マーケティングの仕事に優先順位を付ける時の考え方

マーケティングの仕事は、やることが際限なく増えていく一方で、使える時間や人員には限りがあります。目の前のタスクを片付けるだけでは、売上やリード獲得といった成果に直結しない作業に追われがちです。この記事では、マーケティング担当者が本来注ぐべきところに時間とエネルギーを振り向けるための、仕事の優先順位の付け方を整理します。

目次

マーケティングの仕事に「優先順位」が必要な理由

なぜ、頑張っているのに成果が出ないのか

マーケティングに使えるリソースには限りがあり、すべての業務を同時に高い品質でこなすことはできません。結果として、効果の小さい作業に時間を取られ、本来成果を生むべき施策が後回しになりがちです。

特にマーケティングは「やればやるほど仕事が増える」領域です。アイデアやチャネル、KPIが増えるほどタスクは雪だるま式に膨らみます。優先順位を決めずに進めてしまうと、次のような作業に時間を奪われ、ROIが上がらないまま「忙しいだけ」の状態に陥ります。

  • 売上やリード獲得などのKGIに直結しない作業
  • 誰に向けて、どのフェーズ(認知・検討・購入)を狙っているのかが不明瞭な施策

「全部大事」にしてしまう人が陥る3つの落とし穴

すべてを「大事」と捉えて優先順位をつけない場合、次のような問題が生じやすくなります。

  1. 焦点がぼやけて成果が分散する
  2. 長期戦略を先送りし、短期対応ばかりになる
  3. チーム内で合意が取れず、作業が重複する

ここにさらに、

  • データを見ずに感覚で意思決定してしまう
  • 競合状況や市場ニーズを考慮しない

といった判断のクセが重なると、インパクトの小さい施策に工数を割き続けることになります。その結果、同じリソースを投下しても、本来到達できるはずだった成果の20〜30%程度しか出せない、といった状況に陥りがちです。


まず押さえたい:マーケティングの仕事の全体像

マーケティングの仕事はどんなプロセスで動いているのか

マーケティングの仕事は、一般的に以下のプロセスの循環で成り立っています。

  1. 市場調査
  2. 戦略立案
  3. クリエイティブ制作
  4. 実行
  5. 分析
  6. 改善

各フェーズで求められるタスクは異なり、それぞれにボトルネックが存在します。

この一連の流れを、次の視点で整理すると、どのフェーズに優先的にテコ入れすべきかが見えやすくなります。

  • 誰に(セグメント)
  • 何を(提供価値・ポジショニング)
  • どうやって(チャネル・施策)

STPやカスタマージャーニーの視点で業務を整理することで、「どのフェーズを強化すれば全体成果が最大化するか」を判断しやすくなります。優先順位付けとは、まさにこのポイントを決める作業だと言えます。

「上流」と「下流」の仕事で優先順位の考え方は変わる

マーケティング業務は大きく「上流」と「下流」に分けて考えることができます。

  • 上流:戦略立案・ターゲティングなど、効果の進む方向性を決める仕事
  • 下流:運用・制作など、具体的な成果を積み上げる仕事

上流が不在のまま下流の施策だけを進めると、努力が無駄になりやすくなります。

たとえば、上流で「どのターゲットに・どのポジショニングで・どのチャネルを軸に攻めるか」が決まっていない状態で、広告クリエイティブやSEOコンテンツを量産しても、メッセージがバラバラになり、コンバージョン率が伸びにくくなります。

一方で、上流で仮説を立てたものの、施策への落とし込みが遅れると、学習サイクルが回らず、機会損失が発生します。

そのため、事業フェーズに応じて、次のように上流・下流の比重を調整することが重要です。

  • 新規事業やブランド転換期など:上流タスクのウェイトを高める
  • 既存事業のグロースフェーズ:下流タスク(運用最適化)の比重を高める

ルーティンとプロジェクトを分けて考える

マーケティングの仕事は、「ルーティン」と「プロジェクト」に分けて管理する必要があります。この2つを混同すると、タスク管理が破綻しやすくなります。

  • ルーティン業務

    • 例:SNS投稿、広告入札調整、レポート作成など
    • 特徴:「止めるとすぐに悪影響が出るが、1回あたりのインパクトは中〜小」
  • プロジェクト業務

    • 例:サイトリニューアル、新しいLPの量産、価格改定キャンペーン、休眠顧客掘り起こし施策など
    • 特徴:「一度のインパクトが大きいが、準備に時間がかかる」

ルーティンは「必要最低限を仕組み化して省力運転」することを基本とし、プロジェクトは「インパクト×実現可能性」で順位付けします。そして、月ごと・四半期ごとに着手するプロジェクトを選定することで、日々の忙しさに流されにくくなります。


優先順位を付ける前に決めるべき1つのこと

ゴール(KGI・KPI)が曖昧だと、何に集中すべきか決められない

マーケティングの優先順位を決めるうえで、まず定義すべきなのがゴールです。目標が曖昧なままでは、効果測定も優先順位付けもできません。

ここで重要になるのが、以下の2つを連動させて設定することです。

  • 売上・LTV・新規受注数などのKGI(最終目標)
  • その手前のリード数、商談数、トライアル申込数、CTR、CVRなどのKPI(中間指標)

このとき、「どのKPIがボトルネックになっているのか」を特定することが鍵になります。ボトルネックとなっているKPIが分かれば、どのチャネル・どの施策群を優先すべきかが自然と絞られてきます。

