営業部門とweb担当が連携する時に意識したいこと

目次

営業部門とWeb担当が「かみ合わない」3つの理由

それぞれの「ゴール」がズレている

営業は短期的な商談化・受注を重視し、Web担当はリード獲得やブランド露出を優先しがちです。目的が異なると施策の優先順位や成功指標が食い違い、同じ施策でも期待する成果が変わってしまいます。

さらに、営業は「今期の数字」や「受注確度の高い案件」にフォーカスしやすい一方で、Web担当は「リードの母数拡大」や「中長期的なナーチャリング」を重視する傾向があります。そのため、マーケティングオートメーション(MA)で育成途中のリードを営業が「まだ早い」と判断したり、逆に営業が欲しい情報(どのページを見て、どの資料を見たのか)がWeb側のKPIに含まれておらず、そもそも収集されていないといったギャップも生まれます。

このズレを放置すると、マーケティング側は「良いリードを渡しているのに営業が動かない」、営業側は「温度感の低いリストばかり渡される」と不満を募らせ、「情報の断絶」が固定化されてしまいます。

データが分断されていて同じ顧客を見ていない

Webの行動履歴、フォーム情報、商談履歴などが別々に保管されていると、営業とWeb担当で「同じ顧客」に対する認識がバラバラになります。その結果、重複アプローチや機会損失が発生します。

たとえば、MA側には「広告経由で来訪し、事例記事を複数閲覧し、資料もダウンロードしている」という履歴があるのに、SFA/CRM側には「初回問い合わせ日と会社名だけしか入っていない」といったケースです。この状態では、営業は顧客の検討状況を「ほぼ白紙」と誤認し、ニーズ把握に余計な時間をかけてしまいます。

逆に、サポート履歴やクレーム情報がCRM側だけに閉じていると、営業はアップセル・クロスセルのタイミングを逃したり、過去のトラブルを知らないまま提案してしまうリスクもあります。

Webと営業の両者が360度の顧客ビューを共有できていないと、「誰が・いつ・どの情報をもとにアクションするのか」がバラバラになり、せっかく蓄積されたデータが十分に活用されません。

ツール導入が目的化し、現場がついてきていない

ツールを導入しただけで満足し、運用ルールや現場の教育が追いつかないケースは少なくありません。使いこなせなければ、SFAやMAは「空箱」に終わってしまいます。

ありがちな例として、経営層や情報システム部門主導でSalesforceやMAを導入したものの、現場の営業からは「項目が多すぎてどこを見ればいいか分からない」「入力が煩雑で日々の営業活動に支障が出る」と感じられ、結局スプレッドシートや属人的な管理に逆戻りしてしまうパターンがあります。

また、スコアリングや通知ルールが現場の実感と合っていないと、「アラートは来るが、必ずしも熱いリードとは限らない」という不信感が生まれ、ツールからの情報自体を見なくなってしまいます。その結果、導入や連携に投資したコストに見合うだけの営業成果が出ず、「ツールは役に立たない」という誤った評価につながります。


なぜ今、「営業部門とWeb連携」が重要なのか

顧客の購買行動がWeb中心にシフトしている

商品情報の一次収集や比較検討は、まずWeb上で行われるようになっています。営業はその前段での情報を知らないまま接触すると、提案の精度や効率が下がってしまいます。

BtoBにおいても、導入を検討する担当者は、営業と会う前に自社サイト、比較サイト、事例ページ、料金ページなどを何度も往復し、自分なりに候補を絞り込んでいます。この「営業に会う前の検討プロセス」はWeb行動履歴としてMAに蓄積されますが、連携していなければ営業からは一切見えません。

Web連携により、「どの広告から流入し、どのコンテンツを何回見て、いつ価格ページに到達したか」といった具体的な検討状況を営業が事前に把握できるようになります。その結果、ヒアリングや提案内容を顧客の関心に合わせて最適化しやすくなります。

MA・SFA・CRMの普及で「つなげれば勝てる」時代に

MA・SFA・CRMといった各ツールは単体でも価値がありますが、連携することで顧客ジャーニー全体を最適化でき、商談化の精度を高めることができます。

MAはリード獲得・育成とスコアリング、SFAは案件・活動管理、CRMは契約以降の関係維持とサポート履歴管理を担います。しかし、これらをバラバラに運用していると、「どこでどんなコミュニケーションが行われたか」が見えません。

一方で、SalesforceとMA(例:Marketing Cloud Account Engagement/Pardot)を連携させた環境では、Webでの行動がスコアとして可視化され、一定のスコアを超えたタイミングで営業にリアルタイムで通知できます。これにより、「今アプローチすべき顧客」を自動で抽出でき、営業は優先度の高い顧客への活動に集中できます。ツールをつなぐことで、同じリソースでも売上予測精度や案件化率を大きく高められる時代になっています。

テレワーク・オンライン商談の拡大で連携が必須に

対面機会が減った分、Web行動やオンライン上の履歴が、営業にとって重要なインプットになっています。

オンライン商談では、名刺交換や雑談から得られていた「相手の温度感」や「社内の意思決定構造」などの情報が得にくくなり、その代わりに重要性が増したのがWeb上での接点データです。テレワーク環境では、営業マネージャーも部下の行動を「同席」して把握しづらいため、SFA・CRMに記録された情報とWeb行動データをもとにマネジメントする必要があります。

