Webマーケティングの全体像は「3枚の地図」でとらえる
Webマーケティングとは何かをシンプルに整理する
Webマーケティングとは、「インターネット上のあらゆる接点を使って、見込み客を集め、育て、顧客・ファンになってもらう一連の仕組みづくり」のことです。
裏側では、アクセス解析や顧客データをもとに施策の効果を数値で検証しながら改善していく「データドリブンなマーケティング」という側面があります。テレビCMのような一方通行の発信とは異なり、SNSやメールを通じた双方向コミュニケーションが前提になっている点も大きな特徴です。
Webマーケティングで扱う主な接点は、次のようなものです。
- Webサイト
- 検索エンジン(Googleなど)
- SNS(X、Instagram、TikTok、YouTube など)
- Web広告(検索広告、ディスプレイ広告、SNS広告)
- メール、LINE、チャット
- ECサイト など
これらはバラバラの施策ではなく、「ひとつの流れ」としてつながっています。
BtoCならEC購入や来店予約、BtoBなら資料請求や商談といった「最終ゴール」に向けて、それぞれの接点が役割分担をしているイメージです。
この全体像は、次の「3枚の地図」で整理すると理解しやすくなります。
1. ユーザーの行動の地図(カスタマージャーニー)
認知 → 興味・比較検討 → 購入 → 継続・ファン化 というユーザーの心の動きと行動の流れを示したものです。
ここでは、「どんな悩みを抱え、どのタイミングで何を調べ、何が購入の決め手になるのか」を具体的に描き出します。
2. 企業側の施策フローの地図
戦略設計 → 集客 → Webサイト・LP → コンバージョン → 分析・改善 → CRM・リピート という社内の実務フローです。
マーケティング、営業、カスタマーサクセスなど複数部署が関わる「社内プロセスの流れ」として捉えます。
3. チャネル・施策の地図
SEO、広告、SNS、コンテンツ、メール、オフライン連携など、どんな手段をどう組み合わせるかのマップです。
BtoCならSNS・動画・EC、BtoBなら検索・セミナー・資料ダウンロードなど、ビジネスモデルによって「よく使うルート」が変わります。
この記事では、「Webマーケティングの全体像を知りたい」という方が、この3枚の地図を頭に描けるようになることをゴールに解説していきます。
なぜ全体像を知らないと成果が出ないのか
「個々の施策」だけ見てしまう落とし穴
多くの企業がWebマーケティングでつまずく理由は、「個々の施策」だけを見てしまい、「全体の流れ」を設計できていないことにあります。
とくに、SEOだけ、広告だけ、SNSだけといった「縦割り」で担当者が分かれている組織では、施策同士が分断されやすくなります。
起こりがちな状況としては、次のようなものがあります。
- 広告は出しているのに、ランディングページが弱くて成果が出ない
- SNSのフォロワーは増えたが、売上にはほとんどつながらない
- SEOでアクセスは増えたが、お問い合わせや購入が増えない
- 資料請求はあるのに、その後のフォローがなく商談・受注につながらない
これらは、「どこか1箇所だけ頑張っているけれど、他の箇所とつながっていない」状態です。
成果は「掛け算」で決まる
Webマーケティングの成果は、次のような「掛け算」で決まります。
成果 =(集客量)×(サイトの成約率)×(リピート率・単価)
BtoBであれば、ここに「商談化率」「受注率」など営業プロセスの数値も掛け合わさっていきます。
どこか1つだけ良くしても、他がボトルネックになっていれば全体の成果は上がりません。
そのため、全体像を理解したうえで、弱いところを特定し、優先順位をつけて改善していく視点が欠かせません。
この「ボトルネック思考」がないと、予算や工数をどれだけ投下しても、効果が頭打ちになってしまいます。
「部分最適」に陥りがちな典型パターン
1. 「とりあえず広告」パターン
- サイトの訴求や導線が弱いのに、大きな広告予算だけ先に投下している
- 広告担当者は集客数だけを追い、売上やLTVには関与していない
この場合、広告費は「穴の開いたバケツ」に水を入れているような状態になります。
短期的にはコンバージョンが増えても、リピートやアップセルの設計がないため、投資効率が悪化していきます。
2. 「とりあえずSNS」パターン
- とにかく毎日投稿しているが、誰に何を届けたいかが不明確
- SNSから自社サイトや購入ページへの導線もない
その結果、「いいね」は増えてもビジネス成果にはつながりません。
本来SNSは、「認知・共感づくり+サイトへの送客」のハブとして機能させる必要があります。
3. 「制作物だけ立派」パターン
- デザイン性が高いWebサイトを作ったが、集客導線や計測がない
- 内部で更新できず、情報が古いまま放置されている
この場合、Webサイトは「名刺サイト」のまま終わってしまいます。
立派なパンフレットを作っても配らなければ意味がないのと同じ構造です。
4. 「分析だけして動かない」パターン
- Googleアナリティクスなどのレポートを精緻に作るが、改善アクションに落とせていない
- KPIが多すぎて、本当に見るべき指標があいまい
