中小企業がSEOキーワードを選ぶ前に押さえておきたい前提
なぜ「中小企業向けのキーワード選定」は大企業と違うのか
中小企業がSEOで成果を出すには、大企業と同じ土俵で戦わない工夫が欠かせません。とくに「どんなキーワードで勝負するか」は、限られた予算や人員をどう活かすかを左右する核心部分です。
中小企業は、ドメインパワーや予算の面で大企業にはなかなか勝てません。そのため、「とりあえずビッグワードを狙う」という総当たり戦ではなく、勝てるニッチを狙う戦略が必要になります。
特に、検索ボリュームが月間1万回を超えるようなビッグワードでは、検索結果の上位を大企業・ポータルサイト・公的機関などが占めているケースが多く、同じ土俵で戦っても費用対効果が見合わないことがほとんどです。
一方で、「地域名+サービス名」「業種+課題」「事例・料金・比較」などを組み合わせたロングテールキーワード(月間100〜1,000検索程度)は、競合が限定されやすく、中小企業でもコンテンツの質と構造を工夫すれば十分に勝てるゾーンです。
いわば、ランチェスター戦略的に「弱者が勝てる局地戦」を選ぶ作業がキーワード選定であり、「どの市場・どのニッチなら継続的に1位〜3位を狙えるか」を探すことが、中小企業SEOの出発点になります。
「検索される言葉」と「自社が売りたい言葉」はズレている
社内で日常的に使っている業界用語と、顧客が実際に検索するときに使う言葉は、多くの場合異なります。SEOでは、まずユーザー目線の言葉を優先することが重要です。
たとえば、Web制作会社が「コーポレートサイト制作」「CMS構築」といった言葉を好んで使っていても、検索ユーザーは「会社 ホームページ 作り方」「帯広 ホームページ制作 料金」のように、より素朴で具体的な表現で検索します。
このギャップを埋めるためには、次のような方法が有効です。
- Googleサジェストやラッコキーワードで「実際に入力されている言葉」を一覧化する
- 営業現場でお客様が口にするフレーズ(例:「集客したい」「失敗したくない」「相場が知りたい」)を拾い、そのままキーワード候補にする
このように、「顧客の頭の中にある言葉」をベースにすることが大切です。
「業界用語 → ユーザーの言葉」への翻訳ができていないと、検索ボリュームがほとんどないキーワードばかりを量産してしまい、どれだけ記事を書いてもアクセスが増えない原因になります。
まず決めるべきは「誰のどんな悩みを取りにいくか」
ターゲットとゴールを1ページにつき1つに絞る
1ページにつきゴールを1つに絞ることで、コンテンツ設計がぶれにくくなります。そのためには、ターゲット像(年齢・業種・抱えている課題)をできるだけ具体的に決めておくことが重要です。
「誰向けのページか」「そのページで何をしてほしいか(問い合わせ、資料請求、来店予約、メルマガ登録など)」を最初に1つに決めておくと、見出し構成や事例の選び方、CTA(行動喚起ボタン)の配置などが一貫したものになります。
たとえば、次のようなイメージです。
- 「地方の建設業の社長向け」「ホームページ集客に失敗している悩み」
- 「飲食店オーナー向け」「リピーターを増やしたい悩み」
ここまで具体化できると、「どんなキーワードで検索しそうか」「どんな事例や数字を示せば響きやすいか」をイメージしやすくなります。
1ページの中に複数のターゲットやゴールを詰め込みすぎると、検索意図がぼやけるため、上位表示もしづらくなり、コンバージョン(問い合わせなど)も弱くなります。あえて対象を絞り込むことが、SEOではむしろ有利に働きます。
カスタマージャーニーで整理する「確定層〜潜在層」
検索ユーザーの意図は、購買フェーズによって変化します。確定層は成約に近く、潜在層になるほど教育や啓発が必要になります。代表的には、次のように整理できます。
確定層(今すぐ客)
- 例:「帯広 ホームページ制作 見積」「在庫管理システム 導入費用」
業者比較、料金、実績、納期など、具体的な判断材料を求めています。ランディングページ(LP)やサービスページとの相性が良い層です。
顕在層(課題が明確な検討中の客)
- 例:「建設業 ホームページ 集客 方法」「在庫管理 導入 失敗例」
課題解決の方法を調べている段階です。ノウハウ記事で情報提供しつつ、自社サービスへの導線を用意するのが効果的です。
準顕在層(課題の自覚がぼんやりしている層)
- 例:「売上 頭打ち web 集客」「在庫 ミス 多い 改善」
自分の状況をうまく言語化できていない段階です。課題を整理し言語化するコンテンツと、その解決策として自社サービスを紹介する「教育コンテンツ」が必要です。
潜在層(まだ課題を意識していない層)
- 例:「集客 アイデア」「お店 口コミ 増やす コツ」
直接のコンバージョンには距離がありますが、ブランディングや見込み顧客リストの獲得、SNSとの連携などに向いています。
中小企業の場合は、まず確定層・顕在層向けのキーワードから優先的にページを作成し、余力が出てきた段階で準顕在層・潜在層向けのコンテンツへと広げていく進め方が現実的です。
中小企業が最優先すべき「確定層・顕在層」キーワードとは