このとき、MA・SFA・CRMが適切に連携されていれば、オンライン商談前に「直近1週間でどのページを見ているか」「直近の問い合わせ内容は何か」を確認し、商談後も活動履歴やサポート対応を含めて一気通貫で振り返ることができます。非対面が標準になった今、Webと営業をつなぐ仕組みがなければ、顧客との関係性を深めること自体が難しくなっています。


営業部門とWeb担当が共有すべき「理想のゴール像」

360度顧客ビューで同じ顧客像を見て動く

全チャネルの行動・接触履歴を一元化し、営業もWebも同じ顧客プロファイルを参照できる状態を目指します。

ここでいう360度顧客ビューには、Web閲覧履歴、問い合わせ・資料請求履歴、メールの開封・クリック、広告接点、商談・訪問履歴、サポート対応やトラブル履歴などが含まれます。これらがバラバラのシステムに点在している状態から、SFA/CRMに集約された一つの画面で「この顧客がこれまでにたどった全てのジャーニー」を俯瞰できる状態に近づけていくことが理想です。

営業はこのビューをもとに、「今どのフェーズにいる顧客なのか」「過去にどんなコミュニケーションがあったのか」を即座に把握できます。マーケティングやサポートも同じ情報をもとにコンテンツ設計やフォロー施策を検討することで、チャネルごとの齟齬を減らすことができます。

リード獲得〜商談〜受注後フォローまでを1本の線で考える

獲得したリードを単発で扱わず、ナーチャリングから商談、導入、サポートまでを連続したフローとして設計します。

たとえば、「ホワイトペーパーのダウンロード → メールによるナーチャリング → セミナー参加 → インサイドセールスによるヒアリング → フィールドセールスによる提案 → 受注 → 導入オンボーディング → 定着支援・アップセル提案」という一連の流れを、システムとオペレーションの両面でつなぎます。

このとき重要なのは、各ステージで「どの部門が主担当なのか」「どのデータをどのシステムに残すのか」「次のステージへの引き継ぎ条件は何か」を明文化することです。そうすることで、マーケティングから営業、営業からカスタマーサクセスへの受け渡しがスムーズになり、LTV最大化を見据えた一貫したコミュニケーションが可能になります。

KPIを「部門別」から「顧客ジャーニー基準」に変える

部門別のKPIではなく、顧客のステージごとの転換率やLTVなど、顧客ジャーニーを基準とした指標で評価します。

マーケティングは「リード数」だけ、営業は「受注件数」だけ、といった縦割りのKPIでは、途中の品質や顧客体験が置き去りになりがちです。代わりに、「MQLからSQLへの転換率」「初回商談から受注までのリードタイム」「受注後12カ月の継続率・アップセル率」といった、ステージ間のつながりを意識した指標を共通KPIとして設定します。

これにより、「数だけ多いが温度感の低いリード」を量産するのではなく、「営業が受注につなげやすいリード」を増やす、あるいは「契約後の解約率を下げる顧客との向き合い方」を全体最適で考えられるようになります。


まず押さえたい「営業部門とWeb連携」の基本構造

MA・SFA・CRMそれぞれの役割を整理する

MAはリード育成と行動スコアリング、SFAは商談管理と営業プロセス管理、CRMは契約後の顧客管理とサポート対応の履歴蓄積を担います。それぞれの役割を明確に切り分けつつ、データを同じ顧客IDで一気通貫させる設計が重要です。

たとえば、

  • MA:匿名アクセスからリード化、スコアリング、ナーチャリングメール配信
  • SFA:商談ステージ管理、見積・提案履歴、活動ログ
  • CRM:契約情報、利用状況、問い合わせ・トラブル対応履歴

といった形で役割を分担し、どのタイミングでどのデータをどのツールに引き渡すかを設計することで、無駄のない連携基盤を構築できます。

ツール 主な役割 関わる部門
MA リード獲得・スコアリング・ナーチャリング マーケティング/Web担当
SFA 案件管理・商談プロセスの可視化 営業
CRM 契約後の顧客管理・サポート履歴管理 営業/サポート/CS

営業とWebが共有すべき3つのポイント

営業部門とWeb担当がうまく連携するには、次の3点をそろえていくことが欠かせません。

  • 同じ顧客を見ているか:360度顧客ビューで、全員が同じ情報を参照できる状態か
  • 同じゴールを目指しているか:リード獲得〜商談〜受注後フォローを1本の線として設計できているか
  • 同じ仕組みを共有しているか:MA・SFA・CRMの役割分担と連携ルールが明文化されているか

短期の売上に直結する営業と、中長期の育成を見据えるWeb担当は、放っておくとゴールもKPIもバラバラになりがちです。まずは、360度顧客ビューを前提に、リード獲得から商談、受注後フォローまでを一連の流れとして整理し、「どの段階を、誰が、どの指標で担うのか」を言語化して共有するところから着手するとよいでしょう。

そのうえで、MA・SFA・CRMの役割分担と連携方法を明確にし、「営業が本当に見たい情報」「Web側で必ず記録しておくべき情報」を擦り合わせていくことで、ツールが現場から浮いた存在になることを防げます。

営業とWebが同じ顧客ジャーニーを前提に協働できるようになれば、個々の施策の成果だけでなく、事業全体のLTVや顧客満足度を底上げすることが可能になります。

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この記事を書いた人

Webマーケティング業界10年以上のフリーランス。
「低コストでも、効果のあるWebマーケティング」をご提供することをモットーに、多岐にわたる業種の会社さまのご支援を行っております。
※2025年1月に法人化しました。