「一人Web担当になったばかり」のあなたへ
一人Web担当の役割とは
一人Web担当の役割は、「会社のビジネス目標を、Webを使って実現すること」です。
単にサイトを更新したりバナーを作ったりする人ではなく、「成果をつくる人」としての役割が求められます。
ここでいう成果とは、例えば次のようなものです。
- 問い合わせ件数が増える
- 資料請求が増える
- 採用応募が増える
- 来店予約・見学予約が増える
- 既存顧客との接点が増え、リピートや口コミにつながる
特に中小企業や、住宅・建築など「もともとWebが弱かった業界」では、「問い合わせ・資料請求・見学予約」などをWeb経由で増やすこと自体が、Web担当の存在意義になっているケースが多く見られます。紙のチラシや営業任せだった集客を、Webからも安定して生み出せるようにする役割と捉えるとイメージしやすくなります。
つまり、一人Web担当は「サイトをきれいに保つ係」ではなく、「売上や採用を支える仕組みをWebでつくる係」です。
そのために、次のような幅広い役割をまとめて担うことになります。
- Web戦略の整理(誰に何を届けて、どう行動してもらうか)
- サイト更新・LP作成・ブログ更新などの運用
- アクセス解析・改善案の立案
- SEOや広告、SNSなどの集客施策
- 制作会社や広告代理店とのやり取り(ディレクション)
会社によっては、ここに次のような「運用寄りの仕事」も加わることがあります。
- Web広告の出稿管理(リスティング広告やSNS広告の入稿・レポート確認)
- メール配信やメルマガの作成
- EC運営の場合は、商品ページの登録・画像加工・在庫連携の確認
一人で、ディレクター・マーケター・オペレーターの役割をまとめて担うイメージです。
すべてを完璧にこなす必要はありませんが、「なぜこの作業をしているのか(ゴールは何か)」を常に意識することが、一人Web担当としてのブレない軸になります。
「この更新は、どの問い合わせや応募を増やすためのものか?」と自問しながら動くことで、作業に追われるだけの状態から抜け出しやすくなります。
会社が一人Web担当に期待していること
多くの会社は、一人Web担当に対して「とりあえずWebをなんとかしてほしい」と漠然と考えています。
このまま進めると、更新作業だけが増え、成果が見えず、あなたも会社も消耗してしまいます。
一人Web担当というポジションが生まれる背景には、「専門部署を作る予算はないが、Webはなんとかしないといけない」という事情があります。大企業のようにマーケター・エンジニア・デザイナーをそれぞれ雇う余裕がないため、「広報+Web」「総務+Web」といった形で一人が任されるケースも少なくありません。
まず押さえたいのは、会社が本当に欲しいのは「作業量」ではなく「結果」だということです。例えば次のような期待が隠れています。
- 営業:もっと見込み顧客の問い合わせが欲しい
- 採用担当:応募者の質・数を上げたい
- 経営陣:Webから売上の●%を作れるようにしたい
- 現場:問い合わせ内容をもっと絞り込みたい/ミスマッチを減らしたい
業界によっては、次のようにより具体的な期待がある場合もあります。
- 住宅・建築:モデルハウス見学予約や資料請求を安定して増やしたい
- BtoBサービス:営業が訪問する前に、Webである程度情報提供しておきたい
- EC:広告費に見合う売上を取りたい、リピーターを増やしたい
こうした期待は言葉になっていないことが多いため、あなたから「聞きに行く」必要があります。
一人Web担当としてスタートダッシュを切るには、早い段階で次の点を確認することが重要です。
- 何を増やしたいか(問い合わせか、応募か、その他か)
- 誰からの反応を増やしたいか(法人/個人、新卒/中途など)
- いつまでに、どのくらい増えたらうれしいか
これは、単に「目標数値を決める」だけではありません。会社とゴールをすり合わせることで、次のような中長期的なメリットも生まれます。
- あなたの役割が「更新係」ではなく「成果をつくる担当」として認識される
- 外注やツール導入の相談がしやすくなる
- 他部署との協力が得やすくなる
「何から手をつけるか」がブレない考え方
日々の業務に追われる中で、「一人 Web担当 何から」と検索したくなる状況も多いと思います。
そのようなときは、次の優先順位で考えると判断がブレにくくなります。
- 目的(ゴール):会社としてWebで何を達成したいのか
- 現状:そのゴールと比べて、今どの位置にいるのか
- 一番インパクトの大きいボトルネック:どこを直せば成果が出やすいか
- 自分が手を付けられる現実的な一歩
この順番を飛ばして「とりあえずブログを書こう」「とりあえずSNSを始めよう」と動くと、忙しいわりに成果が見えにくくなります。