中小企業では、成約に近いキーワード、つまり「価格」「導入事例」「地域名+サービス名」などを優先すると、投資対効果が高くなります。
具体的には、次のような検索語が狙い目です。
- 「地域名+サービス名」(例:「〇〇市 工務店」「帯広 ホームページ制作」)
- 「サービス名+料金/費用/相場」
- 「サービス名+比較/他社との違い」
- 「サービス名+導入事例/失敗例」
これらのキーワードは、月間検索数が数十〜数百程度と少なく見える場合でも、問い合わせ率が高い「濃いアクセス」になりやすく、広告費をかけなくても安定したコンバージョンにつながる可能性があります。
中小企業のSEOでは、「アクセス数(PV)を増やす」ことよりも、「問い合わせにつながる検索語にリソースを集中する」ことが、限られた人員・予算を最大限に活かすポイントになります。
中小企業が狙うべき「勝てるキーワード」の基本ルール
ビッグワードに手を出してはいけない理由
ビッグワードは検索数が多く魅力的に見えますが、競合が非常に強く、上位表示までのコストも高くつきます。中小企業やSEO初心者にとっては、極めて非効率なターゲットです。
「SEO」「ホームページ制作」「在庫管理」などのビッグワードには、次のような特徴があります。
- 検索意図が幅広く、どのニーズに焦点を合わせるか決めにくい
- 大手メディア、ポータルサイト、比較サイトなどが資本と人員を投入している
その結果、上位表示を狙うには「大量のコンテンツ」「強力な被リンク」「長期間の運用」が必要になり、中小企業が挑戦すると、時間も費用もかけたのに検索結果の1ページ目にすら入れないというリスクが高くなります。
ビッグワードは、「将来的に育てるピラーページ(親ページ)の候補」として位置づけ、まずはその周辺にあるロングテールキーワードで実績とドメインパワーを積み上げていく方が戦略的です。
ロングテールキーワードと「地域名+サービス名」は大きな武器になる
3語以上の組み合わせや、特定の地域を含むキーワードは、競合が少なく、成約率も高くなりやすいため、中小企業にとって大きな武器になります。
たとえば、次のようなキーワードです。
- 「建設業 ホームページ 集客」
- 「〇〇市 工務店 リフォーム 補助金」
- 「在庫管理システム 中小企業 失敗例」
このようなロングテールキーワードには、次の特徴があります。
- 検索ユーザーのニーズが具体的で、購入・問い合わせに近い
- 上位サイトの数が少なく、ドメインパワーよりも「内容がどれだけ的確か」が評価されやすい
また、地域名を含めることで、実際の商圏となるユーザーだけを効率的に集客できるため、アクセス数自体は多くなくても、売上には直結しやすくなります。
「地域×サービス」「業種×課題」「サービス×料金・事例」など、3語以上の組み合わせを意識してキーワード候補を出していくと、中小企業ならではの「勝てるキーワード」が見つかりやすくなります。
「月間検索数はいくつあればOKか?」現実的な目安
中小企業にとって、狙うべきキーワードの月間検索数の目安は「100〜1,000回程度」です。ひとつの大きなキーワードで勝負するのではなく、小さめのキーワードを複数積み上げる戦略が現実的です。
| 月間検索数の目安 | キーワードの種類 | 中小企業としての扱い方 |
|---|---|---|
| 10,000以上 | ビッグワード | 原則として後回しにする |
| 1,000〜10,000 | ミドルキーワード | 競合状況を見て、将来のピラーページ候補として検討 |
| 100〜1,000 | 中核ゾーン | 中小企業が優先的に狙いたいゾーン |
| 10〜100 | 地域・業種特化の超ニッチ | 検索意図が明確であれば有望、成約率に期待できる |
中小企業にとっては、「月間100検索のキーワードで1位を取り、毎月数件の問い合わせを確実に獲得する」ことを、10〜20本積み上げるイメージが現実的です。合計すると、安定した問い合わせ数・売上インパクトにつながっていきます。
まとめ:中小企業がSEOキーワード選定で押さえるべき3つのポイント
本記事のポイントを整理すると、次の3つに集約されます。
-
大企業と同じ土俵に乗らない
検索数の多いビッグワードを追いかけるのではなく、「地域名+サービス名」「業種+課題」「料金・事例・比較」といったロングテールキーワードに軸足を置くことで、限られた予算と人員でも現実的な成果を狙いやすくなります。 -
「誰のどんな悩みを取りにいくか」をページごとに明確にする
1ページにつき、ターゲットとゴールを1つに絞り込み、確定層・顕在層向けのキーワード(価格・事例・地域名など)から優先して設計していくことで、問い合わせにつながる濃いアクセスを積み上げやすくなります。 -
「自社が使いたい言葉」ではなく「お客様が実際に検索する言葉」を起点にする
営業現場で聞くフレーズや検索サジェストをもとに、ユーザーの言葉でキーワードを設計することで、ムダ打ちの少ない現実的なSEO施策が可能になります。
これら3つの考え方をベースにキーワードを選定していけば、中小企業でも「勝てる領域」に集中しながら、着実に問い合わせと売上につながるSEOを実現しやすくなります。
