「会社のブログは本当に必要なのか」。検索環境や生成AIの普及により、この問いに以前よりも慎重な判断が求められるようになりました。なんとなく始めたブログが、更新停止や内容の薄さから、かえって信用低下を招くこともあります。一方で、条件が揃えば、集客・営業・採用を支える強い打ち手にもなります。本記事では、自社にブログが合うかどうかを見極める考え方を整理します。
会社にブログは本当に必要なのか判断する前に押さえたいポイント
なぜ「会社 ブログ 必要か」がここまで議論されるのか
検索行動の変化や生成AIによる情報の氾濫により、ただ作るだけのブログでは効果が出にくくなっています。目的・体制・予算が伴わないブログ運営は、リソースの浪費やブランド毀損につながるため、必要性についての議論が活発になっています。
かつてのように「量産された一般的な情報」を並べただけのブログは、検索エンジンからもユーザーからも評価されにくくなりました。「その会社が書く意味のある一次情報」「専門性」「主観的な経験談」がないブログは、数多くの情報の中に埋もれやすい状況です。
一方で、BtoB、無形サービス、高単価商材のように、顧客がネット検索でじっくり情報収集する領域では、会社ブログがリード獲得や採用の中核チャネルになっている事例も少なくありません。そのため、「うまくやれば強力だが、やり方を誤ると痛手になる」施策として、慎重に検討されがちです。
ブログを始める前に必ず確認しておきたい前提条件
以下のような前提条件を満たしているか、事前に確認することが重要です。
- 顧客の検索行動が存在するか
- 継続できる体制と予算があるか
- 明確な目的(集客、採用など)が決まっているか
加えて、次のような点も検討しておく必要があります。
- 半年〜数年単位で投資を続けられるか
- PV以外のKPI(リード数、商談数、採用応募数など)で評価する覚悟があるか
- 営業、カスタマーサクセス、人事など社内からネタ提供やレビューの協力を得られるか
これらが揃っていない状態でスタートすると、立ち上げただけで満足して更新が止まり、古い情報が残り続けることで、かえって信頼を下げるリスクがあります。
そもそも会社ブログの役割とは何か
企業サイト内でブログが担う4つの主な役割
会社ブログには、主に次の4つの役割があります。
| 役割 | 概要 |
|---|---|
| 1. 認知獲得(SEO) | 課題解決型記事で検索流入を獲得し、見込み客との最初の接点をつくる |
| 2. 見込み客教育(ナーチャリング) | 比較・検討のポイントやノウハウを提供し、購買意欲と理解度を高める |
| 3. 営業支援(事例・FAQ) | 事例やFAQを商談前後に共有し、説明コストの削減と受注率向上を支援 |
| 4. 採用・ブランディング | 企業文化・社員の声を伝え、候補者・市場からの信頼と共感を高める |
具体的には、課題解決型の記事で検索流入を集め、ホワイトペーパーや問い合わせフォームなどへの導線によってリードを獲得します。また、営業が商談前後に共有する「補足資料」としても機能します。
さらに、企業文化や社員の声を発信することで、採用候補者の理解を深め、ミスマッチを減らす役割も担います。よく読まれる記事は、既存顧客へのアップセル・クロスセルの説明にも再利用でき、社内のナレッジ共有にも役立つ「ストック資産」として蓄積されていきます。
会社ニュースとブログは何が違うのか
会社ニュースとブログは、目的と情報の性質が異なります。
- ニュース:速報性・公式発表が中心
- ブログ:課題解決やノウハウ、事例などのストック型情報
ニュースは「いつ・何があったか」を伝える広報的な役割が中心で、数週間〜数ヶ月で価値が薄れやすい情報です。
一方でブログは、「なぜそうなるのか」「どうすればよいか」を深掘りして解説するコンテンツが多く、1〜2年前の記事でも検索や営業現場で読み続けられることがあります。
そのため、ニュースはすでに関心のある層への情報提供、ブログは潜在層〜比較検討層を育てるためのコンテンツとして、役割分担して考えることが有効です。
「なんとなく始めるブログ」が危険と言われる理由
目的が不明確なまま始めたブログは、更新停止や内容の浅さによってブランドを傷つけ、費用対効果を悪化させる恐れがあります。
「競合もやっているから」「ホームページだけでは寂しいから」といった理由で始めると、誰に向けて何のために書くのかが曖昧なまま記事が量産され、PVだけを追う運用になりがちです。
また、担当者一人に丸投げして権限も時間も与えない場合、更新が滞り、数本の記事だけが古い日付で残る状態になります。これは「この会社は情報更新が止まっている」と受け止められ、信頼の低下や採用面でのマイナスイメージにもつながります。
あなたの会社にブログは必要か?5つのチェックポイント
1. 顧客はネット検索で情報収集しているか
自社の顧客がネット検索で情報収集しているかどうかは、ブログの有効性を左右する重要なポイントです。
検索ボリュームが見込める市場であれば、ブログ運営は有利になりやすいといえます。特に、「課題の調べ方が明確」「専門用語やテーマで検索されやすい」といった特徴を持つ市場では、ブログ記事が検索結果に表示されることで、継続的な流入源になり得ます。
逆に、口コミや飛び込み営業が主な獲得経路で、顧客がそもそもネットで情報を探さない領域であれば、ブログの優先度は下がります。
2. 商材の検討期間・単価・BtoB/BtoCの違い
商材の性質によって、ブログとの相性は大きく変わります。