このような状態では、「きれいな資料」は増えても成果は変わりません。
分析は、意思決定と施策の優先順位づけに使ってこそ価値があります。
部分最適を避けるための基本サイクル
これらを避けるには、「まずは全体フロー」をつかみ、そのうえで各ステップを設計していくことが大切です。
逆に言えば、
全体像の把握 → ボトルネック特定 → そこに効く施策を1つ実行
というシンプルなサイクルに落とし込めれば、限られた予算でも成果が出やすくなります。
まずは全体フローをざっくりつかむ
認知〜比較検討〜購入〜ファン化という4つのステップ
ユーザー側の視点で見ると、Webマーケティングの流れはシンプルに次の4ステップに整理できます。これは「カスタマージャーニー」や「ファネル」と呼ばれる考え方とほぼ同じです。
- 認知:商品・サービスの存在を知る
(広告、検索結果、SNS投稿、口コミ、オフライン広告など) - 比較検討:自分に合うかどうかを調べる
(公式サイト、レビュー、比較サイト、ホワイトペーパー、動画コンテンツなど) - 購入・申込み:実際の行動を起こす
(EC購入、問い合わせ、資料請求、無料トライアル申込みなど) - ファン化・リピート:継続利用・紹介・アップセル
(メルマガ、LINE、コミュニティ、サポート、顧客限定コンテンツなど)
この4つのどこが弱いのかを見極めるだけでも、施策の優先順位はかなり整理されます。
たとえば「認知は足りているが比較検討の情報が乏しい」なら事例・FAQ・レビューの強化、「新規は取れているがリピートが弱い」ならオンボーディングやCRMの強化、というように打ち手が見えてきます。
企業側のフロー:戦略設計〜集客〜CV〜分析〜改善〜CRM
企業内の仕事として分解した7つのステップ
ユーザー側の4ステップと対応させながら、企業側の仕事に分解すると次のようになります。
- 戦略設計・ターゲット設計
- ビジネスゴールの設定(売上・利益・リード数など)
- ターゲット顧客の定義、提供価値の整理
- 予算・期間・体制の設計
- BtoBかBtoCか、単発商材かサブスクかなど、ビジネスモデルの前提を明確にする
- 集客
- SEO、リスティング広告、SNS広告、ディスプレイ広告
- SNS運用、コンテンツマーケティング、オフライン施策との連携
- どのチャネルを「メイン」「サブ」にするかの役割分担
- Webサイト・LPでの訴求・導線設計
- トップページ、商品ページ、ランディングページ
- 導線設計、CTA(行動喚起)の設計
- PC・スマホの両方でストレスなく情報にたどり着けるUX設計
- コンバージョン(CV)の獲得
- 問い合わせフォーム、ECカート、資料ダウンロード、会員登録など
- CV率の向上(CRO:コンバージョン最適化)
- 「どのCVをKGI/KPIとするか」を明確に決める
- データ計測・分析
- Google Analytics、広告レポートなどで数値を把握
- ボトルネックの特定、仮説立案
- チャネル別・施策別に「費用対効果」を比較する
- 改善(PDCA)
- クリエイティブ・LP・導線・広告配信の改善
- A/Bテストなどの検証
- うまくいったパターンの横展開と、再現性のある「型づくり」
- CRM・リテンション(顧客育成・ファン化)
- メール・LINE・SNSでのフォロー
- 顧客データの管理と再アプローチ
- 既存顧客向けのアップセル・クロスセル、紹介施策の設計
このフローと、先ほどの「認知〜ファン化」の流れが、きちんと対応している状態が理想です。
たとえば「比較検討」フェーズに対してはブログ・事例・ホワイトペーパー・セミナーなどを用意し、「ファン化」フェーズにはメルマガ・コミュニティ・カスタマーサクセスを対応させる、といった具合です。
ユーザー視点のカスタマージャーニーで全体を描く
なぜユーザー視点が意思決定をラクにするのか
同じ全体像でも、ユーザー視点の「カスタマージャーニー」として描くと意思決定がしやすくなります。
単に「どのチャネルを使うか」ではなく、「ユーザーがどんな体験を経てゴールに辿り着くか」をストーリーとして設計できるからです。
具体的には、次のような問いで整理します。
- どのタイミングで、どんな悩み・疑問を持つのか
- そのとき、どのチャネル・媒体で情報を探すのか
- どの情報が「次の一歩」を後押しするのか
BtoB SaaSのカスタマージャーニー例
BtoBのSaaSを例にすると、次のような流れが考えられます。
- 認知:業務課題を感じて検索 → ブログ記事を読む
- 興味:比較検討のために資料ダウンロード → メールでナーチャリング
- 検討:ウェビナー参加、事例ページ閲覧 → デモ申込み
- 購入:商談 → 契約 → オンボーディング支援
- 継続:定期フォロー、活用セミナー → アップセル・紹介
カスタマージャーニーを描くと、「どのタッチポイントで何を用意すべきか」が見えてきます。
同時に、「このフェーズのコンテンツが足りていない」「この接点は社内で誰が担当するのか」といったギャップも可視化されるため、部門横断での連携にも役立ちます。
ステップ1:戦略とターゲット設計で8割が決まる
自社のビジネスモデルとゴールを明確にする
Webマーケティングは「手段」ではなく、「ビジネスゴールを達成するための仕組み」です。
