マーケティング目標がなかなか達成できないと感じたときに
「頑張っているのに成果が出ない」ときによくある行き詰まりパターン
施策はたくさん実行しているのに売上が伸びないケース
コンテンツや施策は量産されている一方で、ターゲットやメッセージ、ファネル上のボトルネックが未解決のままになっていることが多くあります。その結果、トラフィックやPVは稼げても商談や受注に結びつきません。
また、KGIと紐づかない施策が散発的に走っているため、「何を増やせば売上に効くのか」が不明瞭なまま手数だけが増え、リソースが細分化してしまいます。
広告・SNSの数字は悪くないのにKGIが未達なケース
CTRやインプレッションなどの表面的な数字は出ているものの、リードの質や商談化率、LTVが低く、KPIとKGIの因果関係がつながっていないパターンです。
広告運用担当は「数字は出ている」と認識し、経営側は「売上につながっていない」と感じるギャップが生まれやすく、「どの数字を成功とみなすか」の合意形成ができていないことがよく見られます。
上司・営業との認識がズレて疲弊してしまうケース
「良いリード」の定義やフォロー期限が共有されておらず、マーケティングは数字で評価されても営業が活用せず、両部門で摩擦が生まれるケースです。
マーケティングは「リード数は達成しているのに評価されない」、営業は「質の低いリードばかり送られてくる」と感じ、組織全体として機会損失とモチベーション低下が同時に進行します。
まず押さえたい「マーケティング目標」が達成できない根本原因
戦略レベルのズレ:WhatとWhoが曖昧なまま走っていないか
ターゲットが広すぎて「誰にも刺さらない」状態
「誰でも」を対象にするとメッセージが希薄化し、CTRやCVRが低下します。まずはコアとなる顧客像に集中することが重要です。
特にBtoBでは、業界・企業規模・役職・導入背景などで具体的にセグメントし、「この条件の顧客にとって一番価値がある提案は何か」を起点に設計することで、ファネル全体の効率が大きく変わります。
自社の強み・独自性(POD)がメッセージに落ちていない
競合との差別化ポイントが伝わらないと、価格競争に巻き込まれがちです。機能の差だけでなく、「なぜその課題にフォーカスしているのか」「どのような導入・運用支援があるのか」といった提供プロセスも含めて価値を定義しないと、比較検討時に「どれも同じ」に見えてしまいます。
数字の設計ミス:KGIからKPIを正しく逆算できていない
売上目標とリード数・CVRなどの数字がロジックでつながっていない
売上 → 受注 → 商談 → リードの流れを論理的に結び付けていないと、いくらKPIを追ってもKGIは動きません。
「リード◯件」といった入力指標だけでなく、「商談化率」「受注率」「平均単価」「LTV」まで含めてツリー状に分解し、どの数値をどれだけ動かせば目標売上に届くのかを可視化することが重要です。
目標値が非現実的、もしくは「追っても意味がない数字」になっている
PVだけ、単なるリード数だけを追うと「数字のための数字」になりがちです。SMART(Specific / Measurable / Achievable / Related / Time-bound)の観点で「達成可能か」「売上と本当に関連しているか」をチェックし、行動を歪ませる指標(例:質を無視した契約件数だけの目標)は極力排除します。
実行とPDCAの問題:施策をやりっぱなしにしていないか
コンテンツ量産・SNS更新が目的化している
施策ごとに狙いと期待効果を定め、評価基準を決めないと労力が無駄になりやすくなります。「この施策で、どのKPIをどれだけ改善したいのか」を事前に決めておくことで、効果検証と優先順位付けが可能になります。
計測・振り返り・改善のサイクルが回っていない
ツールが未整備であったり、レビュー頻度が不足していると、改善の余地が見えません。SFA/MA/アクセス解析ツールを導入していても、週次・月次で数字を見て議論する場がなければ宝の持ち腐れです。
「データがある状態」ではなく「データをもとに意思決定している状態」まで運用を設計する必要があります。
組織・連携の問題:マーケと営業がバラバラに動いていないか
「良いリード」の定義が営業と共有されていない
定義のズレによって、マーケティングが作ったリードが営業に拒否されることがあります。
たとえば「◯名以上の参加があるウェビナー申込」「特定ページを一定回数閲覧」といった行動条件と属性条件を組み合わせて合意しないと、評価基準が人によってバラバラになります。
マーケのKPIと営業の評価指標が食い違っている
共通のKGIを起点に指標を設計し、SLAで合意する必要があります。片方が「リード数」、もう片方が「短期受注額」だけを見ていると、リードの質や中長期のLTVが犠牲になります。
部門横断で「何を成功とみなすか」を揃えることが、文化面の摩擦を減らす近道です。
自社の「どこでつまずいているか」を整理するチェックポイント
ファネル全体を可視化してボトルネックを特定する
認知 → 興味 → リード獲得 → 商談 → 受注 の各ステップを数字で並べ、「どの段階で業界平均より落ちているか」を確認することで、改善の優先度が明確になります。
