「急にWeb担当を任されたけれど、何から手をつければいいのかわからない」。そんな不安を抱えている方は少なくありません。本業を続けながら見慣れない業務に向き合うと、自分だけ取り残されているように感じがちです。この記事では、任された直後の30日間で、混乱をほどきながら一歩ずつ前に進むための考え方と具体的な行動を整理していきます。
急にWeb担当を任されて不安な人が最初にやること
「いきなりWeb担当」に任命されたとき、まず知っておいてほしいこと
よくある任命パターンは、本業の合間に兼務で任されるケースであり、うまく回らなくてもあなた個人の責任ではありません。問題の本質はスキル不足ではなく、会社の仕組み(予算・体制・情報共有)が整っていないことにあります。そのまま放置すると、担当者の燃え尽きやサイト放置、企業評価や採用力の低下といった悪循環が起きやすいため、早めの手当てが必要です。
特に中小企業では、Web専門部署を作れず、事務・営業・人事など「本業のついで」に任されることが一般的です。日本企業では歴史的に「まず作る」ことが優先され、その後の運用体制や教育、継続予算の設計が後回しになってきました。その結果、次のような“構造的に孤立しやすいポジション”になりがちです。
- 誰が更新するのか決まっていない
- 相談相手がいない
- サーバー保守だけ外部委託で、運用の相談窓口がない
この構造を理解しておくと、「自分がダメだからうまくいかない」という自己否定ではなく、「仕組みを少しずつ整える仕事なのだ」と捉え直しやすくなります。
自分の今の状況を5分で整理する
まずは、次の3点をざっと確認し、現状を整理します。
1. 自分に何がどこまで任されているかを書き出す
更新頻度、権限の範囲、予算の有無などを簡単にメモします。
このときに、
- 本来は自分がやらないはずのこと
- 決裁が必要なこと
を分けておくと、後々の役割調整がスムーズになります。
2. 現在のサイトの現状チェック(3ポイント)
-
いつ更新されたか
最終更新日やニュース欄を確認します。年単位で止まっている場合は、「現状復旧(古い情報の削除・修正)」を優先タスクと考えます。 -
どんな目的で作られていそうか
採用、営業、問い合わせのどれが主な目的なのかを想像します。トップページのコピー、メニュー構成、「実績」「採用情報」の扱いなどから仮説を立ててみてください。 -
誰がこれまで担当していたか
過去の履歴や定期作業の有無を確認します。前任者のフォルダ、マニュアル、制作会社とのメール履歴などを探し、「これまでの暗黙ルール」をできる範囲で可視化しておきます。
3. 相談できそうな人・外部パートナーの有無を確認する
社内のIT担当、制作会社の保守窓口などを洗い出しながら、
- 技術の相談窓口
- 内容・文章の相談窓口
- 予算・決裁の相談窓口
の3種類を意識して整理すると、どこが“空白地帯”なのかが見えやすくなります。
この「5分での全体把握」が、今後30日間の動き方を決めるための地図になります。
不安を分解する:「知識」「予算」「体制」の3つの壁
1. 知識の壁:何から勉強すればいいのか分からない
まず、最低限覚えておきたい基本知識は次の3つです。
- 自社サイトの目的(採用/営業/問い合わせなど)
- アクセス解析の基礎(どれくらい見られているか、直帰率など)
- 更新フロー(誰が原稿を書き、誰がチェックするか)
CV、直帰率、セッション、CMSなどの専門用語は、まずは「よく出てくる言葉のリスト」を押さえる程度でかまいません。最初から完璧に理解しようとせず、「使いながら学ぶ」姿勢で十分です。
知識の壁でつまずきやすいのは、「何から手を付ければよいか分からない」「勉強しても実務にどう活かせばよいか分からない」という点です。その際は、次のような“やりすぎない勉強法”が役に立ちます。
自社サイト → 数字 → 仮説、の小さなサイクルを回す
「自社サイトを見る → 数字を見る → 1つだけ仮説を立てる」の繰り返しを意識します。