アクセス解析・SEO・広告・SNS・コンテンツ制作など、Web担当の仕事は範囲が広く、「全部が大事」に見えがちです。その中でも、次のように「一番のボトルネック」を見極めると、やるべきことがクリアになります。
- まずは「問い合わせフォームにたどり着きにくい」という導線の問題なのか
- そもそもアクセスが少ない「集客の問題」なのか
- ミスマッチな問い合わせが多い「情報不足の問題」なのか
本記事では、最初の三か月を次の流れで整理しています。
- 1週目:現状把握
- 1か月目:土台づくりと優先順位決め
- 2か月目:集客とコンテンツ
- 3か月目:数字を見て改善サイクル
「今の自分はどこにいるのか」を意識しながら読み進めてみてください。
最初の1週間:現状を把握する
いまあるWeb資産をすべて洗い出す
最初の1週間は、「とにかく状況を知る」ことに集中します。
ここでのポイントは、「自社がすでに持っているWeb資産」をできるだけ漏れなくリストアップすることです。
代表的な項目は次の通りです。
コーポレートサイト
- 公式サイトのURLはいくつあるか(サブドメイン・サブディレクトリ含む)
- 更新に使っているツール(WordPress、Wix、自社CMSなど)
- 管理画面のログイン情報(ID・パスワード・管理会社の連絡先)
- ドメイン・サーバーの契約情報(どの会社で、誰が契約者か)
あわせて、次のような点もこのタイミングで軽くチェックしておくと、後々のトラブル防止になります。
- 常時SSL化(https化)がされているか
- スマホ対応(レスポンシブ対応)になっているか
- お問い合わせフォームが正常に動作しているか(自分でもテストする)
LP・ブログ・オウンドメディア
- 商品・サービスごとのLP(ランディングページ)の有無
- 公式ブログ・採用ブログ・オウンドメディアの有無
- 過去のキャンペーンで使った特設サイト
- 更新が止まっている古いサイト・ブログ
古くて放置されているサイトが、ブランドイメージやSEOに悪影響を与えているケースもあります。存在だけでも把握しておきましょう。
「古いデザインのままの採用ページ」「キャンペーン終了後も放置されたLP」などは、求職者や見込み顧客に不信感を与えかねません。削除やリダイレクトを検討する候補として控えておきます。
SNS・広告アカウント・外注先など
- 公式SNSアカウント(X、Instagram、Facebook、YouTube、TikTokなど)
- ログイン情報
- 運用ルール(投稿頻度・担当者)
- 広告アカウント
- Google広告、Yahoo!広告、Meta広告(Facebook/Instagram)、LINE広告など
- 外注先一覧
- Web制作会社、広告代理店、SEO会社、ライター、カメラマンなど
- 担当者名・連絡先・契約内容・料金
可能であれば、外注先とは早めにオンラインや対面で挨拶し、「これからWeb担当として関わります」と認識してもらっておくと、後々のやり取りがスムーズになります。過去のレポートや提案資料があれば、参考として共有してもらいましょう。
これらは、まずExcelやスプレッドシートなどで一覧にします。
カラム例:種別/名称/URL/管理ツール/担当部署/担当者/契約先/備考
「特定の人しかログイン情報を知らない」「契約者が退職していて管理できない」といった属人化リスクは、一人Web担当にはつきものです。最初の1週間で「全体像の地図」をつくることが、今後の判断の土台になります。
Webの「ゴール」を会社とすり合わせる
現状把握と並行して必ず行いたいのが、「ゴールの確認」です。
Web担当のゴールは、あなた一人で決めるものではなく、「会社と一緒に決める」ものです。
代表的なゴールの例
- BtoB企業
- サービス資料のダウンロード件数
- 見積もり依頼・お問い合わせ件数
- セミナー・ウェビナー申込件数
- BtoC企業
- 商品購入数・予約数
- 来店予約数・体験申込数
- 会員登録数・LINE登録数
- 採用サイト
- 応募数(新卒/中途/アルバイト別)
- 会社説明会・見学会の申込数
このとき、「単に数を増やす」のではなく、次のような点まで踏み込んでおくと、その後のキーワード選定やコンテンツの優先順位が決めやすくなります。
- どのサービス・どの職種の反響を増やしたいのか
- どのエリア・どの客層からの反響が欲しいのか
営業や経営陣に聞いておきたい質問リスト
次のような質問をもとに、営業や経営陣と会話してみてください。
- Web経由で、一番増やしたい「行動」は何ですか?
(問い合わせ、資料請求、応募、予約などから一つか二つに絞ってもらう) - その行動が、1か月あたりいくつくらいあると「うれしい」ですか?
(現状と目標のギャップを把握する) - 今、Webからの反響で「困っていること」は何ですか?
(例:問い合わせの質が低い/採用応募のミスマッチが多い など) - 理想的な顧客・応募者はどんな人・会社ですか?
