Search Consoleで「何を見ればいいか」が3分でわかる
Search Consoleを開いてみたものの、「グラフと数字がたくさんあって、結局どこを見ればいいのか分からない」と感じたことはないでしょうか。クリック数や表示回数、インデックス、サイトマップ……用語も画面も多く、なんとなく眺めて閉じてしまう方は少なくありません。
この記事では、「Search Console 何を見れば」をテーマに、日々の運用で迷わないための見る順番と最低限押さえたいポイントを整理していきます。
押さえるべき画面は、「検索パフォーマンス」「ページ(URL)」「インデックス」「サイトマップ」「URL検査」の5つだけです。この5つを、クエリ → ページ → 技術(インデックス・サイトマップ)の順にたどるだけで、「なぜアクセスが増えたのか/減ったのか」「次にどこを手直しすればいいのか」が、3分ほどで見えてきます。複雑な専門知識は脇に置き、実務で使い回せるシンプルな見方に絞って解説していきます。
Search Consoleでできることを整理する
Search Consoleは、検索される前後の状況がわかるGoogle公式ツールです。検索ユーザーがどんなクエリでサイトを見つけているか、どのページが検索結果に出ているか、インデックスやクロールに問題がないかなどを把握できます。サードパーティツールよりも、検索まわりの事実把握に向いています。
まず押さえたい主な画面は、次の5つです。
- 検索パフォーマンス
- ページ(URL)
- インデックス(カバレッジ)
- サイトマップ
- URL検査
最近は、AIによる「クエリグループ」やブランドクエリ(指名検索)の自動分類が追加され、意図ベースの分析がしやすくなっています。「表示は多いのにクリックされていないクエリを教えて」などと自然言語で尋ねられるAI分析機能もあり、慣れていない方でも「どこを直せばいいか」を見つけやすくなっています。
迷わないための基本は、「検索パフォーマンスを起点に、クエリ → ページ → 技術(インデックスやサイトマップ)の順で見る」ことです。検索パフォーマンスで問題点を見つけたら、ページ単位で中身を改善し、必要に応じてインデックスレポートやサイトマップで技術的な状態を確認します。インデックスレポートでは「Googleにきちんと登録されているか」、サイトマップでは「新規・更新ページが効率的にクロールされているか」をセットで見るイメージです。
まず最初に見るべきは「検索パフォーマンス」
検索パフォーマンスレポートでわかること
Search Consoleのメニューから「検索パフォーマンス」を開くと、クリック数・表示回数・平均掲載順位・CTR(クリック率)などの指標を確認できます。日付・デバイス・国・クエリ・ページで絞り込むことも可能です。
また、「検索タイプ」を切り替えることで、通常のウェブ検索だけでなく、Discoverやニュース検索のデータも把握できます。どのチャネルからの露出が強いかを把握するのに役立ちます。
この画面では、次の4つの指標は必ずオンにしておくことをおすすめします。
- クリック数
- 表示回数
- CTR(クリック率)
- 平均掲載順位
これらを見れば、どの部分が機能していて、どこに改善の余地があるかが一目でわかります。なお、データはリアルタイムではなく、通常は検索から48〜72時間ほど遅れて反映されます。今日の施策の結果をその日のうちに確認するツールではなく、「数日前までの傾向を見るツール」と理解しておくと、数字との付き合い方が楽になります。
最初に確認したい4つの数字
| 指標 | 意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| クリック数 | 実際にサイトへ訪問された回数。検索経由の流入を直接示す指標。 | 施策の成果・集客の増減を見るときの起点。 |
| 表示回数 | 検索結果にページが表示された回数。潜在的なニーズの大きさを示す。 | テーマ自体の需要や、AI Overviews登場後の露出変化を把握。 |
| CTR(クリック率) | 表示回数に対するクリック数の割合。 | タイトルやスニペット(説明文)の魅力・マッチ度を判断。 |
| 平均掲載順位 | 検索結果におけるおおよその掲載順位。 | どのクエリ・ページから優先的に改善するかを決める材料。 |