例:
採用ページの閲覧数はあるが応募が少ない → 「フォームが長すぎるのではないか」
このように、データ → 気づき → 小さな改善案をセットで考える習慣をつけます。
社内の現場に聞いてコンテンツの“タネ”を集める
お客様からよく聞かれる質問や、営業がよく説明している内容をヒアリングするだけでも、FAQやコンテンツの素材になります。これは専門書を読むよりも即効性があります。
「分からないことリスト」を作り、優先度の高いものから潰す
GA(アクセス解析ツール)の数字の意味、SEO用語、CMSの機能など、「よく見るけれど意味が曖昧なもの」をメモしておき、時間があるときに1つずつ調べていきます。すべてを理解していなくても業務は回るため、「優先度の高い疑問から」でかまいません。
あなたに求められているのは、いきなりプロ級のマーケターになることではなく、「最低限の共通言語を持って社内外と会話できる状態」になることです。
2. 予算の壁:お金も時間も割いてもらえない
予算が付かない背景には、「効果が見えない」という理由があることが多いです。稟議の場では「お願い」ではなく、改善による数値的な効果(問い合わせ増、採用応募数増、工数削減)を示し、「投資」として説明すると通りやすくなります。
まずは、お金をかけずにできる改善から着手します。例えば、FAQの整備、フォーム項目の削減、既存画像の最適化(軽量化)などです。
あわせて、「小さく始めて、小さく成果を見せる」進め方が有効です。
Before/Afterを必ず数字でセットにして見せる
| 施策 | Before | After | 伝え方のポイント |
|---|---|---|---|
| FAQを追加 | 問い合わせ件数は一定、同じ質問が多い | 問い合わせ件数は横ばいだが「同じ質問」の割合が減少 | 質の変化として報告する |
| フォーム項目を5つ削減 | 完了率 ○% | 完了率 ○% → ○%に改善 | 率の変化をシンプルに共有する |
こうした小さな改善でも、回数を重ねることで「Webに投資すると数字で変化が出る」という空気を社内に作ることができます。
「外注費」ではなく「人件費削減・機会損失減」として説明する
例:
- 営業が毎回同じ説明をしている内容をFAQ化
→ 月○時間分の説明時間を削減 - 古い採用情報を更新せずに放置
→ 求職者が離脱し、応募機会を逃している
といった、目に見えづらい損失を“コスト”として伝えると、必要性が共有されやすくなります。
無料・低コストでできる範囲を先に形にしてから相談する
ノーコードツールや既存のCMS機能、社内にある写真素材など、今ある資産を活用して「ここまで自力でできました」と形を見せてから、次のステップとして予算を相談すると、話が通りやすくなります。
予算の壁は、あなたの説得力だけでなく、「見える数字」をどれだけ用意できるかで大きく変わります。いきなり大きな改善案を出すのではなく、「小さな実験と報告」を積み上げるイメージで進めることで、精神的な負担も減らせます。
3. 体制の壁:一人で全部やる不安と限界
Web担当に降ってくる業務は多岐にわたります。更新依頼、バナー作成、SNS運用、アクセスレポートなどをすべて一人で抱え込まないために、業務の線引きをしておくことが大切です。
例えば、「原稿は各部署が作成し、アップロードは自分が担当する」「簡易バナーはテンプレートを用意して外注する」といった分け方をするだけでも、負担はかなり軽くなります。協力を得る際には、短い依頼文のテンプレートを用意し、「お願い」ベースではなく「◯日以内に、これだけお願いします」と具体的に伝えると、動いてもらいやすくなります。
体制の壁を越えるポイントは、「一人で完結しようとしない仕組み」を作ることです。
役割分担の簡易ルールを決める
| 工程 | 担当 | ポイント |
|---|---|---|
