webサイトをリニューアルするか迷った時に整理したいこと

Webサイトのリニューアルを考えるとき、「いま本当に全面刷新が必要なのか」「部分的な改善で足りるのか」で迷うケースは少なくありません。なんとなくの不安やデザインの古さだけで動き出すと、SEOや集客、社内運用に思わぬダメージを招くこともあります。この記事では、リニューアルに踏み切る前に整理しておきたい観点と判断軸を具体的にまとめます。

目次

Webサイトをリニューアルするか迷った時に整理したいこと

「なんとなくリニューアルしたい」が危険な理由

「デザインが古いから」という理由だけでリニューアルを進めると、本質的な課題が置き去りになりがちです。見た目だけ変えても、コンバージョンや集客が改善しないケースは少なくありません。

特に日本企業では、表層だけを整えるリニューアルが典型的な失敗パターンであり、検索順位やCVRの悪化を招きやすい傾向があります。経営層が「とりあえず新しく見せたい」と考えている一方で、マーケティングや制作担当と目的が共有されていない場合は注意が必要です。

リニューアルに失敗すると、SEO評価の下落、問い合わせ数の減少、想定外の追加コスト発生といった悪影響が出ます。特にURL変更やリダイレクト漏れは大きな流入減少につながります。実際に、全ページをトップページにまとめてリダイレクトした結果、有力キーワードの順位が20位以下まで落ち、流入が6割減少した事例もあります。

「安く早くやってくれるところ」に丸投げするほど、このリスクは高まります。制作側の工数を抑えるために、SEO設計や移行計画がほとんど検討されないまま進行してしまうことが多いためです。

一方で、リニューアルをせずとも部分的な改善で解決できるケースも多くあります。CTAの変更、本文の見直し、表示速度の改善といったポイント改善で成果が出る場合があります。トイザらスのように、検索体験や導線だけを改善してCVRを数倍にした事例もあり、「すべてを作り直す前に、どこまで既存サイトの改善で戦えるか」を検証する価値は十分にあります。


まず整理したい「現状」と「本当の課題」

アクセス・集客の現状を数値で把握する

まずは、現状のパフォーマンスを数値で把握します。

  • どのページにどれくらい人が来ているか(PV上位ページの確認)
  • どの検索キーワードから流入しているか(Search Consoleでの把握)
  • 直帰率・離脱率・コンバージョン率をページ単位で確認し、改善余地を洗い出す

このとき、「検索流入が多いのにCVRが低いページ」「PVは少ないがCVRが高いページ」などを把握しておくと、リニューアル時に「守るべきページ」「伸ばしたいページ」の優先順位が明確になります。

現状で成果に貢献している「稼ぎ頭のページ」を特定しておかないと、リニューアル後にうっかり削除・統合してしまい、集客が大きく落ちるリスクがあります。

ユーザー視点での課題を洗い出す

ユーザー体験(UX)の観点から、以下のような課題を整理します。

  • スマホで見づらい、表示が遅い、必要な情報にたどり着きにくいといった不便さ
  • Core Web Vitals(LCP/CLS/INP など)のスコアを確認し、「読み込みが遅い」「レイアウトがガタつく」といったストレス要因を数値として把握
  • 問い合わせや資料請求への導線が分かりづらくないか(ボタンのラベル、色、配置などを確認)

小さな変更でCVRが大きく向上することもあり、MEDULLAの事例のようにボタン周りの改善だけでCVRが2倍以上になったケースもあります。

また、競合サイトと比較し、機能や情報が劣っていないかもチェックします。特にBtoBサイトでは、「導入事例」「料金」「よくある質問」「会社情報」など、ユーザーが比較検討で重視する情報が抜けていないかを確認することが重要です。

可能であれば、営業・サポート・カスタマーサクセスなど、ユーザー接点のある部署にもヒアリングし、「お客様がよく迷っている点」「説明に時間がかかる点」を洗い出します。それらをサイト上で先回りして解消できないか検討します。

社内運用・更新体制の課題を把握する

社内の運用体制にも課題がないか確認します。

  • 更新したいのにできていない理由(権限・スキル・工数)を明確にする
  • CMSの有無や使い勝手、テンプレート管理の状態を確認する

WordPressなどのCMSを導入していても、「難しくて触れない」「構造が複雑で怖い」といった理由で更新ができていなければ、実質的には静的サイトと変わりません。

また、以下のような点も整理します。

  • 担当者の負荷、予算、リリースまでにかかる時間
  • 「1ページ修正のたびに見積もり・発注が必要」「更新1件ごとに数万円かかる」といった状況になっていないか

このような場合、運用コスト削減を目的としたリニューアルの優先度は高いといえます。

DXやマーケティングの観点では、「誰が、どの頻度で、どの程度の内容を更新したいのか」を明文化しておくと、必要なCMS機能や権限設計(ワークフロー、レビュー機能など)を決めやすくなります。


「リニューアルの目的」を明確にするステップ

目的のパターンを整理する

リニューアルの目的をあいまいにしたまま進めると、判断がぶれやすくなります。まずは、目的の方向性を整理します。

  • 集客を増やしたい(SEO強化、広告連携など)
  • 問い合わせ・資料請求・購入を増やしたい(コンバージョン最適化)
  • 採用強化やブランドイメージの刷新
  • 運用コストや属人化を減らしたい(CMS導入・改善など)