表示回数については、2025年以降はボットによる不自然なインプレッションが除外されるよう改善されており、人間の検索行動により近い数字になっています。
4つの数字から見る「ざっくり良い/悪い」の判断基準
表示回数は多いのにクリックされない
タイトルやメタディスクリプションの改善余地が大きい状態です。スニペットの魅力を高めることでCTRの改善が期待できます。検索結果に並んでいる競合タイトルと見比べ、「自分のページを選ぶ理由」が一言で伝わるかをチェックしましょう。
順位は高いのにアクセスが少ない
タイトルがユーザーの意図とずれている可能性があります。ユーザーが検索で「何を解決したいのか」という文脈と照らし合わせて調整してください。
例として、「〇〇 料金」と検索されているのに、料金表がすぐに分からないタイトルや見出しになっている場合などは要改善です。
数字を見てすぐ直せるポイント
- CTRが低ければ、タイトル・メタディスクリプションを変える
- 平均掲載順位が10〜20位台なら、内部リンクやコンテンツの追記で押し上げる
- 大きな構成変更よりも、「タイトルを1本変える」「FAQを2〜3個追加」「関連ページからのリンクを増やす」など小さな改善を積み重ねる
このような短期アクションのほうが、リスクを抑えつつ成果を確認しやすくなります。
「クエリ(検索キーワード)」からの活用アイデア
どんな言葉で検索されているかを確認する
「クエリ」タブでは、どんな語句で表示・クリックされているかを確認できます。狙っていなかったキーワードで流入していることも多く、そこから新しい記事ネタが見つかります。
ローカルビジネスの場合、「地域名+サービス名」だけでなく、「症状名+治療法」「悩み+解決策」といった意外な組み合わせで見つかるケースもよくあります。こうした“生の検索語”はユーザーの頭の中そのものなので、見出しや本文の言い回しに積極的に取り入れると効果的です。
表示は多いのにクリックされていないクエリを探す
フィルター機能を使い、「表示回数が多く、CTRが低い」クエリを絞り込むと、改善余地の大きいキーワードがすぐに見つかります。
タイトルやメタディスクリプションを「ユーザーの疑問に先回りして答える形」に変えると効果的です。
例:
- 「◯◯とは?」 → 「◯◯の原因と今すぐできる対処法」
特にスマホユーザー向けには、「この記事で何が分かるのか」を前半20〜30文字で伝えることが重要です。縦長画面でも要点が伝わりやすくなり、選ばれやすくなります。
平均順位が10位前後の「惜しいクエリ」を伸ばす
平均掲載順位が10位前後のクエリは、クリック率や表示回数の改善によって、上位に食い込む可能性が高いゾーンです。見出しの追加、FAQの挿入、関連語の追記などでコンテンツを強化しましょう。
具体的には、上位にいる競合ページを2〜3つ開き、次の点をチェックします。
- どんなサブテーマが網羅されているか
- どんな形式(比較表、チェックリスト、事例など)で説明しているか
これらを洗い出し、自分の記事に不足している要素を足していくことで、検索意図とのフィット感が高まりやすくなります。
クエリグループ(類似キーワードのまとまり)を使ったネタ発見
AIによるクエリグループ機能では、意味的に近い語句がグループとして表示されます。グループ単位でトピックを整理し、「まとめ記事」を作ったり、内部リンクで関連コンテンツをつないだりすると、効率よく流入を伸ばせます。
たとえば「腰痛 接骨院」「腰 痛い 寝方」「腰痛 ストレッチ」などが同じグループにまとまっている場合は、
- 「腰痛の原因と自宅でできる対処法、来院の目安までを解説する包括的な記事」を1本用意し、
- 個別記事と相互リンクさせる
といった設計がしやすくなります。
クエリグループは、「伸びているテーマ」「落ちているテーマ」もまとめて教えてくれるため、月1回のネタ出しやリライトの優先順位決めにも便利です。
「ページ」単位で見る:伸びている記事・伸ばせる記事を見つける
「ページ」タブで押さえたい3つの数字
「ページ」タブでは、ページごとにクリック数・表示回数・CTRを見ることで、どの記事が効率よく流入を集めているかを判断できます。
- クリック数が高く、CTRも安定しているページ:
サイトの「エース記事」となっている可能性が高いページです。 - 表示回数が増えているが、CTRや順位がまだ伸びていないページ:
今後の伸びが期待できる「期待の新人記事」です。