BtoBや高単価商材、比較検討期間が長い商材は、ブログとの相性が良い傾向にあります。SaaS、ITソリューション、コンサルティング、製造業の設備投資などは、導入前に情報収集や社内稟議が発生するため、「導入事例」「比較ポイント」「ROIの考え方」といったブログ記事が意思決定を後押しします。
一方で、低単価で衝動買いに近いBtoC商材は、SNS・広告・店舗体験の方が影響力を持つことが多く、ブログは補完的な位置づけになる場合が多いです。
3. 継続して記事を出せる体制・予算はあるか
ブログは、半年〜数年という中長期の視点で成果を見ていく施策です。そのため、継続的な投資が必須です。
最低でも「月数本の更新を1年以上続けられる人的リソース(社内ライター、編集者、外注費など)」と、「分析・改善に割ける時間」が必要になります。担当者が別業務との兼務で、片手間にしか時間を割けない場合は、テーマ数を絞る、四半期ごとに重点記事をつくるなど、無理のない運用設計が求められます。
4. ブログの目的は何か(集客/営業支援/採用/ブランディング)
ブログの主目的によって、記事の設計やKPIは変わります。
- 集客重視の場合:検索ニーズを踏まえたハウツー記事や比較記事
- 営業支援が目的の場合:導入事例、FAQ、製品解説
- 採用目的の場合:社員インタビュー、カルチャー紹介記事
- ブランディング目的の場合:経営陣の考え方、取り組みのストーリー
「全部やりたい」という場合でも、フェーズごとに主目的を決め、優先順位をつけて設計することが重要です。
5. 既存の集客チャネルとの役割分担は明確か
ブログと既存チャネル(SNSや広告など)の役割分担が明確になっているかどうかも確認しておくべきポイントです。
ブログはストック型、SNSや広告はフロー型のチャネルです。SNS投稿や広告からブログ記事に誘導し、詳しい情報を読んでもらってから資料請求や問い合わせにつなげる、という流れを設計できれば、チャネル同士のシナジーが生まれます。
既に強いチャネルがある場合でも、「よくある質問への詳しい解説」「一次情報をまとめたレポート記事」など、他チャネルを下支えするコンテンツとしてブログを位置づける選択肢があります。
ブログとの相性がいい会社・悪い会社
ブログが特に効果を出しやすい業種・ビジネスモデル
ブログが特に効果を発揮しやすいのは、次のような業種・ビジネスモデルです。
- BtoB SaaS
- IT関連企業
- コンサルティング
- 士業
- 採用競争が激しい企業
これらの業種は、専門的なノウハウや法制度の解説、成功・失敗事例など、テキストベースで伝えやすい知識資産を多く持っています。
それらをブログに落とし込むことで、検索流入だけでなく、「専門家としての信頼性」「社風や働き方の透明性」を示しやすく、営業・採用の両面で効果が出やすい傾向があります。
また、カスタマーサクセスが重要なサブスクリプションモデルでは、活用方法やアップデート情報をブログで提供することで、解約抑止にも寄与します。
ブログだけに頼ると危険なケース
一方で、ブログだけに依存することが危険なケースもあります。
即時の売上が必要な小売・飲食などの業種では、ローカル施策や広告を優先した方がよい場合が多いです。来店数や予約数を今すぐ増やしたいフェーズでは、Googleビジネスプロフィールの最適化、クーポン広告、ポータルサイト活用などの方が、よりダイレクトに成果に結びつきます。
また、オフラインの紹介や代理店経由の売上比率が高く、デジタル接点がそもそも少ないビジネスでは、ブログ単体でのインパクトは限定的です。その場合は、既存顧客向けのサポート情報に用途を絞るなど、目的を明確にしておく必要があります。
中小企業・スタートアップがやりがちな「向いていないのに始める」パターン
中小企業やスタートアップでは、「自社に向いていないのにブログを始めてしまう」ケースが少なくありません。
よくあるのは、「オウンドメディアを持っている会社はイケている」というイメージだけで開始し、事業との相性や投資可能なリソースを精査しないままスタートしてしまうパターンです。
例えば、
- 代表や現場メンバーが極端に多忙で、取材・執筆に時間を割けない
- 広告や展示会など、すでに成果が出ているチャネルがあるのに、優先順位を考えずにブログを追加する
- 「毎日更新」を目標に掲げてしまい、数週間で品質か更新頻度のどちらかが破綻する
といったケースでは、短期間で更新が止まり、「更新日が古いブログだけが残る」状態になりがちです。
このような状況は、顧客・採用候補者に「この会社は止まっている」という印象を与えるリスクがあるため、自社のリソースとフェーズに合った現実的なゴール設定が欠かせません。
まとめ
会社にブログが必要かどうかは、「やる気があるか」「流行っているか」といった感覚ではなく、事業との相性と運営体制の現実から逆算して判断することが大切です。
まず、「顧客は本当に検索しているのか」「商材は比較検討されるタイプか」「半年〜数年単位で人と予算を割けるか」「何のためのブログなのか」「既存チャネルとの役割分担は描けているか」という5点を冷静に確認すると、自社にとっての優先度が見えてきます。
そのうえで、BtoBや高単価・無形サービスのように、情報収集と比較検討が重い領域では、ブログは営業・採用・ブランディングを支える中核施策になりやすく、取り組む意義が大きくなります。一方、即効性が求められる業種や、顧客がそもそもネットで調べないビジネスでは、他のチャネルを優先した方が現実的な場合もあります。