(ペルソナのヒントを得る) - 競合だと思う会社のサイトはどこですか?
(あとで競合分析に使う) - Webでやってみたいこと、前から気になっていたことはありますか?
(経営陣の温度感や優先度を把握する)
余裕があれば、次のような点も聞いておくと、「社内で地雷になりやすいテーマ」を避けるヒントになります。
- 過去にやってうまくいかなかったWeb施策はありますか?
- そのとき、なぜやめた(続かなかった)のでしょうか?
この段階で完璧な数字や戦略を引き出す必要はありません。「ざっくりで構わないので教えてください」と前置きし、対話しながら整理していくイメージで進めてください。ここで聞いた内容は、あとで作る「自分用Web戦略メモ」の核になります。
アクセス解析の基本チェック
次に、「今のWebサイトがどれくらい見られているか」を把握します。
この段階では、難しい分析よりも「計測できる状態かどうか」の確認が優先です。
GoogleアナリティクスやSearch Consoleの権限確認
- Googleアナリティクス(GA4)
- アカウントの有無
- 自分のメールアドレスに閲覧権限・編集権限が付与されているか
- Google Search Console
- サイトが登録されているか
- 所有権者が誰になっているか
- 未導入の場合
- 制作会社や前任者に確認し、なければ自分で新規設定(もしくは設定を依頼)
あわせて、次の点も簡単に確認しておくと安心です。
- コンバージョン(問い合わせ完了など)が設定されているか
- GA4とSearch Consoleがきちんと計測を開始しているか(計測タグの設置漏れがないか)
権限が曖昧なまま時間が過ぎると、分析ができずに困る場面が出てきます。最初の1週間で、必ずログインできる状態を整えておきましょう。
最初に見るべき3つの指標
最初から細かい指標を追う必要はありません。まずは次の3つをざっくり把握してください。
- セッション数(訪問数)
1か月あたり、どのくらいの人がサイトに来ているか - コンバージョン数(ゴール数)
問い合わせ送信、資料請求、応募、購入などの完了数
未設定なら、まずは問い合わせ完了ページを「イベント」や「コンバージョン」として設定します。 - 上位の流入チャネル
- Organic Search(検索)
- Direct(直接訪問)
- Referral(他サイトからのリンク)
- Paid(広告)
- Social(SNS)
どの経路からのアクセスが多いかを把握しておきましょう。必要に応じて、「デバイス別(PC/スマホ)」や「地域別」の大まかな傾向も確認しておくと、1か月目の「もったいないポイント探し」に役立ちます。
この時点では、「多いか少ないか」の感覚がつかめれば十分です。後で、3か月目のレポート作成に活きてきます。
1か月目:土台を整え、優先順位を決める
「一人Web担当は何から?」の答えは「目的の言語化」
「一人 Web担当 何から」という問いに対する根本的な答えは、「目的を一文に言語化すること」です。
1か月目のうちに、次のような「3か月ゴールの一文」を自分なりに作ってみてください。
- 例1:「3か月で、問い合わせ数を現状の月10件から月15件に増やす」
- 例2:「3か月で、採用サイト経由の応募数を月5件から月10件に増やす」
- 例3:「3か月で、営業が説明しやすくなるFAQページと事例ページを整える」
この「一文」は、Web担当としての判断基準になります。
- その施策は、この3か月ゴールに近づけてくれるか
- 関係が薄いなら、「今はやらない」という選択をしてよいか
といった形で、優先順位を付けやすくなります。これを上司や関係者と共有し、方向性について合意を取っておくと、その後の動きが格段に楽になります。
自分用の「Web戦略メモ」を作る
A4一枚、もしくは1ページ程度のメモで構いません。次の項目を簡潔に書き出します。
- ビジネスのゴール(売上・採用など)
- Webのゴール(問い合わせ数、応募数など)
- 3か月の目標(数値または状態)
- ターゲット(誰に見てほしいか)
- 主要な導線(どのページから、どのフォームに導くか)
- 当面やらないこと(やらないSNS、やらない施策)
ここに、次のような要素もひと言添えておくと、「自分一人で抱え込まない」前提の計画になります。
- メインで使うチャネル(検索、SNS、メールなど)
- 外注に頼る予定の領域(例:LPのデザイン、広告運用の細かな調整)
「やらないこと」を決めるのは、一人Web担当にとって特に重要です。リソースは限られているため、「やることを増やす」より「やらないものを明確にする」ほうが成果に直結します。ブログもSNSも広告もすべて少しずつ手をつけるのは、失敗パターンになりがちです。意識的に絞り込みましょう。
現状サイトの「もったいないポイント」を見つける