そのため、最初に次の3点を明確にすることが重要です。
- ビジネスモデル
- 収益ポイント(どこでお金が入るか)
- 単発売りか、サブスク・リピート前提か
- 粗利率やLTV(顧客生涯価値)
- オンライン完結型か、営業や店舗を介するハイブリッド型か
- ゴールの設定
- 売上・受注件数・新規顧客数などの「ビジネス指標」
- そこから逆算したリード数・CV数・サイト訪問数などの「マーケ指標」
- 期間(例:半年で○件、1年で○件)もあわせて決める
- 制約条件
- 予算・期間・社内リソース・ノウハウの有無
- 外部パートナーに任せられる範囲と、自社で内製する範囲
この「土台」があいまいなまま集客を始めると、途中で迷子になります。
とくに中小企業では「予算も人も限られている」ことが多いため、どの指標を優先し、どのチャネルから着手するかを明確にするだけでもムダ打ちが減ります。
「誰に」「何を」「どのように」伝えるかのフレーム
戦略設計のコアは、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを一貫させることです。これはオフラインのマーケティングとも共通する基本ですが、Webではチャネルが多いためブレやすい部分でもあります。
誰に(Who)
- 年齢・性別・職業・役職・業種
- 課題・悩み・達成したいこと
- 情報収集のスタイル(検索中心か、SNS中心か など)
- BtoBなら「決裁者」「現場担当」「情報システム部門」など、複数のペルソナを想定
何を(What)
- 自社ならではの提供価値(ベネフィット)
- 競合と比べた強み・違い
- 顧客の「不」(不便・不安・不満など)をどう解消するか
- 価格だけでなく、サポート・導入のしやすさ・信頼性といった付加価値も含めて整理
どのように(How)
- どのチャネルで出会うか(検索、SNS、オフラインなど)
- どのコンテンツ形式で伝えるか(記事、動画、事例、マンガなど)
- どのトーン・メッセージなら刺さるか
- 認知~比較~購入~ファン化の各フェーズで、メッセージの深さや詳細度をどう変えるか
この3つがバラバラだと、ユーザーにとって「よくわからないメッセージ」になってしまいます。
逆に、ここが揃うと、集客チャネルやコンテンツの選定も自然と決まってきます。
AIや広告自動最適化ツールが進化しても、「Who・What・How」を言語化する部分は人間の仕事であり、ここが甘いとテクノロジーの力も活かしきれません。
BtoBとBtoCで変わるWebマーケティングの設計ポイント
同じWebマーケティングでも、BtoBとBtoCでは設計のポイントが少し異なります。
BtoBの特徴
- 意思決定に関わる人数が多い(担当者、上長、役員など)
- 検討期間が長く、情報収集も慎重
- 資料、事例、セミナー、ホワイトペーパーなどの「深い情報」が重要
- リード獲得 → ナーチャリング → 商談 → 受注 という長いフロー
- MAツールやCRMとの連携、営業との情報共有が成果に直結しやすい
BtoCの特徴
- 意思決定が速く、個人の感情・好みに左右されやすい
- 単価は比較的低いが、顧客数は多い
- SNS、動画、口コミなど「感情に訴えるコンテンツ」が重要
- ECや店舗など「購入までの導線の短さ」が成果を左右
- レビュー評価やUGC(ユーザー投稿コンテンツ)が購買判断に大きく影響する
どちらの場合も全体像のフレームは同じですが、「どこに重心を置くか」「どんなコンテンツを重視するか」が変わります。
BtoBなら中長期のナーチャリング設計、BtoCなら瞬間的な共感や衝動を喚起するクリエイティブやUI/UXの磨き込みが重要になります。
ステップ2:集客チャネルの全体像を整理する
検索からの集客(SEO・リスティング広告)
SEO(検索エンジン最適化)
SEOは、ユーザーが検索したキーワードに対し、自然検索で上位表示を目指す施策です。
- 中長期的な流入の「資産」になりやすい一方で、成果が出るまで時間がかかります。
主なポイント
- ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツ制作
- タイトル・見出し・構造化などの基本的なSEO対策
- 内部リンク設計、サイト構造の整理
- YMYL(お金・健康など)の分野では、とくに専門性・権威性・信頼性の担保が重要
リスティング広告(検索連動型広告)
リスティング広告は、検索結果の上部・下部に表示される「広告枠」に出稿するテキスト広告です。
- 「今、ニーズが顕在化しているユーザー」にリーチできます。
主なポイント
- キーワード選定と入札戦略
- 広告文とLPの一貫性(検索語とメッセージの整合)
- コンバージョン単価(CPA)を見ながら出稿を調整
- 低予算の場合は「指名キーワード」や「購入意欲が高いキーワード」から始める
SEOは「資産づくり」、リスティング広告は「即効性のある水道」として役割分担させると、全体のバランスが取りやすくなります。
SNSからの集客(X、Instagram、TikTok、YouTubeなど)
SNSは「認知〜興味喚起〜ファン化」まで幅広く使えるチャネルです。最近はショート動画やストーリーズなど、「スマホ前提の縦型コンテンツ」が主流になっています。
