ディスプレイ広告を使うか迷った時の判断ポイント

目次

ディスプレイ広告は本当に必要か?まず全体像を整理する

ディスプレイ広告の役割

ディスプレイ広告は、視覚的な訴求を通じて認知を広げたり、興味段階のユーザーを育成することを主な役割としています。バナーや動画でブランドを訴求し、リマーケティングで購入検討を後押しします。短期的な即時獲得よりも、上位ファネルでの接点形成や継続的なコミュニケーションに強みがある広告です。

検索広告と比べると平均クリック率は低く(検索広告が5〜10%程度に対し、ディスプレイ広告は0.3〜0.8%前後、GDN平均は約0.6%)、その分「広く薄く当てる」認知・興味喚起に向いています。ROAS(広告費用対効果)やNTB(New To Brand=新規顧客比率)といった指標で、中長期の売上貢献を評価していくタイプの広告です。

また、Google Display Network、Amazon DSP、Metaなどのプラットフォームを通じて、ウェブサイト・アプリ・動画・屋外サイネージなど多様なディスプレイ面に配信できるため、「オンライン×オフライン」を横断した接点づくりにも活用されます。

検索広告・SNS広告との違いと、ディスプレイ広告が向いている目的

検索広告は能動的な購買意図を持つ顕在層に強く、SNS広告は興味喚起やコミュニティ形成に向いています。ディスプレイ広告は、広範囲の認知獲得、ブランド想起、来店喚起に適しています。チャネルごとの役割を整理したうえで、目的別に使い分けることが重要です。

チャネル別の強みと主な指標

チャネル 強み 主な指標
検索広告 高いCVR・ROAS、顕在ニーズの刈り取り CVR、CPA、ROAS
SNS広告(フィード・ストーリーズなど) 興味喚起、エンゲージメント、ファン化 リーチ、エンゲージメント率、インクリメンタルリフト
ディスプレイ広告 大規模リーチ、上位ファネルの認知、リマーケティング、来店計測との相性 インプレッション、CTR、ビュースルー効果、NTB

サードパーティークッキー廃止後は、ディスプレイ広告でも「コンテキストターゲティング」や自社のファーストパーティーデータ連携を前提に、設計・運用していく必要があります。

「なんとなく出す」と失敗する代表的なパターン

ディスプレイ広告は、設計があいまいなまま出稿すると、費用対効果が悪化しやすい広告です。特に次のような状態は失敗につながります。

  • ターゲット設計が不十分
  • KPIが設定されていない
  • クリエイティブを改善せず放置している
  • クッキー非依存を前提とした運用設計ができていない

加えて、次のようなよくある失敗にも注意が必要です。

  • ラストクリックだけで評価する
    認知・興味喚起が中心のディスプレイ広告を、「即時コンバージョンが出ないから失敗」と早期に判断し、停止してしまうケースです。MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)やインクリメンタル指標を確認しないと、真の貢献度は見えません。
  • ブランドセーフティを軽視する
    配信先サイトやアプリを精査しないことで、不適切なコンテンツの近くに広告が表示され、ブランド毀損につながるリスクがあります。
  • アドブロック・視認性を無視する
    表示はされていても実際には見られていない在庫に配信し続け、見かけ上のインプレッションだけ増えて効果につながらないケースです。視認性(ビューアビリティ)を前提にした配信設計が求められます。

ディスプレイ広告が「必要なケース」と「まだ早いケース」を見極める

ディスプレイ広告が向いているビジネスの特徴

次のような状況にあるビジネスには、ディスプレイ広告が比較的向いています。

  • 認知拡大が売上のボトルネックになっている
  • 単価やLTVが高く、顧客育成が必要な商材(BtoB、車、旅行など)
  • 実店舗やイベント来場を増やしたいローカルビジネス

さらに、以下の条件に当てはまる場合は、ディスプレイ広告の優先度が一段と高まります。

  • 比較検討期間が長く、複数チャネルをまたいで情報収集される
  • 地域やタイミング(時間帯・曜日)によって需要が偏る(店舗・イベント・シーズン商材など)
  • ブランドの世界観やビジュアルで差別化しやすい(ファッション、車、エンタメなど)
  • AmazonなどECプラットフォーム上での売上を伸ばしたく、ROASを基準に最適化したい

屋外デジタルサイネージや店頭ディスプレイと組み合わせれば、「Webで認知 → 街中・店舗で再接触」という立体的な導線を構築できます。

ディスプレイ広告が「まだ不要」かもしれない状況

次のようなケースでは、ディスプレイ広告よりも先に取り組むべき施策がある可能性が高いです。

  • 指名検索や既存顧客だけで現状の需要が十分に満たされている
  • 月間の広告予算や運用リソースが極端に小さい(少額での試験的な実験は可能)

さらに、以下のような状況では、まず他チャネルを優先したほうが効率的です。

  • 商材単価が非常に低く、LTVもほとんど見込めない(ワンショット購入のみ)
  • WebサイトやLPのCVRが極端に低く、広告よりも受け皿の改善が優先課題になっている
  • ファーストパーティーデータがほとんどなく、ターゲティング精度を高める手段がない