例えば、リード数は十分でも商談化率が低いならナーチャリングや営業トークがボトルネック、商談化率は高いがトラフィックが不足しているなら集客チャネルの強化が優先、といった形で打ち手が具体化します。
自社のターゲットと提供価値を言語化する
- Who(誰に)を一文で説明できるか
- What(何を・どんな価値を)を一文で説明できるか
これが曖昧だと施策もブレます。特にBtoBでは、意思決定プロセスに複数のステークホルダー(現場、決裁者、情シスなど)が関わるため、「誰のどんな課題を、どのフェーズで解決するのか」を具体的に書き出すことが、メッセージの一貫性につながります。
KPI設計の妥当性を簡易的に見直す
- KGIから逆算したときに「論理的につながる数字」になっているか
- 達成に必要なリソース(人・予算・時間)と釣り合っているか
あわせて、「このKPIを達成しても売上にインパクトがないのでは?」と感じる指標があれば思い切って削り、少数の重要指標に集中することで、チームの行動と評価がシンプルになります。
原因別:「マーケティング目標が達成できない」を抜け出す対処の方向性
戦略が曖昧な場合の方向性
PMFとターゲットを絞り込むためのステップ
- 既存の良い顧客から共通点(業界、課題、導入背景、意思決定者など)を抽出する
- 「やらないターゲット」「捨てる市場」を明確にしてリソースを集中する
そのうえで、「この顧客タイプには強く価値を出せているが、別のタイプにはまだPMFが怪しい」といった形で切り分け、まずは勝ちパターンがある領域に投資を集中させると、成果が数字に現れやすくなります。
メッセージとポジショニングを磨き直す
- POP/PODの観点で競合と比較し、差別化ポイントを整理する
- 伝えるべき価値を1つのメインメッセージに絞り、すべての施策で一貫させる
Webサイト、広告、営業資料、ウェビナーなど、タッチポイントごとにメッセージが微妙に違う状態はよくあります。一度、代表メッセージとサブメッセージを定義し、「どのチャネルでも同じことを言っているか」を棚卸しするのが有効です。
KGIとKPIがつながっていない場合の方向性
売上目標から逆算してKPIツリーをつくる
売上 → 受注件数 → 商談件数 → リード数 → トラフィック…の順に落とし込み、現状値と目標値を入れてギャップを可視化します。
その際、「どのレバーを動かすのが現実的か」「どこがすでにボトルネックになっているか」を議論し、すべてを一度に上げようとせず、インパクトが大きい部分から優先的に改善していきます。
「数字のための数字」を捨てる
追うべきではないKPIの例として、PVだけ、単なるリード数だけといったものが挙げられます。LTVや解約率など長期価値につながる指標にシフトし、質を重視します。
「質の高い商談」「継続率の高い契約」「紹介につながる顧客」など、顧客ライフサイクル全体を意識した指標を追加することで、短期的な数合わせを防ぎ、中長期の利益率改善につなげられます。
実行とPDCAに課題がある場合の方向性
「やりっぱなし」から抜け出す週次レビューの型
- 週1回確認する最低限の指標セット(トラフィック、リード数、商談化率、獲得単価、解約率の推移)を決める
- 続ける施策/やめる施策/試す施策を明確にし、次週のアクションを必ず決める
レビューでは「良かった/悪かった」という感想で終わらせず、「次の1週間で試す小さな実験(例:クリエイティブのA/Bテスト、LPの訴求変更)」まで落とし込むことで、改善スピードが上がります。
施策の優先順位をつける考え方
インパクト × 実行難易度でマトリクス化し、まずは「高インパクト・低難易度」から着手します。ボトルネックに直撃する施策(例えば商談化率が低ければ営業を巻き込んだナーチャリング強化など)を優先します。
施策アイデアを出したら、必ず「どのKPIをどれだけ改善しうるか」「実行に必要な人・時間・予算はどれくらいか」をセットで評価し、なんとなく話題の手法に飛びつかないようにします。
組織・連携に問題がある場合の方向性
マーケと営業のSLA(合意事項)を整える
- 「良いリード」「フォローすべきリード」の定義をドキュメント化する
- フォロー期限や営業からのフィードバック方法をルール化し、運用に落とし込む
例えば、「MQL受領後◯営業日以内に初回コンタクト」「結果はSFA上で◯種類のステータスに分類して返却」など、最小限でも行動レベルの約束を決めることで、リード放置や認識のズレを減らせます。
共通のKGIとダッシュボードで同じ数字を見る
営業・マーケティングが一緒に見るべき指標セット(パイプライン、商談化率、受注予測など)を作り、ダッシュボードで共有します。会議では「感覚」ではなく「数字」に基づく意思決定を徹底します。
すべてを完璧に可視化する必要はなく、「これだけ見れば現在地と問題点が分かる」という最小限のビューを定義し、定例会で毎回同じフォーマットで確認することが、継続のコツです。
実際にあった「マーケティング目標が達成できない」事例と改善プロセス
コンテンツを量産したのに問い合わせが増えなかったBtoB企業