さらに、デバイス別(PC/モバイル)に分けて見ることで、「スマホだけCTRが低い記事」など、UIやレイアウト起因の課題も見つけやすくなります。
ちょっと手を入れるだけで伸びるページの見つけ方
次のような観点でページを探すと、少ない手間で成果につながりやすいページを見つけられます。
- 表示回数が多くCTRが低いページ:
タイトルと冒頭の文章を改善し、クリックを誘導する力を高めます。 - クリック数はあるのに平均掲載順位が低いページ:
内部リンクの強化や記事構成の見直しにより、さらなる上位表示を狙えます。 - 検索意図と本文のズレがありそうなページ:
上位ページが「解説型」なのか「比較型」なのかを確認し、自分の記事の構成や見せ方を近づけます。
また、Search ConsoleからエクスポートしたページデータをGA4の「コンバージョン」や「イベント」と突き合わせると、「アクセスは多くないが問い合わせ率が高いページ」なども特定できます。そのようなページを重点的に強化したり、類似コンテンツを増やしたりするのも有効です。
ブランドキーワードと一般キーワードを分けて見る
ブランドクエリフィルターを使うと、ブランド名を含む指名検索を分離して分析できます。
- ブランドクエリ:既存ユーザーや認知済みユーザーの行動を表す指標
- 一般キーワード:新規ユーザー獲得の源になる検索語
新規ユーザーを増やしたい場合は、非ブランド領域の上位化を優先的に進めると効果的です。
たとえば「〇〇接骨院 口コミ」のようなブランドクエリでの順位は、信頼や評判のバロメーターです。ここが安定していれば大きな問題はありません。
一方で、「腰痛 接骨院」「肩こり 改善 方法」のような一般クエリでの表示回数やCTRが伸びているかを定期的にチェックし、「まだ指名されていない人」にどれだけリーチできているかを確認しましょう。
インデックスと技術チェックは「異常がないか」を見るだけでも十分
インデックスレポートで最低限確認したいポイント
インデックスレポートでは、エラーや警告が出ていないかを定期的にざっと確認します。急にアクセスが減ったときは、まずインデックスやクロールエラーを疑うと、原因の特定が早くなります。
「インデックス登録済み」「除外」の内訳を見れば、「noindex設定」「重複コンテンツ」「ソフト404」など、SEO上のリスクになりやすい状態も把握できます。テクニカルな知識があまりなくても、
- エラーが増えていないか
- 重要なページが誤って除外されていないか
だけは確認しておきましょう。
サイトマップを送信しておくメリット
サイトマップは、新しい記事やサイト構造をGoogleに伝える役割を持ちます。送信ステータスが「成功」になっているかを確認し、新規公開後にはインデックス登録がスムーズに進むようにしておきましょう。
特に、大量のページを持つサイトや、カテゴリ構成を変更したタイミングでは、XMLサイトマップを正しく送信しておくことで、Googlebotのクロール効率が向上し、重要ページの発見・再評価が早まりやすくなります。
新しいURLを公開したあとに「URL検査」からインデックス登録をリクエストしておくと、優先的なクロールを促せます。
数字を「毎月1回」見るだけで変わる簡単ルーティン
月に1回だけでも確認しておきたいポイント
期間の設定は、「過去28日」と「過去3か月」を比較するのがおすすめです。これにより、短期の変化と中期トレンドの両方を把握できます。伸びているクエリ・落ちているクエリ、伸びているページ・落ちているページをリストアップしておきましょう。
Search Consoleから届く月次レポートメールも、全体の状況をざっくり把握するのに便利です。「この1か月で伸びたページ」「検索パフォーマンスの変化」を自動で要約してくれるため、メールで概要を把握してから本体画面で詳しく掘り下げると、効率的に分析できます。
Search Consoleの数字から決める「次にやることリスト」
毎月の数字を見たうえで、次のようなアクションをリスト化しておくと、改善サイクルを回しやすくなります。
- タイトルを変更する(CTR改善)
- コンテンツを追記・リライトする(順位改善)
- 新しく書くべきテーマをメモする(クエリからのネタ発掘)
さらに、
- 上昇傾向のクエリグループを1つ選び、まとめ記事または専門記事を1本作る
- ブランドクエリと非ブランドクエリの比率を見て、指名検索を増やす施策(口コミ、SNS、オフライン施策など)を検討する