このような場合は、検索広告や既存顧客へのメール・LINE配信、SNSのオーガニック運用など、コスト効率の高い施策から着手した方が、投資回収しやすくなります。

チェックリスト:自社はディスプレイ広告を使うべきか

以下の質問にYES/NOで答えることで、自社におけるディスプレイ広告の必要性を整理できます。

  • 認知不足が原因で売上が伸び悩んでいるか
  • 商材単価・LTVが中〜高水準か
  • 顧客の検討期間が比較的長いか
  • 来店やサイト滞在が成果にとって重要か
  • 運用担当者または信頼できる代理店を確保できるか
  • クリエイティブを定期的に制作・改善できるか
  • 目標とするKPIを明確に設定できるか
  • ファーストパーティーデータを一定量保有しているか
  • 広告予算の一部をテスト枠として割り当てられるか
  • ブランドセーフティを管理できる体制があるか

YESの数が多いほど、ディスプレイ広告導入を検討する価値が高いといえます。特に「ファーストパーティーデータ」「運用リソース」「KPI設計」の3点は、クッキーレス時代のディスプレイ運用において、ほぼ必須条件となりつつあります。

目的別に見る:ディスプレイ広告活用の判断ポイント

ブランド認知・イメージアップが目的の場合

ブランド認知向上が目的の場合は、「現在より認知を何%上げたいか」をあらかじめ数値化し、必要なインプレッションや到達率から逆算して設計します。純広告(高視認性の枠)とGDNなどのプログラマティック配信を使い分け、ローカルな到達を重視する場合は屋外ディスプレイの併用も検討します。

代表的な指標は次の通りです。

  • インプレッション(表示回数)とリーチ(到達人数)
  • インプレッション単価(CPM)
  • 広告想起・ブランド想起(アンケートやブランドリフト調査)
  • New To Brand(新規顧客比率)

たとえば、Times Squareの大型LEDウォールのようなインパクトの大きい面での露出と、オンラインのディスプレイ配信を組み合わせることで、「街中で見た → スマートフォンで再度見かける」といったシナジーを狙うことも可能です。

新規顧客獲得・問い合わせ増が目的の場合

新規顧客獲得や問い合わせ増を目的とする場合、ディスプレイ広告単体での即時成約には期待しすぎないことが重要です。検索広告やSNS広告での獲得導線と組み合わせ、ファネル前半と後半の役割分担を明確にします。

ディスプレイ広告はクリック率0.3〜0.8%程度、CVRも検索広告より低くなりやすい前提を置いたうえで、次のように設計します。

  • ディスプレイ広告:認知・興味喚起、サイト訪問のきっかけづくり
  • 検索広告・指名検索:資料請求・購入・問い合わせなど、具体的行動の刈り取り

この二段構成にし、「ラストクリックだけ」でなく、「ディスプレイ広告接触あり/なし」でCVRやCPAがどう変化するかを比較することが有効です。Amazon DSPなどのプラットフォームでは、ROASベースで自動最適化されるため、「新規顧客の獲得効率」もあわせて確認していきます。

リピーター育成・LTV最大化が目的の場合

リピーター育成やLTV最大化を目的とする場合、リマーケティングは効果が出やすい施策ですが、まずはメールやLINEなど、すでに持っている接点の活用を優先するのが基本です。そのうえで、ディスプレイ広告を補完的なチャネルとして使い、接触の頻度やタイミングを設計していきます。

具体的には、次のような取り組みが考えられます。

  • カート放棄・資料請求直後など、行動シグナルごとに配信クリエイティブを変える
  • 配信頻度(フリークエンシー)を制御し、嫌悪感を与えない範囲で「ちょうどよい接触回数」を探る
  • 購入履歴や閲覧履歴をもとに、アップセル・クロスセル商品のバナーを出し分ける

これらを実行するには、CRMやMAツールとの連携、顧客セグメントの設計が前提になるため、「データ基盤」と「運用体制」の整備もセットで検討していく必要があります。

まとめ:自社のフェーズと目的に合わせて「投資すべきか」を判断する

ディスプレイ広告は、検索広告やSNS広告の「代わり」ではなく、「どの段階のユーザーと、どのような接点をつくるか」を補うための選択肢です。クリック率や短期のCVだけで判断すると割高に感じやすい一方で、認知の底上げや検討期間の長い商材の育成、リアル店舗やイベントへの送客など、中長期で効いてくる場面も少なくありません。

本記事で扱ったポイントをあらためて整理すると、次のようになります。

  • まずは検索広告・既存顧客施策・サイト改善など「近道」から優先する
  • 認知不足や検討期間の長さがボトルネックなら、ディスプレイ広告の検討余地が大きい
  • 導入前に、ターゲット・KPI・クリエイティブ改善・ブランドセーフティ・測定方法を明文化しておく
  • ラストクリックではなく、インクリメンタルリフトやNTB、来店計測などで貢献度を見ていく

自社のフェーズ・予算・体制を踏まえたうえで、「今ディスプレイ広告に投資すべきか」「どの目的にどの程度配分するか」を設計することが、ムダ打ちを避けつつ成果を最大化する鍵になります。

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この記事を書いた人

Webマーケティング業界10年以上のフリーランス。
「低コストでも、効果のあるWebマーケティング」をご提供することをモットーに、多岐にわたる業種の会社さまのご支援を行っております。
※2025年1月に法人化しました。