主なプラットフォームの特徴は次のとおりです。
- X(旧Twitter):拡散性が高く、情報感度の高いユーザーが多い
→ BtoBの採用・ブランディング、ニュース性のある情報発信と相性が良い - Instagram:ビジュアル重視。美容・ファッション・ライフスタイル系と相性が良い
→ 世界観づくりやブランドイメージ構築に向いている - TikTok:ショート動画中心。エンタメ性が高く、若年層に強い
→ 認知拡大や、サービスの「空気感・楽しさ」を伝えるのに適している - YouTube:長尺動画も扱える。教育・解説コンテンツやブランディングに有効
→ BtoBのセミナー動画やハウツー動画のアーカイブとしても活用できる
運用にあたっては、次の3点をあらかじめ決めておくことが重要です。
- 誰に見てほしいか(ターゲット)
- 認知・比較・ファン化のどのフェーズで使うか
- 自社サイトや商品への導線をどう設計するか
アルゴリズム任せで漫然と投稿するのではなく、「プロフィール → リンク → LP/EC」という線を意識するだけでも、成果の出方は変わります。
ディスプレイ広告・リターゲティング広告
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に表示されるバナー広告や動画広告です。
- 興味・関心や属性ベースでターゲティングでき、「潜在層」の認知獲得に向いています。
- YouTubeやニュースサイト、アプリ内バナーなど、接触面は多岐にわたります。
リターゲティング(リマーケティング)広告
リターゲティング広告は、一度サイトに訪れたユーザーを追いかけて表示する広告です。
- 資料請求・カート投入など、「あと一歩でCVしそうな人」に再アプローチできます。
- Cookie規制の影響を受けつつあるため、自社の会員情報やメールアドレスを活用したターゲティング(カスタムオーディエンス)も併用されます。
これらは、検索やSNSと組み合わせて「接触回数を増やす」役割として設計します。
「1回見て終わり」のユーザーを、「何度も接点を持ったうえで自然に比較・検討してもらう」状態にしていくイメージです。
オウンドメディア・ブログ・コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、「ユーザーにとって価値のある情報発信を継続し、信頼を築きながら見込み客を獲得する」考え方です。
代表的なコンテンツの例は次のとおりです。
- ブログ記事・コラム
- お役立ち資料・ホワイトペーパー
- 事例インタビュー
- ノウハウ動画・ウェビナー など
これらは、
- SEOによる検索流入
- SNSでの拡散
- メール・LINEでのナーチャリング
の「ハブ」として機能します。
短期的な成果は出づらいものの、中長期で見ると最もコストパフォーマンスが良い集客・育成の資産になり得ます。
とくにBtoBでは、「課題の理解 → 解決策の比較 → ベンダー選定」という長い道のりを支えるコンテンツ群(ブログ、事例、FAQ、技術情報など)が、商談数・受注率を左右します。
オフラインとの連携(テレビ・チラシ・イベントなど)
Webマーケティングはオンラインだけで完結しません。オフライン施策と組み合わせることで効果が高まります。
- テレビCM → サイトや検索への流入増
- チラシ・雑誌広告 → 指定URLや検索キーワード、QRコード経由のアクセス
- 展示会・セミナー → 事後のメール・Webコンテンツでのフォロー
このように、オフラインで得た「認知」や「名刺・リード情報」を、Webでの情報提供やナーチャリングにつなげる設計が重要です。
最近では、店舗の来店履歴やPOSデータとWebデータを組み合わせる「オムニチャネル」も一般的になっています。オンラインとオフラインを切り離して考えるのではなく、「顧客から見れば1つの体験」として統合的に設計する発想が求められます。
ステップ3:Webサイト・LPで成果を生み出す設計
「ただの会社サイト」と「売れるサイト」の違い
成果を生むサイトとそうでないサイトの違いはシンプルです。
- 「誰の」「どんな課題を」「どう解決するサイトなのか」が、一瞬で伝わるか
- ユーザーが迷わず「次の一歩」(問い合わせ、資料ダウンロードなど)に進めるか
ただの会社サイトの特徴
- 会社概要や沿革、事業紹介が中心
- トップページに情報が並んでいるだけで、ストーリーがない
- CTAが目立たず、「何をしてほしいのか」が曖昧
売れるサイト・LPの特徴
- ファーストビューで「ターゲット」「課題」「ベネフィット」が明確
- ユーザーの疑問に沿って情報が整理されている
- 明確でわかりやすいCTAが配置されている
- 信頼性を担保する要素(事例・実績・セキュリティ・会社情報)が適切に盛り込まれている
WebサイトやLPは「ゴールへのゲート」です。ここが弱いと他の施策がすべてムダになってしまいます。
広告・SNS・SEOなどでどれだけ集客しても、「受け皿」が機能していなければ成果にはつながりません。
ランディングページの基本構成とチェックポイント
一般的なランディングページ(LP)の構成は、次のような流れが基本です。
- キャッチコピー・ファーストビュー
- 誰のための商品か