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| つまずいていたポイント | ターゲットが曖昧、メッセージが散漫で、PVはあるが商談に繋がらない状態 |
| 行った整理と対処の方向性 | 既存顧客分析でペルソナを絞り、1つの主メッセージに統一。記事は課題解決型に切り替え、営業が使えるトーク素材を作成 |
| その後の数字の変化 | CTRは横ばいでも商談化率が改善し、問い合わせの質が向上 |
さらに、営業がコンテンツを商談前後で活用するようになったことで、受注率も徐々に改善し、「コンテンツ=集客」だけでなく「コンテンツ=営業支援」という位置づけに変わりました。
広告でリードは増えたのに売上が伸びなかったSaaS企業
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| KGIとKPIのズレ | 広告で獲得したリードの商談化率と契約維持率が低く、LTVが見合っていなかった |
| ボトルネック特定〜施策変更 | ファネルの可視化で商談化率が問題と判明。営業と協働したオンボーディング改善とナーチャリング導入により商談化率が向上 |
| LTV・解約率への影響 | LTVが向上し、短期的なCPAは上がったもののROIが改善し、継続率も向上 |
あわせて、「獲得単価の安さ」ではなく「一定期間内の回収額」を評価指標に切り替えたことで、マーケ・営業・カスタマーサクセスが同じ方向を向きやすくなりました。
「明日から何を変えるか」を決めるための簡易アクションリスト
今日・明日でできるミニ見直し
- 30分でできるターゲット・メッセージの棚卸し:既存顧客の共通点を短時間で洗い出し、Who/Whatをそれぞれ一文で作る
- 1枚のスプレッドシートでファネル全体を可視化:現状値と目標値を入れてボトルネックを把握する
可能であれば、営業1〜2名にもそのシートを見てもらい、「現場感覚と合っているか」「どこが一番苦しいと感じているか」を簡単にヒアリングすると、改善のヒントが得られます。
1〜3か月で取り組みたい改善の打ち手
- 週次レビュー体制の立ち上げ:見る指標と責任者を明確にし、必ずアクションを決める習慣を作る
- 営業・マーケ合同ミーティングとSLA作成:リード定義、フォロー手順、フィードバックループを文書化する
この期間で「最低限の共通ダッシュボード」「共通用語集(MQL/SQLなどの定義)」まで整えておくと、その後の施策追加やツール導入がスムーズになります。
継続的に目標達成率を高めるための仕組みづくり
- ツール導入より先に決めておくべき運用ルール:数値定義、レビュー頻度、責任分担を先に決めることでツールが活きる
- AI・ダッシュボードを活かしたリアルタイムPDCAのイメージ:ボトルネックを自動検知し、週次で小さな実験(A/Bテストなど)を回して改善を積み上げる運用に移行する
将来的には、AIによる予測(「このままいくと今期の商談数は◯件不足する」など)を参考に、早めに打ち手を打てる体制を整えることで、目標未達の「手遅れ感」を減らすことができます。
まとめ:施策を増やす前に「どこでつまずいているか」を切り分ける
マーケティングの目標を立てたものの、「こんなに動いているのに数字がついてこない」「どこを直せばいいのか分からない」と感じていないでしょうか。広告やSNSの指標は悪くない、コンテンツも量産している、リード数も一応は出ている。それなのに、最終的な売上や受注とつながらない。このギャップが続くと、現場の疲労感だけが積み重なり、施策の見直しも「どこから手をつけるべきか」で止まってしまいます。
この記事では、「マーケティング 目標 達成 できない」と悩むときにありがちな行き詰まりパターンを整理しながら、自社のどこでボトルネックが生じているのかを見極める視点をまとめました。戦略のズレなのか、数字設計の問題なのか、実行とPDCAの停滞なのか、それとも組織連携なのか。原因を分解して捉えることで、「とりあえず施策を増やす」状態から抜け出すきっかけをつかんでいただければ幸いです。
マーケティング目標が達成できないときは、やみくもに施策を増やすのではなく、以下の4つの視点で現在地を整理することが第一歩です。
- 戦略面:「誰に」「何を提供するのか」が一文で説明できるか、競合との違いが伝わるメッセージになっているかを見直す。
- 数字設計:売上(KGI)から逆算したKPIツリーを作り、「追っても意味がない指標」が紛れ込んでいないかを削ぎ落とす。
- 実行プロセス:コンテンツ量産やSNS更新が目的化していないかを確認し、「週次レビュー+小さな実験」を習慣として組み込む。
- 組織連携:「良いリード」の定義やSLA、共通で見る数字をそろえ、マーケと営業が同じ前提で会話できる状態をつくる。
すべてを一気に変える必要はありません。まずは既存顧客からのターゲット棚卸しと、簡易的なファネル可視化から着手し、次に週次レビュー体制やSLA整備へと範囲を広げていくと、負荷を抑えながら改善が進みます。
「施策の量」ではなく「ボトルネックに正しく手を入れているか」という視点を軸に、目標と現場の動きを結び付けていくことで、マーケティング活動全体の手応えが少しずつ変わっていきます。