| 原稿作成 | 各部署(営業、人事、総務など) | 現場の言葉・事例を集める |
| 校正・チェック | 上司または担当部署の責任者 | 表現の妥当性・情報の正確性を確認 |
| 入稿・更新 | Web担当(あなた) | レイアウト・リンク切れなどをチェック |
このように大きく“3分割”しておくだけでも、責任の所在が明確になり、あなたの負荷が軽くなります。
定期的な「ミニ定例」を設ける
月1回、15分程度でよいので、「今月更新したこと」「来月の予定」「困っていること」を共有する場をつくります。ここで、前述の小さな改善結果(数字)を共有すると、協力してくれる人も増えやすくなり、“孤軍奮闘している感覚”も和らぎます。
外部パートナーの使い方を明確にする
制作会社や保守会社がいる場合は、
- サーバーやセキュリティ
- デザインが大きく変わる改修
など、技術的な不安が大きい領域だけでも外部に任せる方針を決めておくとよいです。そうすることで、あなたは「何を作るか」「誰に届けるか」といった戦略面に時間を割けるようになります。
一人で背負い込み続けると、知らないうちに更新作業が心理的な“苦行”になり、無意識に避けるようになってしまいます。早い段階で「役割」「頻度」「相談ルート」の3つを整えることが、不安の根を断つ近道です。
最初の一歩:今日から30日でやることリスト
Step1:上司と「役割」と「ゴール」をすり合わせる
最初に確認しておきたいのは、上司との認識合わせです。まず、次の3つの質問を上司に投げかけてみてください。
- 自分に何がどこまで任されているのか
- サイトは今どんな状態だと認識しているのか
- 半年〜1年後に、サイトでどんな成果が出ていれば「うまくいっている」と言えるのか
このとき、「今のままでいいところ」と「変えたいところ」を分けて聞くと、不要な作業を増やさずに済みます。
Step2:30日でやる「最低限タスク」を決める
次に、最初の30日でやることを絞り込みます。おすすめは、以下のような「小さな3本柱」です。
- 現状復旧:明らかに古い情報・間違った情報の修正
- 1つの重要ページの改善:採用、問い合わせ、サービス紹介などから1ページだけ選ぶ
- 数字の計測準備:アクセス解析の確認と、基本指標(閲覧数・直帰率など)の把握
この3つに集中することで、「何から手をつければいいか分からない」という状態から抜け出しやすくなります。
Step3:小さな成果を「社内に見える形」で残す
30日が終わる頃に、簡単なレポートやスライド1〜2枚で構わないので、
- この1カ月でやったこと
- その前後で変化したこと(数字・社内の反応)
- 次の1カ月でやりたいこと
をまとめて共有します。「ちゃんと前に進んでいる」という空気をつくることが、その後の予算や協力体制の土台になります。
まとめ:不安は「見える化」と「分担」で小さくできる
まとめると、「急にWeb担当」に任命された直後の30日間で大事なのは、スキル習得よりも先に「状況の見える化」と「一人で抱え込まない仕組みづくり」に着手することです。
- 自分に何がどこまで任されているのか
- サイトは今どんな状態なのか
- 誰に何を相談できるのか
この3点をざっくり整理するだけでも、「よく分からない不安」はかなり薄れていきます。
そのうえで、「知識」「予算」「体制」の3つの壁を、一気にではなく小さなステップで越えていく進め方が現実的です。
自社サイトと数字を眺めながら、仮説をひとつ立てて試してみる。費用をかけずにできる改善から取り組み、その前後の変化を数字で共有する。原稿作成・チェック・更新の3つに分けて役割を整理し、「一人で完結しない前提」で体制を考える。
こうした“小さな一歩”を積み重ねることで、気づけば「ただの不安な担当者」から、「会社のWebまわりを少しずつ整えているキーパーソン」へと役割が変わっていきます。30日で完璧を目指す必要はありません。まずは、できる範囲の一歩を具体的に決めて動き出すことから始めてみてください。