- 何がどう良くなるのか(ベネフィット)
- 具体的なCTA(今すぐ資料請求、無料で試す など)
- 共感・課題提起
- 「こんなお悩みはありませんか?」といった形で、ターゲットの現状と課題を言語化
- 解決策の提示(サービス紹介)
- 機能・特徴よりも、「どう課題が解決されるか」を中心に説明
- Before / After の変化をイメージさせる
- 社会的証明(実績・事例・お客様の声)
- 導入事例、数値実績、第三者評価、受賞歴などを提示
- 安心材料の提示
- 返金保証、無料トライアル、サポート体制、セキュリティなどを明示
- 再度のCTA
- ページ下部などにも、再度明確に行動を促すボタンを配置
主なチェックポイントは以下のとおりです。
- スマホで見たとき、1画面目で価値が伝わるか
- CTAボタンがわかりやすく、押しやすい位置にあるか
- 「よくある質問」で不安を十分に解消できているか
- ページ読み込み速度が遅すぎて途中離脱を招いていないか
この基本構成を押さえたうえで、A/Bテストやヒートマップ分析で改善を繰り返していくのがCROの王道パターンです。
スマホ時代に外せないUX/UIの考え方
現在は、多くのサイトでアクセスの過半数がスマホからです。スマホでのUX/UIが弱いと、どれだけ集客しても離脱してしまいます。
確認すべき主なポイントは次のとおりです。
- 文字サイズ・行間:小さすぎず、読みやすいか
- ボタンの大きさ・位置:親指で押しやすい配置か
- フォーム入力:項目数が最小限か、入力補助があるか
- 読み込み速度:画像が重すぎて遅くなっていないか
- 電話・LINE・チャットなど、「スマホならではのCV手段」を用意しているか
UX/UIは専門的な領域に見えますが、「自分でスマホから触ってみてストレスがないか」を素直に確認することが基本です。
必要に応じてデザイナーやフロントエンドエンジニアと連携し、継続的に改善していくと効果が出やすくなります。
ステップ4:コンバージョン最適化(CRO)の全体像
CV(コンバージョン)を定義する
CRO(Conversion Rate Optimization)は、「サイト訪問者のうち、どれだけを目標行動に進ませられるか」を高める取り組みです。
まずは、自社にとってのCV(コンバージョン)を明確に定義することが重要です。
- ECサイト:購入完了
- BtoBサービス:資料ダウンロード、無料相談申込み、デモ申込み
- セミナー:参加申込み
- メディア:会員登録、メールマガジン登録 など
CVを明確にすると、次のように数字をつなげて考えられます。
- セッション数 × CV率 = CV数
- CV数 × 受注率 × 平均単価 = 売上
さらに、LTV(顧客生涯価値)やリピート率まで含めて設計すると、「どこまで広告費を出してよいか」「どのCVを重視すべきか」といった判断もしやすくなります。
A/Bテストで何をどう試すか
CROの代表的な手法がA/Bテストです。
ページの一部を変えたパターンA・Bをランダムに出し分け、CV率の差を検証します。
テストすべき主な要素は、次のようなものです。
- キャッチコピー・見出し
- ファーストビューの画像や構成
- CTAボタンの文言・色・位置
- 料金表示の見せ方(年額・月額、プランの並べ方)
- フォームの入力項目数、ステップ数
運用にあたってのポイントは以下のとおりです。
- 1回のテストでは「変数を絞る」(一度に多くを変えない)
- ある程度のアクセス数が集まるページから優先的に実施する
- CV率だけでなく、獲得した顧客の質(LTVや解約率)も確認する
- 小さな改善でも積み重ねれば大きなインパクトになると理解しておく
最近は、広告プラットフォームやLPツール側に簡易テスト機能が備わっていることも多いため、「毎月1つはテストする」と決めて習慣化するのがおすすめです。
フォーム改善・導線設計・信頼性向上のポイント
CV率を上げるための定番チェックポイントは次のとおりです。
フォーム改善
- 入力項目を最小限にする(BtoBでも「必須は名前・メール・会社名」程度に)
- 不要なFAX番号や部署名などは削る
- 入力エラー時のメッセージをわかりやすくする
- スマホでの入力しやすさ(キーボード種別、オートコンプリートなど)を意識する
導線設計
- ページのあちこちからCVポイントへスムーズに行けるか
- スクロールが長くても、途中に複数回CTAを配置しているか
- ナビゲーションが複雑になっていないか
- 重要な導線ほど「迷わせない1本道」になっているか
信頼性の向上
- 会社情報・運営者情報がきちんと記載されているか
- プライバシーポリシー・セキュリティ対策が明記されているか
- 第三者の評価・導入実績・お客様の声が掲載されているか
- 医療・金融など「信頼性が重要な領域」では、専門家監修や資格表示も検討する
「見込み客が最後に迷うポイント」を丁寧に潰していくことが、CROの本質です。
華やかな新施策よりも、こうした地道な改善のほうが、最終的な売上インパクトが大きいことも珍しくありません。
ステップ5:見込み顧客の育成とCRM
一度来たユーザーを「追いかける」仕組みづくり
Webマーケティングでは、「1回目の訪問でいきなりCVする人」は少数派です。