目的が言語化できたら、今のサイトで「明らかにもったいない点」を洗い出します。
お問い合わせ導線のわかりにくさをチェック
次のような観点で確認します。
- トップページから問い合わせフォームまで、何クリック必要か
- グローバルナビ(上部メニュー)に「お問い合わせ」や「資料請求」が入っているか
- サービス詳細ページの末尾に、問い合わせボタンやリンクがあるか
- 電話番号が分かりやすい位置にあるか(スマホではタップで電話できるか)
あわせて、次の点も確認しておきましょう。
- フッターにも問い合わせ・資料請求へのリンクがあるか
- 入力項目が多すぎないか(途中離脱を招くような長さになっていないか)
「問い合わせしにくいサイト」は、それだけで大きな機会損失です。問い合わせボタンやフォームの位置を紙に書き出し、「ユーザー視点」でたどり直してみてください。
スマホでの見え方を確認する
多くのユーザーはスマホからアクセスします。自分のスマホで、次の点を実際に確認しましょう。
- 文字サイズが小さすぎないか
- ボタンがタップしやすい大きさか
- 重要な情報が横スクロールしないと読めない状態になっていないか
- フォームの入力がしやすいか(項目が多すぎないか)
可能なら、OSや機種の異なるスマホ(iPhoneとAndroidなど)でも確認しておくと安心です。PCでていねいに作り込んでいても、スマホで見づらければ離脱されてしまいます。一人Web担当としては、まずスマホでの体験に目を向けることが大切です。
競合サイトを3つだけ比較する
営業や経営陣に聞いた「競合サイト」を3つピックアップし、次の観点で比較します。
- トップページで何を一番アピールしているか
- お問い合わせ・資料請求ボタンの位置・色・文言
- サービス説明の量と分かりやすさ
- 事例・お客様の声の有無
- FAQやコラムなどのコンテンツの量
必要であれば、次のような点もチェックすると、自社サイトとのギャップが見えやすくなります。
- 採用情報の見せ方(仕事内容や人の雰囲気が伝わるか)
- 料金・プランの出し方(明示しているか、問い合わせ前提か)
- スマホでの見え方や表示スピード
ここでやるべきなのは「真似すること」ではなく、「自社サイトがどこで損をしているか」を見つけることです。
- 例:競合はトップに「無料相談はこちら」のボタンがあるが、自社にはない
- 例:競合には事例が10件あるが、自社には1件もない
こうした差分が、今後の改善アイデアになります。
今日からできる小さな改善
1か月目の中盤から終盤にかけては、「すぐにできる小さな改善」に着手します。
フォームの項目を見直す
- 必須でなくてもよい項目(FAX番号など)は思い切って削る
- 「お問い合わせ内容」欄の上に、記入の例文を入れる
(例:「ご相談内容の例:●●の見積もりが欲しい/●●の導入時期について相談したい など」) - エラーメッセージが分かりやすいか確認する
可能であれば、営業にもフォームを見てもらい、
- 「この情報があると初回対応がラクになる項目」
- 「なくてもどうにかなる項目」
を一緒に仕分けしてもらうと、現場にも役立つフォーム設計になります。フォームの離脱が減るだけで、成果に直結しやすい部分です。
ボタン文言を分かりやすくする
- 「送信」→「無料で相談する」「資料を請求する」「見学を予約する」など、行動が具体的に伝わる文言に変更する
- ボタン色を、背景からきちんと目立つ色に変更する(ブランドガイドラインの範囲で)
あわせて、ボタン付近に次のような一言を添えるだけでも、送信のハードルを下げられます。
- 「1営業日以内にご返信します」
- 「相談は無料です。お気軽にご連絡ください」
文言と色を少し変えるだけでも、クリック率が変わることがあります。
よく見られているページを1枚だけ改善する
アクセス解析で「上位3ページ」を確認し、そのうち1ページだけ次のような改善を行います。
- ページ上部に「このページで分かること」を3つ程度、箇条書きで入れる
- ページ下部に、問い合わせ・資料請求の導線を追加する
- 説明が分かりにくい箇所に、図や写真を足せないか検討する
BtoBであれば「サービス概要」ページ、BtoCやECであれば「商品カテゴリページ」や「料金ページ」が上位に来ていることが多いため、そこから手を付けるとインパクトが出やすくなります。全部を一度に完璧にしようとせず、「1ページ」「1か所」から始めてください。
2か月目:集客とコンテンツに着手する
一人担当向けの現実的なSEOの考え方
一人Web担当が、SEOを「全部やろう」とするのは現実的ではありません。
2か月目は、「狙うキーワードを3〜5個に絞る」ことを意識します。
検索ニーズを拾う考え方
ユーザーは、「自分の課題」+「解決したいこと」の組み合わせで検索します。
- 「一人 Web担当 何から」
- 「◯◯ 業界名 見積もり 方法」