複数の目的を組み合わせる場合でも、「最優先はどれか」を決めておかないと、デザインや情報構成、投資配分の判断で迷走しやすくなります。

たとえば、BtoBサイトなら「リード獲得」、小売・ECなら「売上・CVR」、コーポレートサイトなら「採用・信頼性」といった具合に、自社のビジネスモデルに直結する目的に絞り込むことが重要です。

目的を数値目標(KPI)に落とし込む

「なんとなく良くしたい」という状態から抜け出すために、目的を数値目標として具体化します。

  • 例:CVRを20%向上させる
  • 主要キーワードを10位以内に入れる
  • 更新工数を半減する など

これに加えて、「いつまでに」「どの指標で」「誰がモニタリングするか」まで決めておくと、制作会社との要件定義や見積もりでのすり合わせがしやすくなります。

KPIは1つに絞る必要はありませんが、「必達KPI」と「達成できればベストなKPI」を分けておくと、要件調整や予算配分の優先順位づけがしやすくなります。

また、公開後1〜3ヶ月でどのように効果検証を行うか(Analytics、Search Console、ヒートマップなどで何を確認するか)も事前に決めておくと、「作って終わり」のリニューアルになりにくくなります。


「リニューアルすべきか」を判断するチェックリスト

既存サイトを改善すれば済むケース

次のような場合は、全面リニューアルではなく、既存サイトの改善で十分な成果が期待できる可能性があります。

  • デザインは古いが、導線やコンテンツの改善で成果が見込める場合
  • トップページや主要コンバージョンページのみの見直しで対応できる場合

検索流入やCVRなどの数値が極端に悪くなく、「見た目の古さ」が主な不満であれば、まずは以下のような部分改善が有効です。

  • CVボタンの目立たせ方の見直し
  • フォームの項目数を減らす
  • スマホでの余白・文字サイズの調整 など

また、CMSがあり自社で更新できる状態であれば、「新しいコンテンツや事例の追加」「よく読まれている記事のリライト」といったコンテンツ面のテコ入れだけで、十分な成果が出ることもあります。

リニューアルした方が良いサイン

次のような状況があれば、部分的な改善では限界があり、リニューアルの検討が妥当なサインとなります。

  • スマホ非対応である、あるいは表示速度が極端に遅い
  • ページ構成やURL設計が複雑で、サイト構造が混乱している
  • CMSがなく、更新がほとんど止まっている
  • 事業内容とサイト上の情報が大きく乖離している

さらに、以下のような場合は、技術基盤ごと見直すリニューアルが必要になることが多いです。

  • サーバーやCMSのサポートが終了している
  • セキュリティアップデートが提供されていない
  • LPやブログを増やしたくても、現在の構造では拡張が難しい

コロナ禍以降、オフライン営業からオンラインへのシフトが進む中で、

  • 問い合わせフォームや資料ダウンロード機能がそもそもない
  • セミナー・ウェビナーの告知がしづらい

といったように、ビジネスモデルの変化にサイトが追いついていない場合も、目的を再定義したうえでリニューアルを検討すべきタイミングといえます。


SEOを落とさないために絶対に整理しておくこと

Webサイトリニューアル時に多いSEOの勘違い

リニューアルとSEOの関係について、よくある勘違いを整理しておきます。

  • デザインを変えただけでSEOが自動的に向上することはありません。むしろ、構造変更によって順位が下がるリスクがあります。
  • CMSを変更しても、正しい移行(URL維持、301リダイレクト、メタ情報の引き継ぎ)を行えば、順位は維持可能です。
  • 「リニューアル=SEOのやり直し」と考え、URL構造やタイトルを安易に総入れ替えすると、長年蓄積してきた評価を自ら捨ててしまうことになります。

また、robots.txtやnoindexの設定ミスによって、公開後にクローラーがサイト全体をクロールできず、検索結果からほぼ消えてしまうケースも少なくありません。テスト環境用に設定したアクセス制限が本番公開後も残ってしまう、といったヒューマンエラーにも注意が必要です。


まとめ:全面リニューアルか、部分改善かを見極める

Webサイトのリニューアルは、「なんとなく新しくしたい」という気分だけで踏み切ると、成果ページの削除やSEO評価の毀損など、取り返しのつかないダメージにつながりかねません。まずは現状のアクセス状況やCVR、ユーザーの不便さ、社内運用の詰まりどころを洗い出し、「本当に困っているのはどこか」をはっきりさせることが出発点になります。

そのうえで、

  • 集客強化なのか
  • CV向上なのか
  • 採用・ブランディングなのか
  • 運用負荷の軽減なのか

といった目的を絞り込み、数値目標や期限まで具体化すると、全面刷新に踏み込むべきか、部分改善にとどめるべきかの線引きがしやすくなります。スマホ非対応、古い基盤、事業との乖離が大きい場合はリニューアルを検討する価値が高く、一方で導線やコンテンツの見直しで成果が狙える状況であれば、まずは既存サイトの改善から着手するのが現実的です。

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この記事を書いた人

Webマーケティング業界10年以上のフリーランス。
「低コストでも、効果のあるWebマーケティング」をご提供することをモットーに、多岐にわたる業種の会社さまのご支援を行っております。
※2025年1月に法人化しました。