とくにBtoBや高単価商材では、複数回の接触・検討を経てようやく問い合わせ・購入に至ります。
そのためには、次のような仕組みが必要です。
- 一度アクセスしたユーザーを特定・蓄積する
- 適切なタイミング・内容で再アプローチする
代表的な手段としては、次のようなものがあります。
- リターゲティング広告
- メールマーケティング
- LINE公式アカウント
- 会員登録・ログインを前提としたサイト運用
- CRMやMAツールによるスコアリング・セグメント配信
重要なのは、「接触回数をただ増やす」のではなく、「ユーザーの検討段階に合った情報を届ける」ことです。
早すぎる売り込みは、かえって離脱を招きます。
メールマーケティング・LINE・MAツールの役割
メールマーケティング
メールマーケティングは、資料ダウンロードや会員登録をしたユーザーに対してメールを配信し、関係を深めていく施策です。
- ウェルカムメール、ステップメール、ニュースレター、セミナー案内などが代表例です。
- BtoBでは、「教育的コンテンツ → 事例紹介 → 提案の打診」といったシナリオ設計がよく使われます。
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、スマホでの開封率が高く、BtoC中心に効果的です。
- クーポン配信、キャンペーン案内、予約リマインドなどに活用できます。
- 店舗ビジネスでは、「来店後のフォロー」「再来店のきっかけづくり」としても有効です。
MA(マーケティングオートメーション)ツール
MAツールは、ユーザーの行動データ(サイト閲覧履歴、メール開封、資料ダウンロードなど)を記録し、スコアリングや自動配信を行うツールです。
- 特にBtoBで、リードナーチャリングと営業連携を強化する目的で導入されます。
- 「どのリードが今、営業に渡すべきホットリードか」を可視化する役割もあります。
いずれも、「適切な人に、適切なタイミングで、適切なメッセージを届ける」ことが役割です。
その前提として、「どの行動をした人を、どう評価(スコアリング)するか」というルールづくりが必要になります。
既存顧客をファンに変えるコミュニケーション設計
新規獲得だけでなく、既存顧客のファン化・LTV向上もWebマーケティングの重要な一部です。新規獲得コストが高騰している現在、ここに注力する企業が増えています。
代表的な取り組みとしては、次のようなものがあります。
- 導入・購入直後のオンボーディングコンテンツ
(使い方ガイド、動画チュートリアル、チェックリストなど) - 定期的な活用事例・ノウハウの提供
- 顧客限定のコミュニティ・イベント
- フィードバックの収集と改善内容の共有
- ロイヤルカスタマー向けの紹介プログラムや特典
「買って終わり」ではなく、「買ってからがスタート」と捉え、Webとメール・コミュニティを活用して関係性を深めていきます。
こうした取り組みは、解約率の低減やアップセルだけでなく、口コミ・レビュー・UGCといった「新規獲得につながる資産」にもなっていきます。
必須の基礎インフラ:データ計測と分析
まず入れておきたい計測ツール
Webマーケティングの全体像を運用するには、「計測のインフラ」が必須です。具体的には、次のようなツールを最低限導入します。
- Google Analytics(GA4):サイトへのアクセス状況・行動を把握する
- Googleタグマネージャー(GTM):各種タグ(GA、広告、ヒートマップなど)の管理
- 広告プラットフォームのレポート:Google広告、Meta広告などの管理画面
- Search Console:検索キーワード・検索結果での表示状況の把握
- 必要に応じて、ヒートマップツールやセッションリプレイツール
まずはこれらを導入し、以下のような基本的な指標がわかる状態にしておきます。
- セッション数
- 流入元(オーガニック検索、広告、SNSなど)
- CV数・CV率
ここが整っていないと、「何がうまくいっていて、何がダメなのか」が判断できず、改善の打ち手も感覚頼りになってしまいます。
最低限おさえたい指標
すべての数字を追う必要はありません。最低限、次のような指標を押さえておくとよいです。
トラフィック関連
- セッション数、ユーザー数
- 流入チャネル別のセッション数(検索、広告、SNSなど)
行動関連
- ページ別の閲覧数、離脱率
- 平均エンゲージメント時間(滞在時間)
- 重要ページ(LP、商品ページ)への到達率
成果関連
- CV数、CV率
- チャネル別・キャンペーン別のCV数・CV率・CPA
- 必要に応じて「売上」「LTV」「解約率」まで紐づける
目的は、「どこがボトルネックになっているか」を特定することです。
たとえば「流入は十分だがCV率が低い」「広告はCVするが、自然検索経由は質が低い」など、課題の所在が見えれば、次にやるべき改善も明確になります。
PDCAを回すためのシンプルな分析プロセス
分析から改善までのプロセスは、次のようなシンプルなループで十分です。
- 現状把握
- 目標(例:月間CV100件)と現状(例:CV50件)を把握する
- ボトルネック特定
- 流入が足りないのか、CV率が低いのか、どのチャネルが弱いのかを確認する