- 「◯◯ サービス名 料金」
- 「◯◯ 商品名 比較」
- 「◯◯ エリア名 会社名 評判」
BtoBなら「業種+課題」(例:製造業 在庫管理 システム)、BtoCなら「エリア+ニーズ」(例:渋谷 脱毛 料金)のような組み合わせが多くなりがちです。自社の見込み顧客が、どのようなキーワードで困りごとを検索しそうかを洗い出しましょう。
営業やサポートには、次のように聞いてみてください。
- 「お客様から一番よく聞かれる質問は何ですか?」
- 「問い合わせのとき、どんな言葉で説明してくれることが多いですか?」
出てきた言葉が、そのまま「狙うべきキーワード」のヒントになります。
狙うキーワードの決め方(3〜5個でOK)
- まず10〜20個程度、思いつく限りキーワードを書き出します。
- その中から、「自社が強みを出せる」「単価が高い」「成約につながりやすい」といった観点で3〜5個を選びます。
- 選んだキーワードを、ページタイトル・見出し・本文に自然な形で取り入れたコンテンツを作ります。
このとき、Search Consoleで「すでに順位が付き始めているキーワード」を確認し、そこから1〜2個選ぶのも効率的です。ゼロから育てるより、伸びかけているものを伸ばすイメージです。
ポイントは、「なんとなく検索数が多そうなキーワード」ではなく、「問い合わせ・成約に近いキーワード」に絞ることです。一人担当の場合、「アクセスを増やす」より「成約に近い人に届くコンテンツ」を増やすほうが、成果の実感につながりやすくなります。
コンテンツは「営業の代わりになるページ」から
やみくもにブログを増やすのではなく、「営業が毎回説明していること」をWebページにまとめるイメージで進めます。これは、一人Web担当が「コンテンツのネタ切れ」にならないためのコツでもあります。現場で既に話していることを文章に起こすだけなので、ゼロからテーマを考える必要がありません。
営業・現場にヒアリングして作るFAQコンテンツ
営業や現場には、次のように質問してみてください。
- 「お客様からよく聞かれる質問を10個教えてください」
- 「契約前によく誤解されるポイントはどこですか?」
- 「説明すると安心してもらえるのに、Webにまだ書けていないことは何ですか?」
これをもとに、「よくある質問(FAQ)」ページや記事を作成します。
- Q:◯◯の導入にはどのくらい時間がかかりますか?
A:通常はお申し込みから●週間程度でご利用開始いただけます。●●の条件がある場合は〜
FAQは、問い合わせ前の不安を減らし、「問い合わせの質」を上げる効果があります。結果的に、営業が「毎回同じ説明をする」時間も削減でき、社内からの評価にもつながりやすい領域です。
事例・お客様の声ページの基本構成
事例ページは、次のような型で作ると、一定のクオリティで量産しやすくなります。
- お客様の概要(業種・規模・エリアなど)
- 導入前の課題(何に困っていたか)
- 当社を選んだ決め手
- 導入・利用のプロセス
- 導入後の効果(数値や定性的な効果)
- お客様からのコメント
可能であれば、「導入前→導入直後→半年後」のように時間軸を意識して書くと、読む側もイメージしやすくなります。最初は2〜3件で構いません。1件でもあるのとないのとでは、信頼感が大きく違います。
FAQをそのまま記事にする
FAQで箇条書きにした質問は、一問一答形式の記事にもできます。
- 記事タイトル例
- 「◯◯サービスの料金体系と、よくあるご質問」
- 「【専門家が解説】◯◯を導入する前に知っておきたい3つのポイント」
1記事あたり800〜1500文字程度でも十分です。営業資料をベースに、丁寧な文章に整えるイメージで進めてください。この種の記事は、検索ニーズを満たしやすく、一人Web担当にとってコストパフォーマンスの高いコンテンツです。
SNSやメルマガは「やる・やらない」を決める
SNSやメルマガは、「とにかく全部やればいい」というものではありません。一人Web担当の場合は特に、「やるもの」と「やらないもの」をはっきりさせることが重要です。
やるSNS・やらないSNSの線引き
判断基準の例は次の通りです。
- 自社のターゲットが日常的に使っているか
- 過去に一定の反応があったか
- 社内にコンテンツの「タネ」(写真・事例・ネタ)があるか
- 自分がそのSNSをある程度理解しているか
例えば、次のような組み合わせが考えられます。
- BtoBサービスがメインであれば、XやLinkedIn、noteなど
- BtoCでビジュアル訴求が重要なら、InstagramやTikTok
- 採用目的が強いなら、X、Instagram、Wantedlyなど
会社として公式アカウントを複数持っているからといって、すべてを同じ熱量で運用する必要はありません。更新が止まっているアカウントは、「告知専用」「採用専用」などに役割を限定する選択肢もあります。