といった「月1のアクション」を決めておくと、「数字を眺めるだけ」で終わらずに、具体的な改善につなげやすくなります。
GA4など他ツールとの組み合わせ方のヒント
Search ConsoleとGA4は、次のように役割が異なります。
- Search Console:検索される前後の挙動(どのクエリ・どのページから来たか)
- GA4:サイトに来てからの行動(どのページで何をしたか)
両者を組み合わせることで、「コンバージョンにつながりやすいクエリ」や「価値の高いページ」を見つけやすくなります。
たとえば、Search Consoleで「クリック数は少ないが、指名検索で訪問があるページ」を見つけ、GA4でそのページの問い合わせ率や購入率を確認すると、「少数精鋭で成果を出しているページ」がわかります。
逆に、Search Consoleで多くの流入を集めているのに、GA4でコンバージョンがほとんどないページは、
- 集客専用の記事として割り切るのか
- 導線やオファーを見直すべきページなのか
を検討する判断材料になります。
よくある勘違いと数字の見方のコツ
「アクセスが減った=すべてが悪い」とは限らない
アクセスが減ったと感じたときは、次の3つを切り分けて見ることが大切です。
- 表示回数
- CTR(クリック率)
- 平均掲載順位
また、全体トレンドと個別ページのトレンドも分けて判断してください。
たとえば、表示回数が全体的に落ちている場合は、季節要因や検索需要そのものの減少、アルゴリズム更新など、外部要因の可能性があります。一方で、表示回数は維持されているのにCTRだけが落ちている場合は、検索結果の顔ぶれが変わった、タイトルが陳腐化してきたなど、「自分側で改善できる要因」が見つかりやすくなります。
AI Overviews・ゼロクリック時代の数字の読み替え
AIによる検索結果(回答画面)の登場により、クリックが減るケースがあります。クリックが減っていても、ブランド認知やユーザーへの回答提供には貢献している可能性があるため、問い合わせ数や滞在時間など、他の指標も合わせて見ることが重要です。
AI Overviews(旧SGE)経由の露出は、現状ではSearch Consoleの通常の検索パフォーマンスに合算されて表示されます。そのため、「表示回数は増えているのにクリックが伸びない」場合、AIによる回答の中で情報が完結している可能性もあります。
このようなテーマでは、
- 問い合わせしたくなるような追加情報
- より深い専門的な解説
- 続きを読みたくなる独自の視点
など、「さらに知りたい人に向けた価値」をページ側で明確にしておくことが重要です。
「細かく見すぎて疲れる」を防ぐシンプルな優先順位
Search Consoleを見るときの優先順位は、次のようにシンプルに考えると負担が減ります。
- まず見るもの:検索パフォーマンス(クエリ・ページ)
- 次に見るもの:インデックス状況
- 余裕があれば:Core Web Vitalsやリンクレポート
この3段階を毎月のルーティンにすれば、無理なく改善を回し続けられます。
特にCore Web Vitals(LCP/INP/CLS)は、一度大きな問題を解消しておけば、毎月「赤信号が出ていないか」を確認する程度で十分です。最初からすべてのレポートを完璧に理解しようとするのではなく、
- 検索パフォーマンスをベースに見る
- 技術レポートは“異常がないかを確認する”用途
と割り切ると、長く使い続けやすくなります。
Search Consoleは「全部を細かく見るツール」ではなく、「毎月3分だけ数字を見て、次の一手を決めるためのツール」と割り切ったほうが続けやすくなります。
押さえる順番はシンプルです。
- 検索パフォーマンスで、クエリとページの動きを見る
- 気になるクエリ・ページから、タイトルや本文、内部リンクを手直しする
- インデックスとサイトマップ、URL検査で「技術的な異常がないか」だけ確認する
この流れを月1回まわすだけでも、
- 伸ばしたいクエリ・伸ばせるページがはっきりする
- どのタイトルを変えるか、どこをリライトするかが決めやすくなる
- 技術的なトラブルに早めに気づける
といった変化が見えてきます。
「全部を理解する」よりも、「検索パフォーマンスを起点に、クエリ → ページ → 技術」という導線だけを習慣にしてしまうことが、Search Consoleを実務で活かすいちばんの近道です。