自社でWebマーケティングを進めるための体制の作り方
この記事でわかること
この記事では、次のポイントを中心に解説します。
- なぜ「体制づくり」が成果に直結するのか
- 失敗しないための基本ステップ
- 自社に合った「内製×外注」のバランスの決め方
Webマーケティングを始めたものの、「担当者任せで成果が安定しない」「人が増えてもノウハウが蓄積されない」と悩む企業は少なくありません。この記事では、自社で継続的に成果を生み出すためのWebマーケティング体制の作り方を、目的設計から役割分担、内製と外注のバランスまで具体的に整理して解説します。
なぜ「Webマーケティング体制の作り方」が成果を左右するのか
個人頼みのマーケティングが失敗しやすい理由
特定の一人に依存した体制では、担当者の退職や業務負荷の増大によって施策の継続性が失われ、取り組みが停滞しやすくなります。判断基準が属人的なままだと、成果の再現性も低下します。
特にWebマーケティングは、「戦略設計 → コンテンツ制作 → 配信・運用 → 分析・改善」というサイクルが前提です。この一連のプロセスを一人で回そうとすると、いずれかの工程がボトルネックとなり、PDCAサイクルが止まりがちです。
さらに、検索アルゴリズムや広告仕様、GA4やMAなどのツールは頻繁にアップデートされます。担当者が一人だけだとキャッチアップが追いつかず、気づかないうちに「昔のやり方」のまま取り組みを続けてしまうリスクも高まります。
属人化を防ぐ「仕組み化」の重要性
属人化を防ぐには、KPIや判断ルール、ドキュメントを整備し、誰が担当しても同じ品質で運用できる「仕組み化」が重要です。週次レビューや履歴管理(アノテーション)で改善履歴を蓄積すると、意思決定の精度も高められます。
具体的には、次のような「見える化」が有効です。
- 目的・KPI・ターゲット(ペルソナ)を1枚にまとめたドキュメント
- 施策ごとの「狙い・実施内容・結果・学び」を残す運用シート
- 編集ガイドライン(トンマナ、NG表現、構成テンプレートなど)
- ツール操作やレポート作成方法のマニュアル
これらを整えておくことで、新メンバーや外注パートナーが参加しても立ち上がりが早くなり、担当者が変わっても「なぜその施策を行っているのか」「過去に何を試してどうだったか」が一目でわかる状態になります。
成功している企業では、アナリティクスのアノテーション機能などを活用し、サイト改修やキャンペーン開始日などの出来事を記録して、「数字の変化の背景」をチーム全体で共有しています。
成功している企業の共通点
成果を出している企業には、次のような共通点があります。
- 目的(KPI)が明確で、営業と連動した指標設計になっている
例:「年間○件の商談創出」「資料ダウンロードから商談化率○%」など - 戦略責任者と、制作・運用・分析の役割を分担している
- コアとなる知見や戦略は内製で蓄積し、コンテンツ量産などは外注やツールで補うハイブリッド運用を採用している
- GoogleアナリティクスやMAツールで週次・月次の成果を「見える化」し、改善につなげている
一方で、「すべて外注任せ」「とりあえずブログ更新だけ」といった組織は、KPIが曖昧で社内にナレッジが残らず、成果が一過性に終わるケースが多く見られます。
まず決めるべきは「目的」と「KPI」
3C分析で自社の立ち位置を整理する
Webマーケティング体制づくりでは、先に「SEOか広告か」といった手段を決めるのではなく、3C分析(Customer / Competitor / Company)の観点から市場機会と自社の強みを整理することが有効です。
| 視点 | 確認するポイント |
|---|---|
| Customer | どのような業界・職種・生活者に向けて、どんな課題を解決するのか |
| Competitor | 競合はどのチャネルに力を入れ、どのようなコンテンツ・オファーで差別化しているのか |
| Company | 自社ならではの強み(技術、事例、サポート力、価格、ブランドなど)は何か |
この整理を行うことで、打つべき施策が明確になります。
たとえば、競合がSEO記事を大量に公開している一方で、導入事例やサポート情報が不足している場合、「導入後の成果や運用ノウハウ」に焦点を当てたコンテンツを制作することで差別化戦略を打ち出しやすくなります。
ペルソナを簡潔に定義するコツ
ペルソナ設計に時間をかけすぎて動き出せないケースを避けるには、主要な顧客像を「行動」「課題」「購買のきっかけ」の3点で簡潔にまとめる方法が実務的です。
- 行動:情報収集は検索が中心か、SNSか、展示会か/社内での意思決定プロセス など
- 課題:何に一番困っていて、何を避けたいと思っているか(例:属人化、工数、コスト、品質)