「すべてやる」のではなく、「メイン1つ+サブ1つ」程度に絞るのがおすすめです。
更新頻度より「続けられる仕組み」を重視する
- 無理のない投稿頻度を決める(例:週1回)
- 定番企画を3パターンほど用意する
(例:事例紹介/スタッフ紹介/FAQ紹介) - あらかじめ1か月分のテーマだけ決めておき、週ごとに中身を作る
余裕があれば、「毎月◯日は事例紹介の日」「毎週◯曜日はFAQ紹介の日」といった“曜日ルール”を決めておくと、ネタ出しに悩みにくくなります。
「毎日投稿しなければならない」と思わないことが、継続のコツです。しっかり運用できる媒体を1つ育てるほうが、「手を出すだけのSNS」を増やすよりも、効果が出やすくなります。
3か月目:数字を見て改善サイクルを回す
毎月1回の「簡易レポート」をつくる
3か月目に入ったら、「数字を見て改善する」サイクルを作り始めます。
とはいえ、詳細なレポートを毎回作る必要はありません。まずはシンプルな形で十分です。
押さえるべき3つの指標
次の3つを、前月・前々月と比較して「増えたか減ったか」を確認します。
- セッション数(訪問数)
- コンバージョン数(問い合わせ・資料請求・応募など)
- コンバージョン率(CVR)=コンバージョン数 ÷ セッション数
これだけでも、改善のヒントが見えてきます。
- セッション数が増えて、CVRが下がっている → 質の低い流入が増えている可能性
- セッション数は変わらないがCVRが上がっている → サイト内改善の効果が出ている可能性
必要に応じて、「チャネル別のCVR」も確認すると、「どのチャネルに時間をかけるべきか」の判断がしやすくなります。例えば、検索からの流入はCVRが高いがSNS経由は低い、といった傾向です。
上司に見せやすいA4一枚レポートの項目例
A4一枚にまとめる場合、次のような構成が分かりやすくおすすめです。
- 今月のハイライト(1〜2行)
例:「問い合わせ数が先月比120%になりました。主にFAQページの改善が要因と考えられます。」 - 指標サマリー(表やグラフ)
セッション数/コンバージョン数/CVRと、その前月比・前々月比 - 取り組んだ施策一覧
例:フォーム改善、ボタン文言変更、新規コンテンツ公開 など - 成果につながったと考えられる要因
- 課題と、次月以降の重点ポイント
可能であれば、次のような情報も簡単に添えると、社内の納得感が高まります。
- 営業や現場からのコメント(「説明しやすくなった」など)
- 特に見られているページのランキング(上位3つ程度)
「数字+要因+次の一手」をセットで語れるようになると、上司からの信頼も得やすくなります。
成果につながる「小さなABテスト」のアイデア
ABテストというと大掛かりに聞こえますが、一人Web担当の場合は「小さなテスト」で十分です。
ボタン文言・配置を試す
- 例:「お問い合わせ」→「無料で相談する」「資料を請求する」などに変える
- 例:ページ上部と下部の両方にボタンを配置してみる
2〜4週間程度の期間を決め、前後でコンバージョン数やクリック数を比較します。GA4のイベント計測や、ヒートマップツールを使うと、簡易的な比較がしやすくなります。
お問い合わせ前の一言メッセージを変える
フォームの上に、次のような一文を追加します。
- 「お気軽にご相談ください。1営業日以内に担当者からご連絡いたします。」
- 「まだ検討中の段階でも構いません。情報収集のためのお問い合わせも歓迎です。」
あわせて「電話での相談窓口」「オンライン相談」などがあれば、フォームの近くに案内しておくと、「フォームはハードルが高い」と感じるユーザーの受け皿になります。「安心して問い合わせてよい」と伝えることで、送信のハードルを下げられます。
LPのファーストビューだけを差し替える
LP全体を作り直すのは負担が大きいですが、「一番上のエリア(ファーストビュー)」だけを変えるのは比較的取り組みやすい方法です。
- キャッチコピー
- サブコピー
- メイン画像・動画
- ボタンの位置と文言
例えば、「機能説明メイン」のコピーから、「お客様が得られるベネフィット」を前面に出したコピーに変えるだけでも、反応が変わることがあります。この部分だけの変更でも、クリック率やスクロール率が変わる場合があります。
3か月の「棚卸し」と次の一歩
3か月目の終わりには、必ず「振り返り」を行います。
3か月の振り返りテンプレート
次の項目を整理すると、今後に活かしやすくなります。
- やったこと一覧
(サイト改善、コンテンツ作成、SNS運用、広告など) - 良かった成果(数値・定性的なもの双方)
例:問い合わせが増えた/営業から「説明しやすくなった」と言われた など - うまくいかなかったこと
労力のわりに成果が見えづらかった施策など - 学び・気づき
例:「自社の顧客はこういう情報を求めている」など - 次の3か月でやること・やらないこと