- 仮説立案
- 例:「広告からのLPの訴求が弱い」「フォームが長すぎる」などの仮説を立てる
- 施策実行
- LPの見出しを変更、フォーム項目削減、広告ターゲティング変更などを行う
- 効果検証
- 指標の変化を確認し、次の施策に活かす
完璧な分析を目指すよりも、「小さく仮説→実行→検証」のサイクルを回すことが大切です。
このPDCAは、SEO・広告・SNS・コンテンツ・CROなど、Webマーケティングのあらゆる領域に共通する「共通言語」になります。
Webマーケティングの代表的施策を一気に俯瞰する
SEOの役割と「やってはいけない」施策
SEOの役割
- 中長期的に安定した検索流入を獲得する
- コンテンツを通じて専門性・信頼性を高める
- 広告費に依存しない集客基盤を作る
やってはいけない施策
- キーワード詰め込みなど、不自然な文章の量産
- 自作自演の被リンク購入やスパム的なリンク集
- コピーコンテンツの大量生成
これらは検索エンジンのガイドラインに反し、ペナルティのリスクがあります。
「ユーザーにとって価値のあるコンテンツを、検索エンジンにも理解しやすい形で提供する」という原則を守ることが重要です。
近年は「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」の観点も重視されており、実体のある事業者としての情報開示や、専門家による監修なども評価対象になってきています。
Web広告(検索・SNS・ディスプレイ)の使い分け
検索広告
- 顕在層向け。「今まさに探している人」にリーチできる
- 競争が激しいキーワードは単価が高くなりがち
- 少額からでも成果が見えやすく、「最初の一手」として選ばれやすい
SNS広告
- 興味・関心・属性ベースのターゲティングが可能
- クリエイティブ次第で認知拡大〜CV獲得まで幅広く活用できる
- 画像・動画・カルーセルなど、表現の自由度が高い
ディスプレイ広告
- 潜在層・リターゲティングに有効
- ブランド認知や想起の維持に向いている
全体設計としては、
- 検索広告で「取りこぼしたくないニーズ」を確実に拾い、
- SNS・ディスプレイ広告で「まだ顕在化していない層」にも接触し、
- LP・サイトでCV率を最大化する
という組み合わせで考えるのが基本です。
広告運用そのものは自動化が進んでいますが、「どのチャネルにいくら投資し、どんな役割を期待するか」を決めるのは人間の仕事です。
SNS運用で認知とファンを増やす考え方
SNS運用では、「売り込み」ではなく「価値提供と信頼構築」が中心になります。
- 有益な情報発信(ノウハウ、事例、トレンド解説)
- 企業やブランドの「人となり」が伝わるストーリー
- ユーザーとの対話(コメント返信、Q&A、ライブ配信など)
短期的な売上を直接追う施策ではありませんが、
- 認知拡大
- ファンコミュニティの形成
- コンテンツ流通のハブ
として、全体像の中で重要な役割を担います。
また、SNSで得られた反応(いいね・コメント・DM)は、「顧客の生の声」として商品開発や他チャネルのコンテンツ改善にも活かせます。
コンテンツマーケティングで中長期の資産をつくる
コンテンツマーケティングは、次のような観点から全体に効いてきます。
- 検索エンジンからの流入を増やす
- SNSでの情報拡散の土台を作る
- メールやLINEでのナーチャリング素材にする
- 営業が使える資料・提案の材料にする
重要なのは、「記事を1本書いて終わり」ではなく、コンテンツを資産として再利用し続ける設計です。
たとえば、
- ブログ記事 → ホワイトペーパー → ウェビナー → メールシナリオ
といった形で再編集していくことで、1つのコンテンツ投資から得られるリターンを最大化できます。
この「リパーパス(再利用)」を前提に企画すると、コンテンツマーケティングの効果が高まりやすくなります。
成功パターン・失敗パターンから学ぶ全体設計
成功パターン:全体像がつながっている事例の共通点
成果を出している企業には、次のような共通点があります。
- ターゲットと提供価値が明確で、一貫したメッセージがある
- カスタマージャーニーが整理されており、各フェーズに必要なコンテンツが揃っている
- 集客チャネルとLP・サイト、CRMが「1本の線」でつながっている
- データを見ながら、小刻みに改善(CRO・コンテンツ拡充など)を継続している
- 営業やカスタマーサクセスと連携し、「受注〜継続〜紹介」までの流れを作っている
- 施策ごとの「役割」と「KPI」が明確で、組織内で共通認識を持てている
つまり、「単発の施策」ではなく、「ビジネス全体の仕組み」としてWebマーケティングを設計しています。
大企業に限らず、中小企業でもこの考え方を取り入れることで、限られたリソースを有効活用しやすくなります。
失敗パターン:「とりあえず広告」「とりあえずSNS」が危険な理由
一方で、失敗事例でよくあるのが次のようなパターンです。
- ゴール・ターゲットが決まっていない状態で、いきなり広告出稿する
- SNS担当をアサインしたものの、戦略もKPIもなく、投稿だけが続く
- 高額なWebサイトを作ったが、集客がなく誰も見ていない
これらに共通するのは、
- 「全体像」から逆算していない