目標から「やるべき仕事」を逆算する簡単な手順

KGIから主要KPIをブレイクダウンし、そのKPIに影響する施策を洗い出すことで、優先順位をつけやすくなります。大まかな手順は次の通りです。

  1. KGIを設定する(例:「月間売上+20%」)
  2. その達成に必要な商談数やコンバージョン数(CV数)を算出し、主要KPIとする
  3. CV数に最も寄与しうるチャネル(広告、SEO、メルマガ、営業フォローなど)を洗い出す
  4. 各チャネルで取りうる具体的な施策(例:広告クリエイティブ改善、SEOで特定カテゴリの記事追加、休眠顧客への再アプローチ)を列挙する
  5. 各施策について、「KPIへのインパクトの見込み」と「実行工数・コスト」をざっくりスコアリングする

この流れで「やるべきこと」を評価し、スコアの高い順に並べ替えることで、優先度の高い施策から着手できるようになります。


基本フレームワーク①:重要度×緊急度でざっくり仕分ける

アイゼンハワー・マトリクスでマーケティングタスクを4つに分類

マーケティングタスクは、「重要度」と「緊急度」の2軸で分類することで、ざっくりと優先度を整理できます。いわゆるアイゼンハワー・マトリクスです。

  • 緊急かつ重要なタスク:すぐに実行する
  • 重要だが緊急でないタスク:計画を立てて進める
  • 緊急だが重要でないタスク:できれば他者に委任する
  • 緊急でも重要でもないタスク:削除・中止する

マーケティング業務に当てはめると、例えば次のように分類できます。

象限 特徴 マーケティングの具体例
緊急×重要 即対応しないと大きな損失につながる
  • 今週中に開始すべきキャンペーン
  • サイトや広告のトラブル対応
  • コンプライアンス関連の緊急修正
重要×非緊急 長期的な成果に効くが、締切は迫っていない
  • 中長期のSEO戦略策定
  • 新プロダクトのポジショニング設計
  • ブランドガイドラインの整備
緊急×非重要 期限は近いが、成果インパクトは小さい
  • 社内向け報告フォーマットの細かな修正
  • 関連性の薄い会議への出席
非緊急×非重要 やらなくても大きな影響がない
  • 成果に紐づかない資料作成
  • 目的が明確でない調査・リサーチ

「重要だけど緊急でない仕事」をどう確保するか

「重要だが緊急でない」タスクは、放っておくと日々の緊急対応に押し流されがちです。そのため、あらかじめ時間をブロックし、着手を仕組み化することが必要です。具体的には、次のような方法があります。

  • 毎週あらかじめ○時間を「戦略・改善タスク専用時間」としてカレンダー上に確保する
  • チームのOKRに「重要だが非緊急」タスク(例:ターゲットの再定義、カスタマージャーニーの更新)を組み込み、定期的に進捗レビューを行う
  • ルーティン作業をテンプレート化・自動化し、この時間帯には新規の依頼を受けないルールを設ける

こうしたルールを設計しない限り、重要な中長期施策はいつまでも着手されないまま残り続けます。

今日・今週・今月でやることの切り分け方

同じ「重要な仕事」であっても、着手すべきタイミングは異なります。「今日・今週・今月(〜四半期)」という時間軸で整理することで、計画が立てやすくなります。

期間 主なフォーカス タスクの例
今日(デイリー) 運用・トラブル対応など即応が必要なもの
  • 広告運用の微調整
  • LPの軽微な修正
  • SNS投稿
  • 急ぎの問い合わせ対応
今週(ウィークリー) 特定のKPIの改善や小・中規模の改善施策
  • 特定のKPIの改善を目的としたABテストの実施
  • 週次レポートの作成とインサイトの共有
  • 翌週以降に走らせるキャンペーンの要件定義
今月〜四半期 戦略・大型プロジェクトなどの根本的なテコ入れ
  • 新LPやサイトリニューアルなどのプロジェクト推進
  • ターゲットセグメントやポジショニングの見直し
  • 主要チャネルの投資配分の再設計

まとめ:優先順位付けは「どこに効かせるか」を決める作業

マーケティングの仕事に優先順位をつけるには、まず「どこに向かうのか」を具体的なKGI・KPIとして言語化し、そのボトルネックを特定することが出発点になります。次に、仕事全体を「上流/下流」「ルーティン/プロジェクト」に分けて整理し、どの層にテコ入れすべきかを見極めることで、限られたリソースでも成果に直結しやすくなります。

そのうえで、アイゼンハワー・マトリクスなどのフレームワークを使い、「緊急かつ重要なこと」と「重要だが緊急ではないこと」を意識的に切り分けることが欠かせません。特に後者は、あらかじめ時間をブロックしたり、OKRに組み込んだりして、日々の雑務に飲み込まれないように運用ルールを整える必要があります。

目の前のタスクをただこなすのではなく、常に「これはKGI・KPIのどこにつながる仕事か?」と問い直しながら、やること・やらないことを選び取っていくことが、マーケティングの生産性と成果を高める一番の近道です。

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この記事を書いた人

Webマーケティング業界10年以上のフリーランス。
「低コストでも、効果のあるWebマーケティング」をご提供することをモットーに、多岐にわたる業種の会社さまのご支援を行っております。
※2025年1月に法人化しました。