ここで大切なのは、「うまくいかなかった施策」もきちんと残しておくことです。一人Web担当は、異動や退職のタイミングでノウハウが失われがちですが、振り返りメモを残しておけば、将来の担当者や外部パートナーへの引き継ぎ資料にもなります。
このテンプレートを自分用メモとして残しつつ、上司とも共有できると理想的です。
次の3か月のテーマを一言で決める
次の3か月について、一言でテーマを決めます。
- 例:「問い合わせフォーム改善の3か月」
- 例:「事例コンテンツ強化の3か月」
- 例:「採用サイトの応募数アップの3か月」
この一言テーマは、「Web戦略メモ」のアップデート版としても機能します。テーマを明確にすることで、自分の判断軸がクリアになり、「何からやるか」で迷いにくくなります。
一人で抱え込まないための外注・社内連携
自分でやることと外注することの線引き
一人Web担当がすべてを自力でやろうとすると、すぐに限界が来ます。「自分でやるべき領域」と「外注したほうがよい領域」を分けて考えましょう。
一人Web担当が担うべきコアは、本来次のような部分です。
- 会社のビジネス目標とWeb施策をつなぐ「戦略」
- 社内外の関係者を巻き込む「ディレクション」
一方で、「専門性が高く、代替可能な作業」は、外注やツールで補ったほうが、長期的には成果が出やすくなる場合が多いです。
デザイン・コーディング・広告運用の判断基準
- デザイン
- バナー1枚・簡単な画像調整:慣れれば自分でも対応可能
- サイト全体のリニューアル・ブランド設計:外注を基本線と考える
- コーディング
- 既存ページのテキスト・画像差し替え:自分でできると便利
- テンプレート改修・新規テンプレート作成:制作会社に相談
- 広告運用
- 月数万円〜十数万円程度の予算:シンプルな運用を自分で試すことも検討
- 月数十万円以上の本格的な運用:代理店や専門家の活用も視野に入れる
このとき、「できるか/できないか」だけでなく、
- その作業に対し、自分が詳しくなる必要があるか
- 学習コストに見合うだけの継続的な業務か
といった観点でも判断すると、無理のない役割分担が見えてきます。
自分の時間単価をざっくり計算してみるのも一つの方法です。
- 例:月給30万円で、1か月160時間勤務とすると、1時間あたり約1,875円
「自分が10時間かけて学びながら作るもの」を、「プロが3〜5万円で1〜2日で作ってくれる」のであれば、外注したほうが総合的に得なケースも多くあります。一人Web担当は「なんでも自前でやる人」ではなく、「リソースを最適に配分する責任者」として振る舞う意識が大切です。
見積もりを取る前に決めておくこと
外注に依頼する前に、最低限次の点を整理しておいてください。
- 目的(なぜそれを作るのか/改善したい指標は何か)
- 予算の上限(おおよそで構わない)
- 納期(いつまでに必要か)
- 成功とみなす条件(例:CVRが●%以上、問い合わせ数が●件以上 など)
あわせて、次のような点も事前に考えておくと、制作会社とのやり取りがスムーズになります。
- 必要な素材(テキスト・写真・ロゴなど)は誰が用意するか
- 社内の確認フロー(誰がどのタイミングでチェックするか)
これらを決めないまま見積もりを取ると、金額も内容も比較しづらくなり、「とりあえず安いところに」という判断になりがちです。
社内の「味方」を増やす
一人Web担当でも、「一人で戦う必要」はありません。社内の味方を増やすことが、長期的な成果には欠かせません。
Web担当は、営業・人事・広報・経営陣など「社内のハブ」になりやすいポジションです。この立場を活かせるかどうかで、施策の幅が大きく変わります。
営業・人事・総務との連携
- 営業
- 問い合わせの質や量の変化をヒアリングする
- よくある質問や最新の顧客ニーズを共有してもらう
- 人事
- 採用ページの内容・求める人物像のすり合わせ
- 応募経路や応募者の質について情報共有する
- 総務・広報
- 会社ニュース・イベント情報の共有
- 社内写真やインタビューの協力依頼
経営陣とは、次のようなテーマで定期的に会話できると理想的です。
- 四半期ごとの「Web経由の成果」の共有
- 来期の事業方針とWeb施策の結び付け
ポイントは、「Web担当から情報を取りに行く」姿勢です。「毎月30分だけ情報交換の時間をください」と定例ミーティングをお願いしてみるのも有効です。
小さな成果を社内で共有する
次のような「小さな成功」を、月1回のメールやミーティングで共有します。
- 「FAQページ公開から1か月で、問い合わせ数が10件から13件に増えました」
- 「事例ページ経由の問い合わせが初めて入りました」
こうした共有によって、次のような良い循環が生まれます。
- 上司や他部署が「Web施策の効果」を実感しやすくなる
