕事」と「コミュニケーション・ルーチン業務」で明確に分けて考えます。
たとえば、朝は創造的な作業に集中する2時間ブロックを確保し、午後に打ち合わせやメール対応、ルーチンワークをまとめるといった運用です。メールチェックは午前1回・午後1回に集約し、小刻みな確認を減らします。
あわせて、「曜日ごとのテーマ」を決めておくと、戦略的なタスクが後回しになりにくくなります。
- 月曜:KPI確認・企画立案
- 火〜木曜:制作・配信・ABテスト
- 金曜:分析・改善案作成・翌週の計画
このように同種の仕事をまとめる「バッチ処理」にすることで、マルチタスクによる切り替えロスを減らせます。
マルチタスクをやめるための「マイかんばん」活用法
TrelloやNotionなどのツールを使い、「Doingは1件まで」というルールでタスク管理を行います。各カードに所要時間を明記し、「完了してから次へ着手」を徹底します。
インソース社が提唱する「マイかんばん」を応用し、列は以下の4つに絞ると、ひとりでも運用しやすくなります。
- Backlog(やるかもしれない)
- ToDo(今週やる)
- Doing(作業中:常に1件まで)
- Done(完了)
カードには、次の情報を記載しておきます。
- カードタイトル:タスク名+締切
- ラベル:施策の種類(集客、ナーチャリング、レポートなど)
- チェックリスト:細かな作業手順
この形式で蓄積しておくと、将来メンバーが増えた際にも、そのままチームのかんばんボードに発展させやすくなります。
明日から使えるタスクの優先順位付けルール
タスクの優先度は、「影響度 × 労力」でスコア化して判断します。影響度が高く労力が小さいものを最優先し、緊急性は高くても影響度が低いものは後回しにします。
影響度は「売上」「リード数」「工数削減」「再現性」の観点からおおまかに5段階で評価し、労力は「自分ひとりで完結するか」「他部署の巻き込みが必要か」で区別すると判断しやすくなります。
たとえば、次のように整理します。
- 影響大 × 労力小:まずやる
- 例:メルマガ件名のABテスト設定
- 影響大 × 労力大:期日とマイルストンを決め、計画的に進める
- 例:CRMリプレイス
- 影響小 × 労力大:基本的にはやらない/任せる
このルールをチームや上司と共有しておくことで、「なぜ今それをやらないのか」を説明しやすくなり、不要な仕事の押し付けを防ぐことにもつながります。
ツール任せにしすぎない、身の丈に合った自動化の始め方
「ひとりマーケ担当 生産性 上げたい」ときに選ぶべき自動化領域
自動化の対象は、「定型レポート」「リスト作成」「SNS予約投稿」など、繰り返し発生する作業から着手するのが効果的です。
具体的には、次のような作業が投資対効果の高い領域です。
- 毎週・毎月必ず発生する集計(Webアクセス、メルマガ開封率、広告CVなど)
- 「〇〇条件で抽出して」と頻繁に依頼される名寄せ・リスト作成
- 毎回ほぼ同じ構成・フォーマットで作成する資料
いきなりすべての業務をツールに任せるのではなく、「1つのレポート」「1つのSNSアカウント」といった最小単位から始め、成果を確認しながら徐々に範囲を広げていきます。
まずはこの3つだけ:今日から触ってみるべき無料・低コストツール
無料または低コストで導入しやすく、ひとりマーケの生産性向上に役立つツールとして、次のようなものがあります。
- Googleスプレッドシート+Apps Script
- CSVの取り込みから集計・グラフ作成までをボタン一つで実行できるようにし、毎月のレポート作成時間を大幅に短縮できます。
- Canva(テンプレート化)
- バナーや資料の「自社テンプレート」を作成しておけば、誰が制作しても一定の品質を保ちやすくなり、デザイン外注の回数も減らせます。
- ChatGPT(下書き作成・発想支援)
- メール文案、SNS投稿案、記事のたたき台などを短時間で作成でき、ゼロから書き起こす時間を削減できます。
まとめ:今日から始める「やらないこと」を決める生産性向上
ひとりマーケ担当の生産性を上げるうえで大切なのは、「全部やろうとしない」前提に立ち、仕事を見える化しながら手放す領域を冷静に選ぶことです。
まずは、全タスクを書き出して「やらないことリスト」をつくり、売上・リード創出に直結しない業務や、他の手段に置き換えられる業務から整理していきましょう。そのうえで、タイムブロックやマイかんばんなどを使い、「いつ・何に集中するか」を先に決めておくことで、マルチタスクに振り回されにくくなります。
自動化やツール導入は、毎週・毎月必ず発生する定型作業から、小さく試すところから始めると、ムリのない形で効果を実感しやすくなります。
今日できる一歩は、「30分の業務棚卸し」と「今週やらないタスクを1つ決める」ことです。小さな見直しを積み重ねることで、ひとりでも着実に生産性を高めていけます。