- 施策同士のつながりがない
- 計測と改善の仕組みがない
という点です。「とりあえず」から入ると、後から修正するコストも大きくなります。
また、外部パートナーに丸投げした結果、「何をしているのか社内で理解できていない」という状態もよく見られます。自社側でも全体像を把握し、「何を期待し、どう評価するのか」を持っておくことが重要です。
小さく始めてムダなく広げるロードマップ
いきなり完璧な全体像を作る必要はありません。おすすめは次のようなステップです。
- 戦略とCVの定義を決める
- 1〜2チャネルに絞って集客を始める(例:検索広告+ブログ)
- LP・フォームのCROを行い、「一番のボトルネック」に集中して改善する
- 顧客データを溜めながら、メール・LINEなどのナーチャリングを追加する
- 成果が出てきたチャネルを強化しつつ、次のチャネルに展開する
このように、「小さく始めて、うまくいった型を横展開する」ことで、ムダなく全体像を拡張していくことができます。
トレンドの新チャネルや新ツールに飛びつく前に、「今の型を再現可能にすること」に重心を置くと、ブレない運用がしやすくなります。
これからのWebマーケティング全体像をどうアップデートするか
Cookie規制・プライバシーとファーストパーティデータ
近年、プライバシー保護の強化により、次のような変化が起きています。
- サードパーティCookieの制限
- 各種プラットフォームでのトラッキング制限
これにより、「追跡型広告」に頼りすぎた施策は効きづらくなりつつあります。
今後重要になるのは、次の3点です。
- 自社で直接取得したファーストパーティデータ(会員情報、メルマガ登録、購買履歴など)の活用
- コンテキスト(文脈)ベースの広告・コンテンツ配信
- プライバシーに配慮しつつ、ユーザーの同意を得たうえでのコミュニケーション
全体像としても、「Cookie頼み」ではなく、「自社と顧客の関係性」を資産とする設計が求められます。
そのためには、ユーザーにとって「登録する価値のあるコンテンツ・体験」を用意し、自発的に情報を提供してもらえる仕組みを作ることが不可欠です。
AI・自動化時代に人がやるべき仕事
AIや自動化ツールの進化により、次のような作業は効率化されています。
- 広告配信の自動最適化
- 自動レポート作成
- コンテンツの下書き生成 など
一方で、人が担うべき役割は、次のような領域にシフトしています。
- ビジネスゴールから逆算した「戦略設計」
- ターゲット理解・インサイトの発見
- クリエイティブの方向性・ストーリー作り
- 顧客との長期的な関係構築
AIはあくまで「手段」の一つであり、「何を実現したいのか」「誰のどんな課題を解決したいのか」を定めるのは人間の役割です。
Webマーケティングの全体像を理解したうえで、「どこをAIに任せ、どこを人が担うか」を設計することが今後ますます重要になります。
例えば、広告運用の入札調整やレポート生成はAIに任せつつ、KPI設計やクリエイティブの方向性決定は人間が行う、といった役割分担です。
中小企業・個人事業でも今日から始められる一歩
最後に、「これからWebマーケティングを本格的に始めたい」という中小企業・個人事業向けに、今日からできる一歩を整理します。
- ゴールとターゲットを1枚の紙に書き出す
- 1年後にどんな状態になっていたいか(売上・顧客数など)
- 誰に、どんな価値を届けたいか
- 「メインのCV」をひとつ決める
- 問い合わせ、資料請求、EC購入、体験申込みなど
- 1つの集客チャネル+1枚のLPから始める
- 例:検索広告+LP、Instagram+プロフィールリンク など
- Google Analyticsを導入し、CV計測を設定する
- 月に1回、「数字を見て1つだけ改善する」時間を作る
これだけでも、「点」だった施策が「線」としてつながり始めます。
将来的には、メール・LINEによるナーチャリング、コンテンツの拡充、CRMツールの導入などへと広げていくことになりますが、その土台となるのはここで挙げたシンプルな一歩です。
Webマーケティングの全体像は、一度で完璧に理解する必要はありません。
3枚の地図(ユーザーの行動、企業のフロー、チャネルマップ)を頭に置きながら、小さく実践と改善を繰り返すことで、着実に自社なりの勝ちパターンが見えてきます。
Webマーケティングは、個別施策の寄せ集めではなく、「ユーザーの行動」「企業内のフロー」「チャネル・施策」の3枚の地図がつながったひとつの仕組みとしてとらえることが大切です。認知から比較検討、購入、ファン化までの流れをカスタマージャーニーとして描き、それに対応する社内プロセスとチャネル配置を整理すると、「どこが弱いのか」「今どこを改善すべきか」が見えてきます。
すべてを一度に完璧に組み上げる必要はありません。まずはゴールとターゲット、メインとなるCVを決め、1〜2チャネルと1枚のLPに絞って小さく始める。それを計測しながら、ボトルネックを特定し、一つずつ改善していく。このシンプルなサイクルを回し続けることで、自社なりの型が少しずつ形になっていきます。3枚の地図を頭に置きつつ、自社の現状に合わせて一歩ずつ設計し直していくことが、遠回りに見えて最短の近道です。