- 次の施策への協力が得やすくなる
このとき、次の3点をセットで伝えられると効果的です。
- Before/Afterの数字(問い合わせ件数・CVRなど)
- 現場の声(営業のコメント・応募者の反応など)
- 次にやりたいこと(追加で実施したい改善)
数字だけでなく、「営業から感謝の言葉をもらった」といったエピソードも一緒に伝えると、より伝わりやすくなります。
スキルアップと情報収集の続け方
一人Web担当が最低限押さえたいスキル
完璧を目指す必要はありませんが、次の4つは「薄く広く」で良いので押さえておくと安心です。
- アクセス解析
- GA4・Search Consoleの基本的な見方
- セッション数・コンバージョン数・CVRの把握
- SEO
- 検索意図(ユーザーが何を知りたいか)を考える癖
- タイトル・見出し・本文の基本的な書き方
- ライティング
- 「誰に」「何を伝え」「どう行動してもらいたいか」を意識した文章作成
- 専門用語をかみ砕いて書く力
- ディレクション
- 外注への依頼内容を整理する力
- スケジュール・品質・コストのバランスを見る力
会社によってはここに次のようなスキルが加わることもありますが、「すべてをプロレベルにする」必要はありません。
- HTML・CSSの基礎(テキストや画像差し替えができる程度)
- Web広告の基礎(配信ターゲットや入札の考え方を理解する程度)
「何が分かっていて、何が分からないか」を自覚できていれば、専門家にも相談しやすくなります。すべてを独学で極めるのは難しいため、「最低限の基礎を押さえ、分からない部分はプロに相談する」というスタンスで問題ありません。
忙しくても続けられるインプットの方法
週に1本だけ読む情報源を決める
一日中ニュースを追う必要はありません。「週に1本だけ、信頼できる情報源の記事を読む」と決めるだけでも十分です。
選ぶ際のポイントは次の通りです。
- 実務に直結する内容が多い
- 解説が分かりやすい
- 最新トレンドだけでなく、基礎もカバーしている
自分に合うメディアやブログを1〜2つ決め、「毎週◯曜日の午前は15分だけ情報収集」というように時間を枠で決めると続けやすくなります。「その週に読んだ1本から、1つだけ実務に活かす」と決めることで、インプットが自己満足で終わりにくくなります。
生成AIを「相談相手」として活用する
一人Web担当の孤独感を和らげる意味でも、生成AIは良い相談相手になります。例えば次のような使い方があります。
- 施策のアイデア出し
例:「問い合わせを増やすためのフォーム改善案を3つ教えて」など - 文章のたたき台作成
FAQや事例記事の初稿をAIに書かせ、自社用に調整する - 用語の確認・学習
分からない専門用語が出てきたら、その場でAIに質問する
さらに、次のような文書もAIに作成してもらうと、ゼロから悩む時間を減らせます。
- 上司向けレポートのひな形
- 制作会社への依頼文のドラフト
ポイントは、「最初から完璧な答えを求めない」ことです。AIから得た案をベースに、「自社の現場感覚」と「上司の意向」を踏まえて修正していくと、スピードと質のバランスを取りやすくなります。
まとめ:最初の三か月で身につけたい流れ
一人Web担当として最初の三か月で取り組みたいのは、次のようなシンプルなサイクルです。
- 現状を正しく把握する
- 会社とゴールをすり合わせる
- 小さな改善とコンテンツづくりから始める
- 数字を見て、次の一手を決める
「全部を一気にやろう」とせず、「今週はここ」「今月はここ」と範囲を区切りながら一歩ずつ進めていけば、少しずつでも成果の手応えが見えてきます。
迷ったときは、「一人 Web担当 何から」という問いに対する答え、すなわち目的を一文に言語化することに立ち返ってみてください。その一文が、あなたの判断を支えてくれます。
一人Web担当としての最初の三か月は、「全部を完璧にこなす時期」ではなく、「自分なりの進め方の型をつくる時期」と考えてみてください。まずは、いま会社が持っているWeb資産と数字を把握し、「何を増やしたいのか」を社内とすり合わせるところから始まります。そのうえで、問い合わせ導線やフォーム、よく見られているページなど、影響の大きい部分から小さな改善を重ねていきます。
次のステップは、「営業の代わりになるページ」を整えることです。FAQや事例、お客様の声といったコンテンツは、問い合わせの質を上げ、社内の信頼にもつながります。SNSや広告は、ターゲットと自分のリソースを踏まえ、「やるもの」と「やらないもの」を決めておきましょう。
三か月目からは、シンプルなレポートで数字を振り返り、「何をやって、どう変わったか」を言語化する習慣を持つことが大切です。外注や他部署もうまく巻き込みながら、「現状把握→目的の整理→小さな実行→数字で確認」という流れを、自分の標準パターンにしていきましょう。