- 購買のきっかけ:どのようなトリガー(トラブル、上司の指示、制度変更など)で検討が始まるか
この3点が定まると、
「どのチャネルを重視すべきか」「どんなコンテンツテーマを優先すべきか」「CTA(次の一歩)をどう設計するか」
がブレにくくなります。
目的から逆算したKPIの設定例(BtoB / BtoC)
目的から逆算してKPIを設計すると、体制設計の議論もしやすくなります。
BtoBの例
- 問い合わせ数
- 商談化率
- MQL→SQL転換率
- リードの質(ターゲット企業条件を満たしている比率)
- 1リードあたり獲得単価(CPL)、1商談あたりコスト
- Web経由の売上構成比・受注単価の推移
BtoCの例
- セッション数
- CV数
- CVR(購入率)
- リピート率、LTV(顧客生涯価値)
- メールやLINEなどリテンションチャネルの登録率
- 口コミ・レビュー投稿数やSNSでの言及数
KPIは、ツールや現状の数値を踏まえ、半年〜1年で到達可能なラインから設定します。「高すぎて誰も本気にしない数字」「低すぎて意味がない数字」を避け、四半期ごとに見直す前提で運用することが重要です。
Webマーケティング体制の基本フレームを描く
最低限押さえたい4つの役割
Webマーケティング体制では、次の4つの役割を分けて考えることが重要です。一人が複数役割を兼務しても構いませんが、役割自体は切り分けて設計します。
-
戦略責任者(ディレクター)
3C分析やペルソナ設計、KPI設定、チャネル選定、年間・四半期計画の作成、他部署との調整を担います。社内外メンバーにとっての「判断基準」となる役割です。 -
コンテンツ/クリエイティブ担当
記事、LP、ホワイトペーパー、動画、バナーなどを制作し、SEOやCVR向上を図ります。AIツールを活用しつつ、最終的な品質や独自性を担保する役割も担います。 -
運用・分析担当
広告出稿、SEO施策の実装指示、メルマガ配信、MAシナリオ運用、GA4による効果測定、A/Bテストの設計と結果分析など、「数字を動かす」実務を担います。 -
外注/BPO・サポート担当
制作会社やライター、広告代理店、ツールベンダーとの窓口となり、発注・進行管理・成果確認を行います。ここを明確にしておくと、外注に振った業務も体制の一部としてコントロールしやすくなります。
小さな会社が現実的に組める「3〜5人編成」のモデル
人員が限られる中小企業では、「完全分業」よりも「中核メンバー3人+外注・ツール活用」というハイブリッド型が現実的です。たとえば次のような構成が挙げられます。
3人モデルの例
- ディレクター:戦略策定、KPI設計、他部署連携、優先順位の決定
- コンテンツ兼編集:記事やLP制作、外注ライターのディレクション、CMS入稿
- 運用/分析:広告・メール・SNSの運用、レポート作成、改善提案
4〜5人モデルの例
上記3人に、次のような役割を追加します。
- デザイナー:バナーやLPデザイン、動画のクリエイティブ制作
- インサイドセールス:獲得リードへのフォロー、商談設定、ナーチャリング
これにより、リード獲得から育成、商談化までを一気通貫でカバーできます。
制作ボリュームが増えてきた段階では、編集2名+ライター外注といった体制で月数十本の記事を量産しつつ、戦略やキーワード設計は社内で担う運用も有効です。
既存組織(営業・企画・広報)との役割分担の考え方
Webマーケティングを単なる「集客装置」としてではなく、営業プロセスやブランド戦略の一部として位置づけることが重要です。そのために、既存組織との役割分担を明確にします。
| 部署 | 主な役割・連携ポイント |
|---|---|
| 営業 |
|
| 企画・開発 |
|
| 広報 |
|
まとめ:属人的な活動から「再現性のあるチーム運用」へ
本記事では、Webマーケティングを「担当者任せの属人的な活動」から、「再現性のあるチームの取り組み」へと転換するための考え方を整理してきました。
その出発点は、手段ではなく「目的」と「KPI」を先に定めることです。3C分析で市場と自社の立ち位置を押さえ、行動・課題・購買のきっかけでペルソナを簡潔に描くことで、注力すべきチャネルやコンテンツがぶれにくくなります。
次に、戦略責任者・コンテンツ/クリエイティブ・運用/分析・外注対応といった役割を分けて設計し、規模に応じて「3〜5人+外部パートナー」の現実的な編成に落とし込むことがポイントです。そのうえで、KPIや判断ルール、運用シート、マニュアル類を整え、「誰が担当しても同じ判断と水準で進められる状態」を目指します。
最後に、営業・企画・広報との連携を通じて、Webマーケティングを事業全体の戦略と一体化させることが、成果を継続的に積み上げるうえで欠かせません。自社の現状にあわせて、できるところから体制づくりに着手していきましょう。
